駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

少年とハチロク

ある夏の日の、西九州の小さな漁村の駅での入替作業。
機関車好きの子が、じっとハチロクを眺めていた。

01415F16.jpg
1971年7月 松浦線 江迎

この駅での貨物の入れ替えは結構な作業となる。真夏の日差しに照らされて、ハチロクが黒煙を棚引かせて、構内を何往復もして、列車を組成していく。

この松浦線江迎駅は、江迎湾に注ぐ江迎川の河口付近にあり、ご覧の通り、冷蔵車で海産物の積み出しがなされていた。現在この駅は、松浦鉄道西九州線の江迎鹿町駅となっている。

構内の隅から望遠レンズで入れ替え作業を眺めていると、小学生と思われる少年がファインダー内に現れた。半ズボンにランニングシャツ、野球帽。この時代の少年の夏の正装だ。何処に行くにもこの格好だった筈だ。近所の子なのだろう。ハチロクが交換作業をするのを知っているのか、枕木の廃材の柵に座って、一人で静かに、ハチロクを眺めていた。

ふと、ファインダーから目を離した隙に、夏の日の陽炎のように、この少年は消えていた。この子は今でも鉄道好きだろうか。


おしらせ 大木茂さんの 「モノクロームの残照」 が更新されました。冩眞帳に「筑豊本線 C55、D60」が掲載されました。「北辺の機関車たち」で見た雪と氷の世界のC55とは違った、炭鉱地帯ならではの世界が広がっています。写真数が多いので、鑑賞には時間に余裕をもって。

スポンサーサイト

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/05/02(土) 00:52:15|
  2. 松浦線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<桜の日に 「桜並木の駅」 | ホーム | キハ110 国鉄急行色 デビュー>>

コメント

「写真」は写ったものが全てで、「解説」をしてしまうと普通は面白くはなくなってしまうものです。
でも、あえて言ってしまうと、邪魔とも思える電柱の並びと、煙のたなびき、白いランニングシャツの男の子の点景、この微妙な組み合わせがそれだけで十分な物語になっていますね、良い写真だと思います。
それに添えられた文章も、簡潔で心にしみて良かった。
時として、饒舌は邪魔なことがあるのですが、キッチリとした短文は力がありますね。
とても楽しませていただきました。
  1. 2015/05/02(土) 01:26:45 |
  2. URL |
  3. 大木 茂 #-
  4. [ 編集 ]

駄文に汗

大木さん、

何時も示唆に富んだコメントを頂き、ありがとうございます。色々と参考になっております。

写真に限らず、唯一語るのは自らの作品だけで、作者が作品を語ることがないのが芸の世界の常です。ブログの場合、そのメディアの性格上、作品を見て貰いたいということに加えて、ブロガーである作者自身のことも伝えたいとか、仲間同士でコミュニケーションしたいとかいうことになりますので、どのような文章を付ければいいのか悩みどころです。写真を引き立てる短いものがいいとは解っていますが、ついついだらだらの駄文に。気を付けなくてはいけませんね。

話は変わりますが、どうも現役蒸気を扱うサイトは下降傾向で、寂しい次第です。ネタに限りがありますので、皆さん苦しいところです。小生の場合、まだ日が浅いので暫くは大丈夫ですが、何れは現役画が尽きる日が来ると思います。ただ、そこまで行き着ければの話ですが。
  1. 2015/05/03(日) 00:16:55 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://koarama101.blog.fc2.com/tb.php/73-a588c878
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

リンク

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

小海線 (100)
飯山線 (20)
宗谷本線 (13)
天北線 (1)
興浜北線 (1)
深名線 (1)
石北本線 (7)
渚滑線 (2)
湧網線 (1)
相生線 (2)
釧網本線 (3)
根室本線 (2)
池北線 (1)
広尾線 (2)
留萌本線 (7)
札沼線 (1)
函館本線 (36)
室蘭本線 (6)
千歳線 (1)
日高本線 (3)
江差線 (11)
大湊線 (4)
津軽鉄道 (1)
五能線 (2)
八戸線 (3)
花輪線 (1)
三陸鉄道 (2)
釜石線 (8)
秋田内陸縦貫鉄道 (2)
由利高原鉄道 (1)
米坂線 (2)
磐越西線 (1)
日中線 (3)
只見線 (43)
真岡鐡道 (14)
東北本線 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (3)
東海道本線 (2)
八高線 (8)
秩父鉄道 (7)
西武池袋線 (1)
西武山口線 (1)
江ノ島電鉄 (10)
箱根登山鉄道 (3)
御殿場線 (2)
岳南電車 (6)
中央西線 (1)
関西本線 (2)
宮津線 (1)
山陰本線 (22)
播但線 (1)
姫新線 (3)
津山線 (1)
芸備線 (6)
木次線 (1)
三江線 (3)
山口線 (5)
日豊本線 (14)
筑豊本線 (7)
日田彦山線 (1)
後藤寺線 (1)
田川線 (2)
唐津線 (3)
松浦線 (3)
佐世保線 (1)
大村線 (1)
長崎本線 (2)
久大本線 (2)
豊肥本線 (2)
高森線 (2)
肥薩線 (14)
くま川鉄道 (1)
日南線 (2)
指宿枕崎線 (2)
写真集・書籍 (4)
鉄道模型 (1)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR