FC2ブログ

駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

常紋への道 金華は今

常紋峠に続く峠道が秋に色付いた
そこには信号場となった金華があった

80015750.jpg
2018年10月 石北本線 金華信号場

特急「大雪」が常紋峠を越えて、北見国の留辺蘂町にある金華信号場に進入してきた。構内が終わるとすぐに登り坂が始まる常紋への道は、多くの蒸気ファンを魅了した北の峠道だ。ここ、北の石北本線常紋越えは、南の肥薩線矢岳越えと並び称された蒸気愛好家の聖地で絶大な人気を誇り、蒸気ファンなら一度は訪れてみたい場所だった。


70019548.jpg
 

それから半世紀、金華は廃屋ばかりが目立つ集落の中に静かに佇んでいた。有人駅だったはずだが、1983年に無人化、そして2016年には利用者減少のため信号場化されている。先の国勢調査では金華の人口は5世帯8人と記録されている。現役蒸気の頃には、駅前に数十軒の民家が立ち並んでいたことなど嘘のようにひっそりとしていた。


70019549.jpg


70019555.jpg


轍がはっきりとした国道から金華に通じる道は、秋の日差しに溢れていた。しかし、ちょっと足を踏み入れると、朽ち往く民家が多いことに、長い年月が過ぎ去ったことに気付く。数軒には人の生活が感じられ、人の気配が伝わってくるが、一体この場所で何を生活の糧にしているのだろか。駅前だったはずだが、その駅はもうない。この地に余程の思い入れが無い限り、ここに留まることは出来ないだろう。限界集落という言葉が頭を掠める。


80015757.jpg


70019552.jpg


特急「大雪」が、朽ち往く旧駅舎を横目に、無人の信号場をゆっくりと通過して行く。旧駅舎には常紋トンネル工事殉職者追悼碑の案内看板が残っていた。追悼碑は1980年に留辺蘂町立金華小学校の跡地に建立されている。つまり、ここにも小学校が在ったということだ。時代の流れは無情なもので、この集落から人の集いが、ひとつまたひとつと失われていった。


70019553.jpg


70019554.jpg


先日ご紹介した宗谷本線雄信内駅前と同様に、ここでも放棄された住居や車が立ち枯れる。積雪地帯だけに、雪に押し潰されれば早々に消え去る運命なのだろう。シャッターの上に掲げられた「地鶏たまご」の文字が、妙に心に染みてくる。在りし日の生活臭が、看板の文字とともに掠れて行く。


80015762.jpg


特急「大雪」は、間もなく信号場を抜け、2000年に開業した棒線駅の西留辺蘂へと向かう。かつて、石北本線にももっと多くの列車が行き交っていた。常紋越えの生田原、常紋、金華の各駅には交換設備等が設けられ列車を捌いていた。峠の常紋信号場が廃止され金華を棒線化すれば、生田原-留辺蘂間での交換が不能となり、列車運行の大きな支障となる。そのため、金華は信号場として生き長らえている。こちらも雄信内と同じ理由のようだ。蒸気時代には、キューロクの補機を従えたD51の牽く貨物列車が行き交い、国鉄の官舎もあった峠の要衝だったが、今や往時が偲ばれるのは長い交換設備だけとなった。


スポンサーサイト



テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2019/09/26(木) 01:00:00|
  2. 石北本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<川霧の朝 | ホーム | 下北を渡る風>>

コメント

時の流れ

金華。無残な姿になってしまったんですね。
寂しい限りです。
観光地化した大畑とは対照的ですね。
これも時代の流れで、線路があるだけでもマシというべきでしょうか。
それにしても秋の常紋は綺麗ですね。
あの頃は学校があったので、冬と夏の景色しか知りませんでしたが、秋の常紋、一度は撮ってみたかった。
もっとも、キューロクが活躍していた常紋を知っているだけでも、幸せというべきかもしれません。
この違いは、現役蒸気のイメージに影響するほど大きなものがありましたからね。
  1. 2019/09/28(土) 16:44:11 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

常紋の秋

まこべえさん、

確かに常紋、金華の衰退は、観光化が進む南の矢岳越えとは対照的ですね。
そこが北海道の過疎化の深刻なところで、厳しい冬も過疎を加速化させる一因なのでしょう。
石北本線の凋落はかなり重症で、山間区間は既に限界ダイヤで、白滝辺りではもう壊滅的です。
寂しい次第ですが、それが現実です。駅前のゴーストタウン化は北海道の当たり前になりつつあります。

そうですね。学校には秋休みはありませんから、現役蒸気時代の渡道に、秋はありませんでした。
現役蒸気の頃の常紋一帯は、針葉樹の人工林でしたが、その後の林業の後退で広葉樹が増えたようです。
皮肉なことに、地場産業の衰退が、紅葉を鮮やかにしているようです。
ただ、当時はモノクロが主体でしたから、紅葉は手強わかったかもしれませんね。
  1. 2019/09/28(土) 22:25:14 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://koarama101.blog.fc2.com/tb.php/878-239f1050
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

小海線 (162)
飯山線 (39)
宗谷本線 (36)
天北線 (4)
興浜北線 (2)
名寄本線 (1)
深名線 (2)
石北本線 (12)
渚滑線 (2)
湧網線 (2)
相生線 (4)
釧網本線 (10)
根室本線 (21)
太平洋石炭販売輸送臨港線 (1)
池北線 (1)
士幌線 (1)
広尾線 (2)
富良野線 (7)
留萌本線 (10)
札沼線 (5)
函館本線 (55)
室蘭本線 (14)
千歳線 (1)
石勝線 (1)
夕張線 (3)
夕張鉄道 (1)
日高本線 (4)
江差線 (11)
函館市電 (2)
大湊線 (9)
津軽線 (1)
津軽鉄道 (3)
五能線 (16)
八戸線 (8)
弘南鉄道 (1)
花輪線 (2)
三陸鉄道 (4)
釜石線 (8)
北上線 (9)
男鹿線 (3)
秋田内陸縦貫鉄道 (5)
由利高原鉄道 (2)
石巻線 (3)
仙石線 (1)
陸羽東線 (2)
陸羽西線 (3)
長井線 (2)
米坂線 (8)
羽越本線 (6)
磐越東線 (1)
磐越西線 (4)
日中線 (3)
只見線 (67)
真岡鐡道 (15)
東北本線 (1)
上越本線 (3)
しなの鉄道 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (10)
東海道本線 (3)
東海道新幹線 (1)
横須賀線 (1)
八高線 (16)
秩父鉄道 (10)
東京都電車 (5)
西武鉄道 (3)
小田急電鉄 (2)
江ノ島電鉄 (12)
箱根登山鉄道 (4)
御殿場線 (2)
岳南電車 (6)
中央西線 (2)
明知鉄道 (1)
名古屋鉄道 (1)
樽見鉄道 (1)
関西本線 (3)
小浜線 (2)
宮津線 (3)
山陰本線 (37)
播但線 (3)
姫新線 (5)
若桜鉄道 (2)
因美線 (3)
津山線 (2)
芸備線 (10)
木次線 (7)
福塩線 (1)
境線 (1)
一畑電車 (1)
三江線 (6)
山口線 (7)
鹿児島本線 (2)
日豊本線 (21)
筑豊本線 (10)
日田彦山線 (5)
伊田線 (2)
後藤寺線 (2)
田川線 (2)
唐津線 (4)
松浦線 (4)
佐世保線 (1)
大村線 (3)
長崎本線 (2)
島原鉄道 (1)
久大本線 (6)
宮原線 (1)
豊肥本線 (4)
高森線 (4)
肥薩線 (24)
くま川鉄道 (2)
吉都線 (1)
日南線 (3)
宮之城線 (2)
指宿枕崎線 (4)
鉄道展示館 (1)
写真集・書籍 (4)
鉄道模型 (1)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)
海外 (1)
山田線 (1)

月別アーカイブ

最新トラックバック

リンク

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR