駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

給水塔の現役時代

この給水塔は、蒸気の復活運転で残されたのかもしれない。
93歳のレンガ塔は、現役だった頃と同じように、今も蒸気送り迎えしている。

05227F16.jpg
1972年7月 山口線 篠目

今では、この給水塔が山口線篠目駅のものだと、誰もが直に判る。SL「やまぐち」号の運行で、一躍有名な鉄道遺構となった。多くの方々が、長閑な土地柄に立つレンガ造りの給水塔を絡めて、C571号機を撮影されている。竣工は1922年で、山口線が開通した1923年(大正12年)の前年だ。現93歳ということになる。仁保-篠目間の仁保地峠を越えてきた罐のために、この給水設備は設けられた。レンガ作りの美しい姿のためか、やまぐち号を引き立てるオブジェとしてなのか、取り壊されることなく遺産化した。

さて、停車しているのは、C571号機でも、C56160号機でもない。山口線管理所津和野運転支所の長野工場式デフのD51405だ。このレンガ塔から給水を受けている。給水塔にとっても現役時代だ。山口線管理所津和野運転支所は、通称で津和野機関区と呼ばれ、区名札は「山」だった。転車台、扇形機関庫、給炭・給水設備等の蒸気運行設備一式を有し、一見すればコンパクトな機関区といったところだ。小郡機関区とこの設備が、SL「やまぐち」号が、この路線で運行されるようになった理由のひとつだ。過去配属された戦後の主力蒸気は、勾配区間が多いためD60とD51で、C57の投入実績はない。トンネルも多数存在していたる為、集煙装置が装備されていた。そういった点では、この線区にC57を走らせるには無理があるのかもしれない。

当時山口線は、蒸気本数も少なく、D51のみであったため、そう人気の高い路線ではなかった。風景重視なら山陰線、本数や煙ならば美祢線あたりが良かった。小生は、この日の午前中は秋芳洞を見物していた。中国ワイド周遊券には国鉄バス路線の秋芳洞が入っており、追加料金なしで行けた。連日の炎天下の撮影に疲れたのか、半日鍾乳洞の中で涼んでいた。午後は山口線篠目での撮影に充てたが、山陰線のネガの中に紛れ込んで、つい最近まで撮影したことを失念していた。気がついたのは、やはりこの給水塔からだ。

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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/03/16(月) 02:37:25|
  2. 山口線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

こんばんは
篠目での給水塔と蒸気機関車、隣接しているのは機関士の休憩小屋でしょうか、やはり現役時代の方が画になりますね。
ホームの側面に見える「列車に注意」のペンキ書きは、現在も同じような位置に残っていますが、よくよく見ると嵩上げ部分に書かれているようです。
  1. 2015/03/16(月) 23:24:17 |
  2. URL |
  3. 高辻烏丸 #-
  4. [ 編集 ]

給水ポンプ?

高辻烏丸さん、こんにちは。

給水塔の上の方から伸びるパイプが、小屋の中に入って行っています。どうやら、小屋の中に給水ポンプがあるようです。井戸もあるかもしれません。ただ、それにしては大き過ぎますから、機関士や保線の方々が、屯する処でもあったのかもしれません。それにしても、この建物、いい味ですよね。

高辻さんも観察が鋭いですね。確かに「列車に注意」の書かれている場所が違います。何か違うなと思っていましたが、おっしゃる通り、ホームが嵩上げされています。右の「安全の確認」は元の位置です。

こうして、今昔を比較してしまうと、やっぱり現役の方がしっくり行きますが、ストラクチャーが減ったとはいえ、それなりに同じ構図で今も蒸気を撮影できるのも凄いことです。
  1. 2015/03/17(火) 12:51:52 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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