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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

神威岬の道

神威岬を巡るキューロク貨物は不定期運用だった
入線の情報が流れ、岬にファンが集結した

10606FT16.jpg
1975年3月 興浜北線 目梨泊

東京では木枯らし1号が吹き、北の北海道からは雪の便りが届くようになった。「木枯らし」という言葉は、日本独特の季節感を表すものだ。木枯らしは漢字一文字で「凩」と書く。和製漢字の一つだが、何とも言えない表意文字の妙味だ。季節の変化に敏感な農耕民族のDNAと情緒豊かな日本語表現が紡ぎ出した言葉と文字だ。ところが「木枯し1号」となると、ちょっと世知辛い。気象庁の基準に合致した風が吹くと、「木枯し1号」を認定する。東京地方と近畿地方に限定のため、札幌や福岡には「木枯し1号」は存在しない。2号や3号はなし。基準に合った風が吹かなければ、1号もウヤになる。ということで、ニュースでは「東京で木枯し1号が吹きました」となる。

さて、今回はご存知の北見神威岬だ。この日は風が弱く、岬の反対側で上がったキューロクの煙も尾根越しに見え、線路が岬の海岸線に沿って通っていることが良く分かる。当然、岬の先端は急カーブになっていた。今の土木技術ではトンネルで岬を回避するところだが、建設当時は鉄道も国道も岬を巡る他なかった。現在の国道はトンネルに付け替えられ、岬巡りの旧道は冬季閉鎖ということで、肝心の流氷シーズンには岬には自力で向かうしかない。この興浜北線と羽幌線は「北辺」の中でも行き難い処だったが、この岬は一度は見ておきたい場所として人気を博していた。今では、目梨泊駅付近には、観光のための「神威岬公園」が整備されている。

興浜北線の終点は枝幸町の北見枝幸だが、鉄道が無くなっても町は衰退しないという例として、よく引き合いに出される町だ。毛蟹、鮭、帆立といった海産物と流氷で知られる人口8,000余りの活気のある町だ。道内の天気予報にも登場する町なので、道民であればその名と位置は誰もが知っている。高速バスの特急えさし号が旭川から2往復が、札幌から1往復が音威子府経由で通っているので、興浜北線が走っていた時代より都市間交通の便は良くなっているはずだ。それでも、毎年100人以上のペースで人口が減り続け、この写真の頃からすれば半減してしまっている。大都市を中心に人口がシュリンクするのは、今の日本では避けられないことのようだ。


長らく予約更新でお送りしてきましたが、今回から通常運行に戻ります。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/11/01(水) 00:00:00|
  2. 興浜北線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12
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コメント

おかえりなさい。

こあらまさま

また随分と長い旅でしたねぇ・・・。
撮れ高も大漁だったのでしょうから、楽しみに待ってます。
興浜南北線、以前お話した77年夏の初渡道時、
悪友と悪天候のせいでミーハー観光旅行と化した挙句、
乗りはぐった路線の一つです。
嗚呼、心を鬼にして行けば良かったと・・・。
  1. 2017/11/01(水) 09:58:24 |
  2. URL |
  3. 狂電関人@仕事休憩中 #vqoLnCUQ
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北のローカル線

狂電関人さん、

北海道の家も半ば管理物件のようなものですから、旅というよりは暫し住んでいたといった感じです。
今回は鹿と衝突することは在りませんでしたが、台風に2回も予定を狂わされてしまいました。
ボロ車が何事もなく4,200kmを走り抜いてくれてホッとしています。電関人さんの富山は数日で1,000km超でしたね。
延べ半月位は撮影に充てられたので、それなりの土産を持ち帰ったと思っていますが、まだ全てがCFの中です。

蒸気全廃後の旅で、3月に目梨泊に駅泊したことがありますが、月明かりの神威岬はそれはそれは神秘的な佇まいでした。
今の北海道は路線が少なくなって、あの頃のようなローカル線のハシゴが出来ないのが残念です。
  1. 2017/11/01(水) 22:17:33 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

夢のオホーツク縦断鉄道

こあらま様
お久ぶりです。すみません、多忙でありました。
興浜北線や南線、能取岬とサロマ湖をめぐる湧網線に乗りたかったのですが、残念ながら、叶わずでした。
代わりに、三十代前半に、網走から稚内までオホーツク街道を1日かけて長距離ドライブしたことがあります。
北見枝幸も大きな町で、漁港売店で毛ガニを買った思い出があります。
お写真も拝見し、鉄路があった頃、良い塩梅のローカル線だっただろうと感じました。
  1. 2017/11/02(木) 00:39:46 |
  2. URL |
  3. hmd #-
  4. [ 編集 ]

斜内~目梨泊

むむむ、これは痛恨の風景です。
こういう写真をモノにするべく、厳寒期に下り始発で夜明け前の斜内に降り、神威岬を目指したものの、
暗さ寒さで何処で撮ったらいいのかも分からないまま目梨泊に着いてしまうという体たらく。
海は流氷に覆われ全てが凍てついた地獄のような朝でした。
岬の斜面をよじ登った写真も良く見ますね。
枝幸もホタテだカニだで経済的には潤っているようですが、やっぱりヨソの土地が良く見えますかねえ。
  1. 2017/11/02(木) 20:59:45 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

