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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

「ぬまひきょん」の棲む駅

利尻を車窓に北辺の地を列車が進む
後世に送り継ぐべき類希な宝の鉄路だ

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2018年10月 宗谷本線 下沼

現役蒸気の頃から宗谷本線との付き合いのある方々なら、この下沼の変貌ぶりには驚かされることだろう。いや、駅が何とか残っているだけ幸運と思わなければならない。宗谷線でも、結構な数の駅が廃止されて歯抜けになっているので、若かりし頃の記憶の中の駅順は通用しない。隣の南下沼は2006年に廃止され、駅名票には「ほろのべ」の文字がオーバーステッカーされている。ちょっと前まで、ご多聞に漏れず、ここの貨車駅舎も、ペンキがひび割れだらけの醜い外観を晒していた。

2016年8月、JR北海道は、幌延町内にある糠南、南幌延、下沼の3駅の廃止を町に伝達した。そこで幌延町が始めたのが、「あなたが守る秘境駅プロジェクト・マイステーション運動」だ。町が維持管理費を負担し、3駅を当面存続させることにした。下沼には、「ぬまひきょん」というイメージキャラクターが宛がわれ、駅舎は町民自らの手で綺麗にお色直しされた。平均乗車人員が1人にも満たない駅に、浄財を投じるのも大変かと思うが、駅がなくなることへの町の強い危機感が感じられる。

この写真を眺めていると、この路線を後世に伝えなくてはならないという思いが湧いてくる。こんな人口密度の低い大規模酪農地帯だ。地域内輸送など望むべくもない。その代わり、日本では稀有な雄大な風景が広がる。冬ともなれば風雪の白い大地に豹変する。これほどダイナミックで非日常的な四季の車窓を楽しめる長大路線が他にあるだろうか。防衛上だとか、通学生がいるのだとか、代替可能な取って付けたような理由ではなく、路線そのものの魅力を問うことが出来ないものだろうか。

国交省の案にもあるが、ここは思い切って、大胆な観光路線化の実験をしてもらいたいところだ。イギリスでは、リチャード・ブラウン氏率いるヴァージングループが鉄道運行会社を経営している。日本でも、観光業で辣腕を振るう、星野佳路氏の星野グループや三木谷浩史氏の楽天グループなどが列車を走らせれば、面白いことになるだろう。総合的な観光開発に繋がるだろうから、北辺の鉄路ばかりでなく、地域の経済にも良い影響を及ぼすだろう。旧態依然としたやり方では、宝を失うだけだ。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2018/12/23(日) 00:00:00|
  2. 宗谷本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

至宝の鉄路

いいお写真ですね。この利尻のアングルは初めて見たような気がします。
蒸機時代は下沼には縁がなかったのですが、宗谷本線にはこの手の駅舎が多くて、啞然とします。勇知駅はショックでした。
イギリスで見たある観光蒸機鉄道は、日常に溶け込んで保存鉄道然としていない自然さが印象的でした。
一方、この最北の長大路線を維持するのは一筋縄ではいかないでしょうが、利尻山を鉄道の車窓から眺められない日が来るなどというのだけは想像したくないものです。
  1. 2018/12/24(月) 08:38:48 |
  2. URL |
  3. ぜっきあいず #djaKVQjc
  4. [ 編集 ]

宗谷の宝

ぜっきあいずさん、

この場所、私も見たことなかったです。丹念に探れば、まだまだ利尻の見える場所がありそうです。
今回も色々と探し出しましたが、何せ本数が少ないので、あれもこれもとは行きませんでした。

宗谷線では、かつての有人交換駅が無人化、棒線化されると、その多くが貨車駅舎になってしまいました。
ということは、貨車駅舎の先代は、風情のある木造駅舎だったというわけです。下沼も木造駅舎と交換設備のある有人駅でした。
北線で、現在木造駅舎が残っているのは雄信内と抜海だけです。両駅とも無人駅ですが、交換設備が生きています。
一方、国鉄時代の板張りホームの仮乗降場は、JRが駅に格上げしましたが、待合は地元のものばかりで、そのままです。
そのため、こちらは多くが昔のままということです。東六線や糠南がこの類です。こちらの方が面白いかもしれませんね。

英国の保存鉄道にも行かれましたか。SVR(セバーン・バレー鉄道)はご覧になられましたか。
あそこは、凄いですよね。日本にも、ああいう保存鉄道ができないものでしょうか。
宗谷線は長いですが、北米にはもっと長大なのが走ってるじゃないですか。何とかしなきゃいけません。
  1. 2018/12/24(月) 23:41:14 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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