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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

雪景備後落合

雪解けでキハの運行が再開された
高地の春に季節外れの雪が舞っていた

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2018年4月 木次線 備後落合

初めて備後落合を訪ねたのは現役蒸気の頃だ。夜行列車で真夜中の備後落合に降り立った。記録には「617D急行ちどり3号 米子発22:40 備後落合着02:23」とある。まだ、木次線と芸備線が、山陰と広島との陰陽連絡線として機能していた時代のことだ。夏のことで、山間の冷気に、短すぎる乗車時間の眠気が醒まされた記憶がある。当時も、駅周辺は山中の闇に包まれていたが、駅は夜行列車の発着に備えて夜中も明かりを灯していた。

それから半世紀が経ち、備後落合は無人駅になっていた。駐泊所は更地になり、偶にやって来る単行のキハ120も足早に引き返して行くが、不思議なことに、三次からの最終列車は、備後落合で夜間滞泊して、翌朝始発として三次に帰るというシフトを採っている。気になるのは、木次線の積雪期の代行バスだ。これまでの経験則からすれば、代行バスは廃線の前兆現象だ。期せずして今回は雪となったが、運休になりはしないかと気が気ではなかった。


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現在の備後落合は、芸備線の上下列車と木次線の列車の全てが、ホームを分けて折り返すという運転スタイルになっているため、構内配置的には3線の棒線の終着駅ということになる。1番線が木次線、2番が芸備線下り(三次方面)、3番が芸備線上り(新見方面)になっている。そのため、平時は構内の渡り線のポイントは一切切り替わらない。CTC化とこういった措置によって駅の無人化がなされたのだろう。


70017284.jpg


この写真で注目してもらいたいのは、左手の山際に残る給炭台と転車台だ。かつて、蒸気時代の備後落合には米子管理局の駐泊所が置かれ、要衝の駅として、芸備線のC58と木次線のC56が屯していた。転車台の先に機関庫があり、詰所などの建屋も何棟か存在していた。あの賑わいが嘘のように、今の備後落合は静まり返っている。


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正面奥の2線は、向って左が芸備線の西城・三次方面、右は木次線になる。この先、短い区間並走しながら木次線が一旦高度を下げていく。先の夜行広島行きの急行ちどりは、右の木次線から2番線に入線し、スイッチバックして芸備線を広島へと向かっていた。ちなみに、ちどり3号同士は西城で交換となり、上りの618Dの備後落合発は02:54だった。西城で乗り換えて宿代わりにすることも出来たが、2時台の乗り継ぎは寝不足必至だった。


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こちらは東城・新見方面だが、構内を出るといきなりの道後山への登りが始まる。蒸気時代には、こんなか細い道ではなかったような気がするが、半世紀を経た今は、まさに奥の細道だ。尾根を抜く2本のトンネルを抜けると小鳥原川に沿うようになる。小鳥原川には名撮影地の2本の橋梁が架かる。6.8kmで160mを登り、芸備線の最高標高駅である道後山に至る。ちなみに、JR西日本の標高の高い駅は、三井野原、道後山、油木、出雲坂根、小奴と、この界隈の木次線と芸備線が続く。


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2015年の芸備線 東城-備後落合間の輸送密度は何と8人/日だった。以前、国鉄再建法で特定地方交通線に指定されたのが4,000人/日未満だったことを思えば、これまでに廃止された路線が哀れに思えてくるくらいだ。それでも、何故か最低限のメンテナンスと列車本数で、この路線は維持されている。芸備線全体では一応3桁が維持され、鉄道網維持の観点から切り捨て難いものがあるのだろうか。何れにしても、かつての要衝は虫の息だ。生き残っているのが、不思議な場所になってしまった。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2018/05/03(木) 00:00:00|
  2. 木次線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

幻影

これが4月の風景とはおったまげというか、超ラッキーというか。
でもそれだけ山深い駅なのでしょうね。
こんな山中にも鉄道の要衝が在って常に煙が上がり、一晩中駅は明かりを灯していたと。
まるで幻影を見ているようですが、50年も経たぬうちにそれ程まで変わった世の中、
それは正の変化だったのか、負の変化だったのか、落ち着いて振り返るべし。
そんな気持ちにさせる「今の」備後落合です。ただ車窓から見送るばかりだった昔が悔やまれます。

綿のような雪を纏った森に消えるレールが美しい。
  1. 2018/05/03(木) 22:34:56 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

雪を被ったレール

風太郎さん、

半袖で汗をかいていたかと思えばこの雪ですから、近頃の天候の変化の激しいこと。
ラッキーと言えばラッキーですが、貴重な数本の列車を突然の吹雪で見失っています。

この備後落合の雪景色を、ちょっと違った観点から眺めるのも一興かも。
2枚目の2番線に雪が積もっていない場所がありますね。ここに三次行きの始発が滞泊していました。
その先の新見寄りのレールには雪が積もっています。つまり駐泊場所から先には列車は進みません。
森に消えるレールには雪は積もっていません。つまり新見方面の始発は既に3番線で折り返してます。
それが、先日アップした小鳥原川橋梁です。折り返しは、そのうちということで。
さらに、木次線の1番線のレールには雪が。つまり木次線の始発はまだです。それが1枚目です。
備後落合の駅撮りで天気回復かと思いきや、木次線の始発の頃には又しても吹雪に・・・。
駅構内のレールの雪を見ていると、何か推理小説のような趣になります。

確かに、この備後落合にも賑わいがありました。この駅を1日に何十本もの列車が走っていました。
凄い変わり様です。世の中が良い方向に変化しているのなら、そのことも甘受出来ないこともありません。
しかし、そう言えないのが現実です。世の中が荒んでいくのなら、「負の変化」と言わざるを得ません。
そっと佇む山間の駅も好きですが、備後落合の雪を被った転車台には、時代の変化の哀れを感じます。
  1. 2018/05/04(金) 22:55:59 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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