駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

雪の飯山線2017 信濃平の朝

信濃平の雪原をゆっくりとキハが近づいて来る
今年はどうも例年より積雪が少ないようだ

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2017年2月 飯山線

この冬は、大雪のニュースが多かったように思うが、その中心となったのは中国地方だ。鳥取、岡山辺りで道路がマヒしたのは記憶に新しい。気象庁の2月末日までの累積積雪量を眺めてみると、本来の多雪地帯である北海道から北陸へと続く日本海側の地域では、軒並み平年値を下回っている。豪雪地帯で名高い飯山線沿線だが、こちらも平年値の8割前後となっている。長野、新潟の両県で、平年値を上回ったのは軽井沢の一地点のみだ。年々積雪量は減少傾向で、雪国の冬の生活も楽になりつつある。とは言え、十日町679cm、津南927cm、野沢温泉776cmと、無雪地帯に暮らす人々には、想像を絶する豪雪地帯に変わりはない。

本来積雪地帯とは言えない冷涼な高原を往く小海線の乾いた雪と、折り紙付きの豪雪地帯を走る飯山線の湿った雪景色とでは、大きく趣が異なる。JR東日本長野支社の二つの非電化ローカル線は、それぞれに特徴ある気候と風土を持つ地域を走り抜ける路線で、両線の沿線風景への興味は尽きない。小海線に併せて、本場飯山線のこの冬の雪景色もお送りしたい。千曲川・信濃川に沿って点在する豪雪地帯特有の家屋から成る集落は、日本の故郷風景を代表するものの一つだ。その集落と里山の雪景色から、雪国の生活の一端を感じて頂ければ幸いだ。


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  1. 2017/03/04(土) 00:30:00|
  2. 飯山線
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夜明け前

東の空が薄らと白んできた
その踏切は間もなく一番列車を迎える

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2016年11月 飯山線 「踏切のある風景」

今年も184本目の記事となり、無事に大晦日を迎えることができた。
思えば、今年の元旦の第1話は、飯山線の森宮野原の一番列車の待機シーンだった。
その時には、秋に飯山線に蒸気が走り、森宮野原の給水シーンを撮れるとは思わなかった。
今年の最後も、そんな飯山線の夜明け前のシーンで締めようと思う。

西洋には「The darkest hour is always just before the dawn.」という諺がある。
「夜明け前が一番暗い」と和訳されている。
辛いことを乗り越えた後には、必ずいいことがあるという格言だ。
もちちろん人生訓であるから、科学的な検証などと考えてはいけない。

数えきれない苦境を切り抜けてこられた諸先輩方には、こんな格言はもう不要かも知れない。
しかし、歳をとったらとったで、そこにもまた色々な苦境が待ち構えているものだ。
四十にして惑わず。五十にして天命を知る。とは孔子の人生観で、俗人には縁遠い迷走の日々だ。
ましてや、多感な若い方々は、ウェルテルの悩み多き毎日を過ごされていることだろう。

皆さんにとっても、小生にとっても、今年もやはり山あり谷ありの一年であったはずだ。
「朝が来ない夜は無い」。「明日があるさ」。「なるようになるさ」。
こっちの方が、しっくりくるかもしれない。居直ることだって大切な人生訓だ。
今日が皆様方の夜明け前となることを祈りつつ、2016年の「駅舎の灯」の終わりとしたい。

今年もありがとうございました。良い年をお迎えください。


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  1. 2016/12/31(土) 00:00:00|
  2. 飯山線
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豪雪地帯を往く

間もなく豪雪地帯に白い冬が訪れる
飯山線は89年もの間、この集落を見守り続けてきた

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2016年11月 飯山線

気象庁の統計に歴代全国ランキングというのがある。その最深積雪の1位は意外にも滋賀県伊吹山の1182cm、2位は青森県酸ヶ湯の566cm、そして3位は只見線は上条駅近くの新潟県守門の463cmとくる。さて、飯山線沿線を探してみると、4位の津南416cm、6位の十日町391cm、11位の野沢温泉353cmと20位以内に3ヶ所がランクインしている。北海道では17位の倶知安312cmが最深だ。如何に只見線、飯山線の沿線をはじめとする新潟県各地が、豪雪地帯であるかがわかる。同時に、道路事情が悪かった時代には、鉄道が冬の生命線であったことも窺い知れる。

