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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

蒸気暖房の時代

列車に暖房の蒸気が絡み付く
古き良き時代の冬の鉄道風景だ

10625F16.jpg
1975年3月 石北本線 緋牛内

札幌発北見行の夜行急行517レ「大雪5号」は、北見からは牽引機をC58に換えて、普通列車1527レとなって終着の網走を目指す。ファンの間からは「大雪くずれ」と呼ばれ、石北線網走口の人気列車だった。C58に続いてマニ、スユニと2両の荷物・郵便車両を挟んで、寝台車のオハネフ12、スハネ16、オロハネ10が、そしてグリーン車のスロ54が続く。さらに、普通車の3両のスハ45、そして最後部はスハフ44となる。北見で普通車2両が切り離されているが、堂々の寝台急行10両編成が、ゆっくりと緋牛内を06:37に出発する。次の停車駅の美幌までには小さな峠が待ち受ける。中型機のC58には厳しい道中だ。懸命に蒸気圧を上げて加速態勢に入るが、なかなか速度は上がらない。黒煙ばかりが空へと立ち昇った。

旧型客車が謳歌していた時代、客車から漏れ出す蒸気暖房の湯気は冬の鉄道の風物詩だった。旅の記憶というのは、そんな他愛もない当地のごく日常的な眺めの積み重ねにあるように思う。眠気眼で眺めた車窓の外に漂う蒸気は、紛れもない北辺の地での思い出だ。そして、電気暖房が主流になった今、蒸気暖房は観光用の復活蒸気の牽く旧型客車や専用車両だけになってしまった。かつて、暖給車やDL、ELに搭載されていたSGこと蒸気発生装置も忘れ去られようとしている。蒸気機関車在っての蒸気暖房だろうかから、運命を共にするのも道理だろう。暖かさが一番のおもてなしとされる冬の北海道だが、蒸気に包まれて、如何にも暖房が効いていそうな寝台車の眺めも、蒸気機関車と一緒にもう遠い過去となった。


長らく自動更新を続けてきましたが、今回から通常運行に戻ります。自動更新の期間中は、北海道に滞在して道内を巡っていました。何時消えてもおかしくない根室本線、石北本線、宗谷本線の小駅を訪ねる旅でした。現役蒸気時代以来となる駅も多くありましたが、その凋落ぶりには驚かされます。既に廃駅をなってしまった駅跡を探したりもしました。確実に過疎化が進む現実に直面するばかりでした。この緋牛内にも再訪しましたが、もう一度撮ってみたいと思っていたオハネフの後方の丘からの眺望は、残念ながら失われていました。とても全ての駅をご紹介することは出来ませんが、なるべく沢山の実態をお送りできればと考えています。画像はまだコンパクトフラッシュの中ですが、整理がつき次第お送りします。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2018/11/07(水) 00:00:00|
  2. 石北本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

スチームの揺らぎ

硬質さばかりが目立つ鉄道にあって、蒸気機関車の煙、そしてゆらりと上がるスチームは、
その情景に柔らかな潤いと抒情を与えてくれたように思います。
蒸気機関車の煙に縁が無かった者にとって、スチームの揺らぎは冬の旅の象徴でもありました。
でもあまりに当たり前だったそれを写真の主役にしようとはあまり思わなかった事が今では痛恨でもあり。
いいものを見させていただきました。

深秋の北海道も楽しみにしております。
  1. 2018/11/07(水) 21:21:09 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

無事のご帰還

こあらまさん

まずは無事のご帰還、お喜び申し上げます。
今後の最新作のアップをお待ちしております。

さて、1972/10の鉄道ダイヤ情報(復刻版、表紙は陸羽東線C58重連)によると、大雪くずれ1527レの緋牛内発車は0639。
同じ1975/3の上旬にC58牽引の522レの美幌発車を0700に撮影しましたが、とにかく暗くて、露出開放でも1/60くらいで写した記憶があります。
それに比べるとお写真は随分と明るく撮れているなぁと
まず感じた次第です。
鉄道ダイヤ情報復刻版(角川系の電子書籍)を入手した
おかげで、列車番号と時刻を確認できるようになりました。便利な機能に感謝です。
なぜ、522レの美幌発車(実は待機)かというと、同じようなスチーム暖房の写真を以前にアップしておりまして・・・。
http://myoldsteamers.blog.fc2.com/blog-entry-1469.html
撮影時期も似通っていたため、ついつい比較して
しまいました。
ちなみに、1527レは美幌で522レと交換。私が撮影した
数分後に手前線路に入線してきたはず・・・です。
  1. 2018/11/07(水) 22:26:20 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

冬の鉄旅

風太郎さん、

列車から漏れるスチームは冬の旅の記憶そのものですが、確かに撮ることは希でした。
相手がスチームだけに、掴みどころがなかったというところでしょうか。変化するのも早いですし。
蒸気機関車後も旧客の時代は暫く続きましたから、蒸気暖房の風景はその後も続きましたね。
風太郎さんも同じように感じておられたようですから、やはりその土地の日常こそが旅の記憶になるのでしょう。

蒸気機関車と寝台車とスチーム。なかなかいい組み合わせだと思いますが、まさか夜行列車までなくなるとは。
いやいや、北海道では鉄道自体が大ピンチです。辺縁部の普通列車はどこも超限界ダイヤです。
列車があまりに少ないので、自ずと駅巡りの様相に。列車のない鉄道写真がテーマに。
お蔭で、根室、石北、宗谷の殆どの駅と駅跡を収録できました。
  1. 2018/11/08(木) 02:36:33 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

早春の美幌・緋牛内

マイオさん、

ありがとうございます。
ヒグマに遭遇することもなく、エゾシカに衝突することもなく帰還することが出来ました。
3年前にエゾシカを轢いているので慎重に走りましたが、根室も網走も稚内もシカだらけでした。
過疎化が進み、野生動物の勢力に押されている感じです。野良猫のようにしてシカが町中にいます。

この写真はPlus-Xの普通現像で撮っていますが、明るさは結構あったように記憶しています。
マイオさんは3月上旬じゃないですか。こちらは下旬ですから、その差ではないでしょうか。
美幌の522ㇾを拝見しました。確かに暗そうですね。この列車で網走側から来られたのでしょうか。
こちらは、大雪くずれで旭川側からです。ちなみに、この時の522ㇾの写真はこちらです。
http://koarama101.blog.fc2.com/blog-entry-405.html

以前にもお話したかと思いますが、当時のダイヤ情報、時刻表、鉄道ファンなどの雑誌類は全て保管しています。
当時のことは思い出せないことばかりで、記録も不十分なので、時刻表は大切な資料です。
もし、調べたいことがあればご連絡ください。その部分のコピーなどをご用意いたします。
  1. 2018/11/08(木) 02:40:36 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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