オホーツクの町

hmdさん、

こちらこそ、ご無沙汰してしまいました。お加減は如何ですか。
確かに「オホーツク縦貫鉄道」という構想がありましたね。今なら笑い飛ばされてしまいそうですが、当時は真剣そのもの。
日本海側に比べて、意外とオホーツク海側は温暖で漁場にも恵まれ、それなりの町が連なっています。
実際に興浜南線と北線を繋げる工事も始まっていました。コンクリート遺構が残っているそうですよ。
湧網線は本当に素晴らしい景観の路線でした。北海道のローカル線ではトップクラスの眺めだったと思います。
こういう路線が観光路線化のチャレンジもなく散ってしまったのは、残念至極です。
私も近いうちにオホーツク沿岸をドライブしようと思っています。
もう鉄道はありませんが、それらが通っていた町が、今どうなっているか見てみたいです。
  1. 2017/11/02(木) 23:47:14 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

目梨泊定番

風太郎さん、

おっしゃる通り、神威岬の先端辺りはアングルが定まらない場所で苦労しました。
苦肉の策として、灯台を大きく入れたものや、接近戦のものが、当時結構出回っていました。
この写真にも、岬の先端の岩礁の上に5人くらいは写っています。なかなかの繁盛ぶりです。
風太郎さんの時は、流氷びっしりでしたか。地獄の朝というのがどんなもんだか体験したいものです。
流氷を期待して何回か行ってますが、何れも外れで、ご覧のような穏やかな海ばかりでした。
まあ、目梨泊で下車して無難に定番を撮ってる方が、よっぽど体たらくってもんですよ。
実は、この場所からは、目梨泊から枝幸へと去っていく後ろ姿も見通せるという特典もありました。
  1. 2017/11/03(金) 00:27:43 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

おかえりなさい

今回はずいぶんと長い滞在でしたね。
北の大地は、まもなく冬将軍の到来でしょうか。
これからアップされるであろう北辺の鉄路が楽しみです。

興浜北線、いまと違って入線情報は現地に行かないとわからなかった時代。
しかも、せっかく現地を訪れても天候が味方してくれない。
こあらまさんが訪れた時は水平線もしっかり見えていて、よかったですね。
こういう写真が撮りたかったなあ。
  1. 2017/11/04(土) 19:03:47 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

北帰行

まこべえさん、

また気儘な旅がしたくて、定職の方は早々に切り上げましたので、春秋には長旅を楽しんでいます。
さすがに夏だけは家を空けると大変なことになってしまうので避けるようにしています。
冬を前に函館の家をチェックしに行くのが、年中行事のようになってしまいました。
今年は寒暖の差が激しく、寒気が入った時は、夕張では雪、南富良野では朝マイナス4℃でした。
今の北海道は本当に路線が少なくなってしまったので、面白みに欠けるところがあります。
天北線や興浜北線なんぞに行っていた時代が懐かしいです。
この日、目梨泊で一緒に撮った5名ほどの方々の写真があるのですが、アップして探し出したいところです。
まこべえさんの時は悪天候だったんでしょうか。俯瞰ですから視界不良だと泣けてしまいますね。
スマホも携帯も無い時代に、入線情報が無宿人達の口コミだけで伝えられていたわけですから、凄い時代でした。
  1. 2017/11/04(土) 23:17:04 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

斜内山道

「興浜北線の斜内~目梨泊の灯台を見おろす丘(崖)から96貨物を撮るとすごい眺めだよ」と言われて、曇り空の中登りました。途中から吹雪になり、登ったのは良いものの、風と吹き付ける雪と寒さで四つん這いになったまま動けず。
列車が来る前に降りました。
私の興浜北線の思い出はこれだけですが、こあらまさんの写真を見ますと、とても良いポイントで撮影していますね。私も三脚を立てて見たかったです。
  1. 2017/11/18(土) 14:58:05 |
  2. URL |
  3. yba-d51 #-
  4. [ 編集 ]

冬の魔物

yba-d51さん、

悪天候での撤退は誰しも経験のあることでしょうが、折角の興浜北線では心残りなことでしたね。
冬の北海道では突然の吹雪もしばしばですから、撤退の英断で、遭難されなくて良かったということで。
北辺での無理は禁物で、危ない目に遭った連中が大勢いますし、命を落としてしまったグループも知っています。
崖を降りた後は線路端ですか。撮影後、浜頓別に引き返すと、興浜北線の返しと天北線が撮れました。
確かにこの岬の先端辺りでは、キューロク、灯台、海、流氷といったモチーフが大写しに出来、結構人気でした。
この写真の日は、たまたま視界の良い穏やかな日和だったので、俯瞰場所に落ち着いた次第です。
何れにしても、雪のシーズンにこんな処を歩き回っていたわけで、汽車撮りもなかなかワイルドな趣味でした。
  1. 2017/11/19(日) 17:11:00 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

こんばんは
いいですねぇ!不定期の列車は捕獲が大変だったでしょうね。

廃止直前に訪れキハ22(&流氷)をこの辺で記録しました。小生にとっては興浜北線は特別に好きな路線になってしまいました!
  1. 2019/06/21(金) 20:26:25 |
  2. URL |
  3. TOM☆彡 #-
  4. [ 編集 ]

好きになった者勝ち

TOM☆彡さん、

はじめまして。こあらまと申します。
拙ブログにご来場いただきありがとうございます。

流氷の興浜北線とは、結構なマニア振りだとお察しします。最初で最後ということでしょうか。
貴ブログの数々のバスを拝見しました。こういう世界もあったんですね。
趣味というのは、好きになった者勝ちっていうことでしょう。

今後ともよろしくお願いします。
  1. 2019/06/22(土) 00:17:23 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

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