写真のC11は、まさにその最深積雪第4位の町から第6位の町へ向けて進行中だ。線路の前には豪雪地帯特有の構造を持つ家屋が、寄り添うようにして立ち並んでいる。刈り取られた田圃や柿の実、色付いたイチョウの葉が、冬が近いことを告げている。雪に閉ざされる季節には、家々が助け合いながら遠い春を待ったに違いない。社会インフラが整った今でも、その思いは受け継がれていることだろう。鉄道への慈しみも一入のはずだ。そんな日本の美しい里には、やはり小さな汽車が良く似合う。都会のコンクリートの中で耐え凌げるのも、こんな故郷に出掛けることが出来るからだろう。


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  1. 2016/12/15(木) 00:30:00|
  2. 飯山線
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汽車が来る日

汽車の煙とブラストに、ちびっ子たちは大喜びだ
ローカル線の将来に、少しだけ光が見えたような気がした

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2016年11月 飯山線

復活蒸気の乗務員には、煙を自在に操る訓練があるそうだ。沿線の見物客に、煙のサービスをするためのものだ。特に、機関士諸氏は幼子を前にすると俄然燃えるようだ。まあ、こんな子供たちに声援を送ってもらって、頑張れない大人じゃしょうがない。煙を出し、ブラストを響かせ、ドレインを切り、汽笛を鳴らし、沿線の観客に笑顔で手を振る。時代は変わって、今の機関士はまさに接客業だ。訓練の成果があったのか、見事な黒煙を上げて、ちびっ子たちも保母さんも大喜びだ。役目を終えた機関士と罐は、すっと黒煙を止め、白煙となってトンネルへと消えて行った。

この罐が現役だった頃、鉄道は、ただひたすらに乗客と貨物を安全、正確に運ぶことが唯一の使命だった。ところが時代は移ろい、今やローカル線には、運ぶ人員も荷物もほんの僅かになってしまった。ただ、汽車が来るとなると沿線はお祭り騒ぎだ。昨今の鉄道ブームも衰えることを知らない。もし、ローカル線が生き延びられるとしたら、その役目は人や物を運ぶことではなく、人を楽しませることなのだろう。この眺めを見ていて、ふっとそんなことを思った。


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  1. 2016/12/07(水) 00:30:00|
  2. 飯山線
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変わらぬ人気

飯山線に44年振りに蒸気が戻って来た
あの時と同じように、今も蒸気は大人気だ

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2016年11月 飯山線

蒸気機関車が現役時代だった頃、こんな眺めをよく目にしていたような気がする。九州や北海道の炭鉱地帯で、客車や石炭列車を引いて蒸気がゆっくりと走っていた。エネルギーが石炭から石油に代わり、そんな炭鉱も次々と消え、蒸気機関車も動力近代化の掛け声で、あっという間に消えていった。飯山線のC56がいなくなったのは1972年の10月改正で、一緒に小海線からもC56は去って行った。当時、飯山線と小海線は共に長野鉄道管理局の路線で、夏には小海線の野菜列車のために、飯山線や大糸線、遠くは七尾線のC56が駆り出されていた。今も、飯山線と小海線はJR東日本長野支社の二つの非電化ローカル線だ。飯山線にまた汽車が走った。次は小海線と思うのは早計だろうか。

あれから44年の歳月が流れ、蒸気を追いかけていた少年は、いいおやじになってしまった。あの豊かとはいえなかった世の中は、高度成長期を経て、何時の間にか、今度はネジか切れたかのように、先の見えない少子高齢化社会に突入してしまった。飯山線の煙を見ていると、ふと、この44年間は何だったんだろうかと思えてくる。面白いことに、あの時と同じように、今また蒸気機関車は大人気だ。結局行き着くところは、非効率極まりない人間味のあるアナログな機械だ。詰まる所、便利なものと、幸せになれるものは根本的に違うってことだろう。何時もは邪魔者扱いのオメガカーブの採石場だが、こんな趣向で行けば少しは役に立っただろうか。


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  1. 2016/11/27(日) 00:30:00|
  2. 飯山線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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