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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

魚沼へ 田への思い

人里離れた山間に棚田が広がる
山村の田への思いの結晶を見るようだ

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1977年5月 上越本線 湯沢

魚沼の米作りや酒造りなどの産業の基盤になってきたのが魚野川です。大正年間までは、水運にも利用されていました。谷川岳の西麓一帯を水源地として、長岡で信濃川に合流します。ちなみに、谷川岳東麓は湯檜曽川の源流で、利根川と合わさり太平洋へと注ぎます。上越線は、その湯檜曽川を遡り、分水嶺の谷川連峰を清水隧道で抜け、魚野川に沿って下るというコースを採っています。峠を越えて、越後側の最初の町が湯沢になります。今回の「魚沼へ」は、その南魚沼の湯沢から始まります。

最初の写真は、上越線を往く特急「とき」です。1974年に、ボンネット型181系の老朽化を補うために183系1000番台が投入されましたが、181系も在来線「とき」の最後の日まで上越線を走り続けました。魚野川の支流に架かるこの小さな橋梁の右奥に建設中なのが、上越新幹線の「ガーラ湯沢駅」です。本線は、駅は通らずに、この沢を渡ると直ぐに湯沢隧道に入り、次に地上に出るのは石打になります。その隧道工事の看板が写真左手の線路脇に立てられています。

湯沢は、川端康成の「雪国」によって、知名度が大きく上がった温泉町ですが、1982年の上越新幹線の開業によって、町の景観が大きく変わりました。折からのスキーブームが追い風となって、民宿やペンション、ホテルが次々と建てられました。さらに、1987年成立の天下の悪法のリゾート法の影響で、50棟以上の高層リゾートマンションが出現しています。その末路はご存知の通りです。リゾートマンションは10万円でも買い手がつかず、13億円近い固定資産税の滞納が生じているようで、廃墟だらけの町と化してしまっています。

そんな湯沢の町も、温泉地を除けば、新幹線が通じる前は静かな山間の農村の風情でした。何となく、バルビゾン派の絵画を連想するような、長閑な風景が広がっていました。この季節、魚野川沿いの田圃では、田植えが始まります。まだ、使われているのは小さな耕運機くらいで、田植機などはなく、一家総出の人手による田植えでした。人の手によって、3条に苗が植えられていきます。


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ここからは、北魚沼の守門村、入広瀬村です。山間部ですから、平地は僅かで、多くが山の斜面の棚田になります。今、棚田が脚光を浴びる時代になりましたが、それは観光資源としてのことです。有名になった棚田が各地にありますが、多くで農作地としての意味合いは失なわれつつあります。当時、この地にも見事な棚田が数多く存在していました。苗が何本も植えられないような、本当に小さな田にも水が張られ、大切に稲が育てられていました。今の世の中で、こんな手間暇掛かる田圃を維持しようという人はいないでしょう。日本がそれだけ豊かになったということなのでしょう。


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帰りに乗った只見線の小出行きの列車が、越後須原で列車交換しました。当時の小出口は、越後広瀬、越後須原、入広瀬、大白川に交換設備がありました。現在は、1列車のみが往復するだけの線区になってしまいましたから、除雪拠点駅の大白川を除いて全て棒線化されています。もう、2度と見ることのできない、小出口の交換風景かもしれません。キリリとした車掌さんの眼差しからは、国鉄の風格が伝わって来るようです。


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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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