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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

落石の落日

太平洋の夕日は敢え無く雲間に消えた
諦めかけていた一瞬の輝きに救われた

80015555.jpg
2018年10月 根室本線 落石

午後3時半、根室行の5631Dがこの場所に現れた。ここは、てっきりキハ54の生息域かと思っていたが、やって来たのはキハ40だった。それも、緑色のラッピング車で、おまけに丸いヘッドマークまでついている。この風景には極めて不利な車体色だ。この前日にも、花咲線でキハ40を何度も見かけた。財政難から車両の更新が出来ず、ご老体のキハ40が、また勢力範囲を広げているようだ。国鉄時代の車輌は、とびきり頑丈のようで、どうやらJRへの置き土産のキハ54よりも長持ちのようだ。

ここでの狙い目は、この根室行が折り返してくる5632D釧路行で、午後4時半過ぎに再びここを通過する。事前の調べでは、日没のおよそ10分前に通過することになっていた。太平洋の夕日と輝く列車が、思い描いた写真だ。どうせピッカピカが狙いだから、ラッピングも何のそのだと自分に言い聞かせる。ステンレス車の方が光るだろうなということは考えないようにして、海風の中を空模様を気にしながらひたすら待つ。暮れ往く太平洋の大海原はなかなか壮観で、贅沢な時間と思えば苦にならない。

30分前、上空は青空で、西の水平線には大した雲もない。例によって、ハラハラ時計の待ち時間が始まる。空の様子は、5分もあれば一変することは、小海線の天空時間で痛いほど思い知らされている。通過15分前、不吉な雲が流れ始めるが、太陽は水平線上にまだ見えている。5分前、上空には厚い雲が広がり、太陽も雲間に消えた。運も尽きたかと消沈した中を、定刻に5632Dが姿を現したが、ラッピング車は大地に沈んで冴えなく過ぎて往く。諦めかけたその一瞬、夕日が零れ、列車が輝いた。

先日、中井精也さんの鉄道写真のテレビ番組を見ていると、この場所で全く同じようなことになっていた。こあらまと同じように、諦めの中での列車の一瞬の輝きに、精也さんも大喜びしていた。その様子を見て、苦笑するしかなかった。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2018/11/17(土) 00:00:00|
  2. 根室本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

真三ライティング

その場にいるような臨場感で拝読しました。お気持ちはよく分かります(笑)。
暗雲が空を覆うも水平線だけ雲が切れるはよくある現象ですが、
ドンピシャのタイミングで夕陽が差すとは写真の神様が努力を認めたのでしょう。

空が暗雲に覆われていると上空からの光がカットされ、
水平線あるいは地平線ギリギリにある夕陽の色がより鮮烈に強調されます。
前田真三さんの「麦秋」がまさにそのライティングで、それにも恵まれたという事です。

それにしてもラッピング。北海道でこの秋から大増殖の話も聞けばやれやれです。
その意味でもそれを「無効化」出来た事はご同慶。
  1. 2018/11/17(土) 08:45:33 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

懐かしき落石

落石。懐かしき響き。
あれから45年以上の年月がたったというのに、この界隈はあまりかわっていないようですね。
人の気配はおろか、生き物の気配すら感じさせない荒野。空がとても広かった。
いまふりかえれば、高校生、しかも一人でよくぞこんな遠くまで遠征したものだと、我ながらあきれるばかり。
それだけ、蒸気は魅力ある存在だったのでしょう。
  1. 2018/11/17(土) 20:42:22 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

イメージがチャンスに

風太郎さん、

前田真三さんの言葉に、
「写真は10パーセントの技術と、50パーセントの魅力的被写体と残り40パーセントはチャンスだと思う。」
というのがあるらしいですね。『麦秋鮮烈』を撮った時に、息子さんに語った言葉だとか。
これは自然だとか、風景だとか、被写体を演出できない写真には、付いて回ることではないでしょうか。
チャンスに遭遇するためには、ひたすたその夢を見るということでしょう。
何らかのイメージをもって、現場に立つというのも大事なことだと思います。
まあ、この時はイメージとは少々違いましたが、チャンスであったことは確かです。

今回の旅では、何度もラッピング車に遭遇しました。根室本線が多かったように記憶しています。
撮ろうと思っている写真にマッチしたラッピングなどありはしませんから、厄介なことです。
日本人は本当にゆるキャラやアニメが好きですね。ルパン三世のラッピング車も見ましたよ。

そうそう、今回も拓真館に寄りました。いい刺激になります。
  1. 2018/11/17(土) 23:55:36 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

最東端の地

まこべえさん、

そうですね。高校生が一人で、こんなところを歩き回っていたわけで。それも雪の中を。
この地で撮るには、この界隈に泊まるか、急行狩勝の寝台車に乗る必要があったため、訪問回数は少なめでした。
花咲線もあの頃は、結構な輌数の客車列車が走っていましたが、今は何時間かに1本の単行です。
本数が大分少なくなったので、現役蒸気の頃よりも撮影の機会はかなり減り、ローカル線の趣です。
茶内や別当賀には国鉄の官舎がありましたが、今はその痕跡もなく、簡素な無人駅になっています。

落石のこの場所は昔とあまり変わりません。太平洋の眺望と樹木の少ない草地は昔のままです。
違うのは、今は鹿だらけということです。人と列車が少なくなった分、鹿が増えてしまったのでしょう。
ただ、時代は変わっても、素晴らしい撮影地であることは変わらないと思います。車窓の眺めも人気です。
ここからの太平洋の眺めは、鉄道を差し引いても、なおお釣りが来ます。素晴しい夕日が拝めます。
今回は自家ロケ車で走り回りましたが、この地は遠いです。次回はエア・アンド・レンタカーで行きたいところです。
  1. 2018/11/17(土) 23:58:08 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

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