駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

雪の飯山線2017 千曲川水鏡

千曲川の朝霧が晴れて、きれいな青空が広がった
川面にその姿を映しながら、単行列車が河岸段丘を往く

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2017年3月 飯山線

千曲川の段丘に沿って集落が点在し、街道が走っている。例によって鉄道は最上段に構えている。飯山線や只見線でよく見掛ける風景であり、日本の鉄道の原風景の一つではないだろうか。その集落の家並みを眺めていると、屋根に雪が残っている家屋がぽつぽつとある。数日間まとまった雪が降っていないので、大概の家では屋根の雪は落ち切っている。雪が残っているのは、どうやら空き家のようだ。写真中央の赤い屋根のお宅の一部にも雪が残っており、どうも人気はなさそうだ。

秋田出身の知り合いがいるが、彼は実家で一人暮らしの母親を、雪のシーズンだけ埼玉の自宅に住まわせるということを、もう何年も続けている。そのお袋さんも老いには勝てず、観念しているようだ。ただ、雪下ろしや雪かきが出来なくなった家の傷みは、相当に激しいとのことだ。雪国の家屋は、それなりに頑丈に建てられているが、それでも手入れを怠れば、雪の重さと湿気は容赦なく木造の家を蝕んでいく。一つまた一つと雪の消えない屋根が増えていくというのは、集落の危機を表す赤信号だ。


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  1. 2017/03/14(火) 00:30:00|
  2. 飯山線
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雪の飯山線2017 薄暮の頃

黄昏時、ゆっくりと列車が集落を抜けて往く
寒さが忍び寄り、車窓の灯りが暖かい

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2017年2月 飯山線

薄明というのは日の出前、日の入り後の薄暗い状態を総称する言葉だが、日本語には情緒豊かな関連語が数多くある。日の出前であれば、曙、暁、黎明、東雲、払暁。日の入り後であれば、薄暮、黄昏、逢魔時などなど。英語では twilight 以外にも evenfall 、gloaming なんていうのもあるが、日本語表現の方が明らかに情緒的だ。繊細な日本人が如何にこの時間帯に多くのことを感じているかが窺える。この中には寝台特急の列車名になったものが幾つもあり、旅情を誘う言葉でもある。

さて、この日もそろそろ夕暮を迎えた。空模様を気にしながら、何時ものように朝から黄昏時は何処で撮ろうかなどとあれこれ考えていた。特に雪景色のこの時間帯は魅力的で、イメージが尽きない。列車本数の少ないローカル線では、なかなか条件が合わずに苦労するが、いくら失敗を重ねても止められないのは、日本人だからだろうか。「逢魔時」というのは、妖怪や幽霊やらに出会いそうな時間ということだが、写真屋にとっては、嵌ったら抜け出られない魔物が棲んでいるようだ。


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  1. 2017/03/12(日) 00:30:00|
  2. 飯山線
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岳鉄駅巡り かぐや姫伝説

工場群の貨物駅は、今はかぐや姫伝説の駅となった
日が高く昇った頃、鄙びた改札の向うに姫が現れた

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2017年2月 岳南電車岳南線 比奈

「竹取物語」は平安時代初期に生まれた日本最古の物語と言われている。その主人公は彼の「かぐや姫」で、現代においても色々なシーンに登場する、日本で最も知られたキャラクターのひとつだろう。竹取物語は多彩な要素と様々な展開に溢れた、非常に完成度の高い作品と評価されている。貧乏な竹取の翁と嫗が竹の中から現れた姫を大切に育てると、姫は大きくなって裕福になった夫婦を残して月に帰って行った。というのはかなり大雑把な粗筋で、実は多くの複雑な人間模様が鏤められている。今一度、物語を精読してみるのも一興だろう。

日本には、この「竹取物語」や「かぐや姫」の由縁の地を標榜する地域が幾つかある。もちろん、フィクションなので、物語の舞台となった地が実在する筈もなく、こじつけを楽しんでいるようで、「かぐや姫サミット」なる地域交流もあるそうだ。その筆頭格が静岡県富士市だ。この比奈の無量寿禅寺跡にある竹採公園には「竹採姫」と刻まれた竹採塚があり、かぐや姫誕育の地とされている。また富士山本宮浅間神社には竹取物語と類似の伝説が残り、祭神の木花咲耶姫をかぐや姫の原型とする説もある。真偽の程はさておいて、要は観光資源として育てたいというのが本音だ。

さて、この比奈駅は、かつては幾つかの工場と繋がる貨物駅として活気のあったところで、突放の名所でもあった。貨物輸送が終了してからは、工場施設を仰ぎ見る鄙びた駅になり、かぐや姫伝説の駅として生きている。竹の駅名標もその演出だ。電車のヘッドマークにもかぐや姫仕様があるようだが、写真は「東海・北陸B-1グランプリin富士」のマークだ。調度かぐや姫よろしく、小さな姫がやって来た。おばあちゃんと岳南電車でお出掛けの様だ。「いい写真が撮れましたか?」と笑顔で尋ねられた。孫も嬉しそうにおばあちゃんの周りではしゃいでいる。現代のかぐや姫と嫗も、とても仲良しだ。


狂電関人さん が当時の突放作業の記事をアップしてくださいました。
活気ある鉄道員の姿を通して、華やかなりし頃の比奈駅の様子がご覧いただけます。


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  1. 2017/03/10(金) 00:30:00|
  2. 岳南電車
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輝きの朝

オホーツク沿岸の網走は温暖で明るい場所だ
そこには眩しいくらいの輝きの朝があった

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1973年3月 石北本線 網走

網走という街は、意外にも温暖で明るいところだ。海洋沿岸性の気候のため、夏は涼しく、冬は暖かい。冬に北西の季節風の吹き荒れる日本海沿岸からは遠く離れ、夏に東風が運ぶ山背が発生する太平洋とも隔絶されているため、積雪は少なく、一年を通して晴天率が高い。冬のオホーツクの流氷や、かつての網走監獄の過酷な囚人労働の歴史からか、冷たく凍り付いた不毛の土地のようなイメージを抱かれがちだが、実は道内では過ごし易い地域となっている。それが関係しているかは判らないが、道内の都市としては比較的安定した人口を維持している。

網走駅に、1527レ「大雪崩れ」が到着し、俄に構内が活気を帯びてきた。釧網本線、湧網線の列車の出入りも加わり、慌ただしく入換作業が続く。操車掛氏は職種柄こんな軽装で寒そうだが、きびきびと作業が進められていく。ちなみに、北海道形の特徴の一つである前面デッキ手すりは、このように使用されていた。ここ網走には機関区はないが、一通りの設備はあった。屯するのは北見、遠軽、釧路などの罐だ。晴天の朝だけあって放射冷却でしばれてはいるが、春が近づき、日の強さはもう冬のものではない。そこには、オホーツクの眩いくらいの輝きの朝があった。


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  1. 2017/03/08(水) 00:30:00|
  2. 石北本線
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雪の飯山線2017 河岸集落を巡る

生活を支え合うために、雪の中で民家が寄り添う
何時までも守っていかなくてはならない日本の故郷風景だ

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2017年2月 飯山線

千曲川、飯山線、国道117号線の3本が、絡み合いながら信州から越後へと南北に走っている。千曲川は、県境を越えて長野から新潟に入ると、その名を信濃川と変える。日本最長の大河は、この山間地にあっても立派な流れを誇っている。河岸には僅かな農地しかないが、集落は点々と続いていく。一昔前までは、自給自足に近い農林業を生業にしていたのだろうが、さて今はどうやって生活の糧を得ているのだろうか。聞けは、働く者の多くは役場絡みだということで、地域の自律的な経済は既に失われているようだ。北海道では道が出来ると集落が消えると云われてきたが、豪雪地帯では積雪が減ると村が消えるなんてことになりやしないだろうか。このような集落を存続させるには、どんな手があるだろか。ふるさと創生もそう容易いことではない。


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  1. 2017/03/06(月) 00:30:00|
  2. 飯山線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

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