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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

宗谷本線雄信内駅近くのとある廃屋の下駄箱の上にあったトースターのその後

リンクの風太郎さんのブログ『風太郎のPな日々』で、先日『風の弔い』という記事を拝見した。雄信内駅近くの朽ち往く廃屋が写っていた。こあらまにもその廃屋の記憶があり、調べてみるとやはり昨秋に撮っていた。風太郎さんの撮影が2012年であるから、それから6年後の姿ということになる。鉄道ブログに在っては異色のコラボとなるが、『風の弔い』のその後を追ってみた。


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2018年10月 雄信内駅近くの廃屋

入口の下駄箱の上に同じように何故かトースターがのっているので、間違えなく同じ廃屋だ。6年前には奥に部屋の形が残っていたが、最早瓦礫の山と化している。下駄箱の扉も落ち、トースターは横倒しになっている。風太郎さんの推察では、廃屋内に野球少年が貼ったと思われる大洋ホエールズのシールがあることから、少なくとも1990年頃までは人が住んでいたのではないかとのこと。人の生活が残した痕跡から色々なことが見えてくる。


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既に家族が去ってから30年程経っていると思われる民家は最後の時を迎えているようだ。冬のブリザードに煽られれば崩れ落ちそうな状態だ。今頃は既に原野の藻屑と化しているかもしれない。人も家もゆっくりと土に帰って行く。何時だったか「千の風になって」という歌が流行ったことがあるが、現実はそんなに調子のいいものではないようだ。人知れず朽ち果てていく様は、もっともっと儚く切ないものだ。


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駅前のメインストリートには更なる骸が連なる。こちらには、水平偏波受信用の地デジアンテナが付いている。この地区の知駒中継局の地デジ開局は2009年だ。つまり、この民家には少なくとも10年程前までは人が住んでいたはずだ。現在、駅所在地の幌延町雄興地区の住民は2世帯6人とされる。駅前には廃屋ばかりで住民はおらずゴーストタウンと化している。1973年に訪れたときには、少なくとも雑貨店その他数軒の商店が営業していた。


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宗谷本線 雄信内

さて、今度は駅に移ろう。この駅名は「おのっぷない」と読むが、駅以外は「おのぶない」と呼ばれている。どうして駅名だけが違ってしまったのか、これも何時だったかの旭川問題と同じようなことが連想される。2012年時点、この屋根を支える柱は洒落たデザインのものだったが、何時屋根が落ちてもおかしくない状態だった。さすがに、危険な状態は放置できないのか、柱が付け替えられている。しかし、この駅の乗降人員はゼロ更新を続けている。廃駅間近の駅舎に修復を施すとは如何なることなのか。


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こちらは駅舎のホーム側。窓と扉は全面アルミサッシ化と思いきや、手前の4つの窓は木枠のまま。この辺りにJR北海道の財政状況を垣間見たような気がする。この駅舎はかなり古そうだが開業当時のものではない。1953年建造の二代目だ。


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駅構内から音威子府方面を望む。この駅は本線仕様の立派な交換設備を持つ。現役蒸気の頃、何度かここでの交換を経験している。ひょっとすると、この駅が無くならないのはそのためかもしれない。宗谷本線でも、多くの交換設備が廃駅などによって失われている。確かに、この駅の交換設備を剥いでしまうと、かなり長い距離の棒線状態になる。この駅は実態は既に信号場なのかもしれない。


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駅名票の左隣の駅名はシール貼りの「ぬかなん」だ。JR北海道ではこんな駅名票をよく見るようになった。2001年に廃止された「上雄信内」に上貼りされたものだ。上雄信内は国鉄時代は仮乗降場だったが、JR発足時に他の仮乗降場と同様に駅に昇格している。JR設立時の意気込みが感じられる対応だったが、その多くが今はない。人知れず原野に埋もれていく人家もあれば、突然地図から消える駅もある。膨張の時代から収縮の時代へ。全ては千の風になってしまうのか・・・。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2019/09/18(水) 00:00:00|
  2. 宗谷本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

時は残酷ですね

拝見いたしました。
時は残酷ですね。たった6年で此処まで朽ちてしまうとは。
屋根が落ちて室内も雨ざらしになったので、崩壊も加速しているのでしょう。
呑気な旅人でさえ感傷に浸るのですから、此処で生を営んだ人の心情に想いは巡ります。

さて雄信内駅ですが、冬季のラッセルの都合が第一ではないかと。
やたら寝たスジで走るものですから、いかに宗谷本線と言えど何度も交換の必要があり、この駅でも交換します。
また旧事務室部分が保線区員の詰め所にもなっていますから、それが辛うじてこの駅舎を残しているのでしょう。
サッシは身内の保線区員のためにあるのです。
  1. 2019/09/18(水) 23:36:25 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

土に帰る

風太郎さん、

廃屋は一度崩れ出すと早いってことでしょうか。次回行ったときには全壊かもしれません。
ここに限らず、北海道ではこんな状態の駅前を普通に見かけます。家は必要無くなれば放置されるものなのでしょう。
広大な北海道ならではの処分方法なのでしょうが、ちょっと感じるものがあります。残酷ですね。
一昔前なら、古材や薪としてあっと言う間に持ち去られていたようですが、今の時代では用無しのようです。

なるほど。駅舎は、社員の事務スペースだけが補修されているというわけですか。職場環境の改善ってとこですね。
考えてみると、確かに宗谷線の交換設備のある小駅の駅舎は、保線等の詰所になっています。
乗客の来ない待合室に金をかけても仕様が無い。その通りですが、悲しい現実です。やはり既に信号場ですか。

ちなみに、幌延町には「町民乗車標」なるものが売られています。普通列車の減便対策で、特急自由席に安く乗れます。
町も鉄道の存続に健気に手を尽くしていますが、効果のほどは如何なものでしょうか。来月からJR北は運賃値上げです。
  1. 2019/09/19(木) 01:18:28 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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