駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

原野への船出

原野に伸びる4条の鉄路。北海道の物流の大動脈だ。
遮る物もなく、横風で煙を棚引かせた蒸気を、ずっと眺めていた。

03516F16.jpg
1973年3月 室蘭本線 沼ノ端-遠浅

東京から札幌へ向かう航空機は、離陸後1時間程で、千歳のビーコンに引かれて、苫小牧沖で着陸態勢に入る。まもなく眼下には勇払原野が広がってくる。運が良ければ、赤熊に牽引された長大なコンテナ貨物を眺めることも出来る。所々に池塘があるが、ひときわ大きいのが、ラムサール条約登録湿地のウトナイ湖だ。

当時ここへは、上野から急行列車と連絡船を乗り継いで、20時間余りを掛けてやって来ていた。ここを、渡道後初めの撮影場所にしていたことが多かった。まずは、たっぷりの煙を味わうためだ。室蘭線と千歳線には、ひっきりなしにD51の長大貨物とC57の客レがやって来る。特にセキを50両ばかり連ねた2400tの石炭列車は見応えがあった。冷蔵車の「レ」ばかりを連ねた特急貨物もあった。時折通るキハ82系の長大編成も好きだった。

沼ノ端の陸橋から植苗・遠浅方面を眺めると、4本の軌条が美しいカーブを描きながら勇払原野へと伸びている。室蘭線の普通貨物が、Giesel Ejector を装備した追分の罐に引きだされて、ゆっくりと原野に向け動き出した。まるで、大海原に漕ぎだす船のようだ。この地に降り立ったときの、身が引き締まるような冷たい空気と、この船出の情景は、北海道に来たという確かな証しだった。

その後、勇払原野には大手メジャー企業の巨大プラントがいくつか建設させた。製紙の街、苫小牧市は更なる発展を遂げ、北海道の街としては珍しく、世帯数も人口も増加し続けてきたが、ここにきて停滞気味だ。鄙びた沼ノ端駅周辺は新興住宅街へと変貌を遂げている。

スポンサーサイト

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/03/24(火) 00:17:11|
  2. 室蘭本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
<<中村寺カーブ | ホーム | 北への旅立ち>>

コメント

42年前の北海道ですねっ!

大きな左カーブの先には日本一の直線区間が待っていました。
いかにも船出を迎えるようなD51の普貨、いいですねぇ。
無蓋車の木材はどこまで運ばれて行ったのでしょう。
さまざまな貨物の編成を観ていると想像の翼が羽ばたきましたよね。

くろくまは遠浅から歩いてお立ち台に立ち、植苗から帰るってのを
二度ばかり経験しました。
本当はウトナイ湖YHにでも泊まって湿原を横から狙ってみたかったものですが。
過密スケジュールの身ではそれも不可能でしたよね。
  1. 2015/03/25(水) 19:00:41 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

実は40年前くろくまさんと会っていた

くろくまさん、

重大な事実が判明いたしました。
くろくまさんからのコメントがきっかけで、もう一度、小生の記録を見ながら、くろくまさんの40年前の行動を追ってみました。小生も、当然、その時、北海道におりました。

小生の記録
3/13 宗谷線の下沼・徳満・幌延→314D礼文→旭川
3/14 旭川→517ㇾ大雪5号→遠軽→622D→渚滑→723D→下渚滑→726D→紋別→湧網線→遠軽→516D大雪4号→旭川→641D→富良野→
3/15 例の広尾線「落葉松並木の道」

つまり、1975年3月14日の朝、名寄線の622Dに「くろくまさん」と「こあらま」は同乗しています。渚滑で、くろくまさんは721D、こあらまは723Dで渚滑線に入り、同じように1791ㇾを撮っています。くろくまさんは721Dからロケハン、724Dで折り返していますが、こあらまは渚滑で撮影後、下渚滑で一発勝負にでました。その結果や如何に。その後、くろくまさんは返しの1792ㇾも狙い、こあらまは湧網線に転戦しています。この時の渚滑線の1791ㇾの編成を見比べれば、実証されると思います。
何ということでしょうか。あのようなマイナー路線で、あの日、くろくまさんと同じ列車に乗り、同じキューロクを撮っていたとは。そして、40年後、こうして再会できるとは。全く感無量です。

そのうち、練馬でプハーしましょうね。
  1. 2015/03/26(木) 01:23:48 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

なんとっ!

もしかすると渚滑での乗り換え時間に駅待合いで顔も見てるかもしれませんね。
それにしても渋い出会いです。

↓3/14の1791レのURLです。
編成がお分かりになりますかどうか。
http://kudaomaku.blog28.fc2.com/blog-entry-1297.html
  1. 2015/03/26(木) 07:39:22 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

間違えありません!

くろくまさん、

間違えありません。同じ列車です。小生の画では27両引いてます。
もっとびっくりしたのは、この直線を、くろくまさんは正面から、こあらまは後追いで撮っています。二人の距離は1~2kmといったところです。もし今使っているD800Eなら、くろくまさんを捕捉できていたかもしれません。

くろくまさんも見たらびっくりしますよ。こんなことってあるんですね。
とにかく見てのお楽しみ。近日中にアップします。
  1. 2015/03/26(木) 22:07:04 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

すばらしいっ!

モノクロ画では135ミリで捉えておりますので、こあらまさんを捉えているかもしれませんね(笑)

画の掲出、楽しみにしておりますよ。
  1. 2015/03/26(木) 22:56:16 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://koarama101.blog.fc2.com/tb.php/55-1d2cdac6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

リンク

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

小海線 (106)
飯山線 (20)
宗谷本線 (13)
天北線 (1)
興浜北線 (1)
深名線 (1)
石北本線 (7)
渚滑線 (2)
湧網線 (1)
相生線 (3)
釧網本線 (3)
根室本線 (2)
池北線 (1)
広尾線 (2)
留萌本線 (7)
札沼線 (1)
函館本線 (36)
室蘭本線 (8)
千歳線 (1)
日高本線 (3)
江差線 (11)
大湊線 (5)
津軽鉄道 (1)
五能線 (3)
八戸線 (3)
花輪線 (1)
三陸鉄道 (2)
釜石線 (8)
秋田内陸縦貫鉄道 (2)
由利高原鉄道 (1)
米坂線 (2)
磐越西線 (1)
日中線 (3)
只見線 (43)
真岡鐡道 (14)
東北本線 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (3)
東海道本線 (2)
八高線 (9)
秩父鉄道 (7)
西武池袋線 (1)
西武山口線 (1)
江ノ島電鉄 (10)
箱根登山鉄道 (3)
御殿場線 (2)
岳南電車 (6)
中央西線 (1)
関西本線 (2)
宮津線 (1)
山陰本線 (24)
播但線 (1)
姫新線 (3)
津山線 (1)
芸備線 (6)
木次線 (1)
三江線 (3)
山口線 (5)
日豊本線 (14)
筑豊本線 (9)
日田彦山線 (2)
伊田線 (1)
後藤寺線 (1)
田川線 (2)
唐津線 (3)
松浦線 (3)
佐世保線 (1)
大村線 (1)
長崎本線 (2)
久大本線 (4)
豊肥本線 (2)
高森線 (2)
肥薩線 (18)
くま川鉄道 (1)
日南線 (2)
宮之城線 (1)
指宿枕崎線 (2)
写真集・書籍 (4)
鉄道模型 (1)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (1)
島原鉄道 (1)

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR