駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

続・青葉の山陰線を往く その19 国境の海

風光明媚な山陰海岸は国境に海でもある
沿岸警備という文字にそのことに気付かされる

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2017年4月 山陰本線 長門三隅

長門市の西隣の黄波戸の駅は、深川湾に面し、対岸に青海島を望む風光明媚な浜にある。立ち寄ってみると、駅前には「許すな密航!! 守ろう 山口長門海岸」のスローガンを掲げたポスターが下がっていた。ポスターの主は「長門地区沿岸警備協力会」とある。忘れかけていた「密航」という言葉に改めて気付かされた。美しい山陰海岸ということで、山陰線の旅をご紹介しているが、その入り組んだ海岸線は、密航者にとっては絶好の隠れ場と言える。日中は人気のない小さな入り江に潜み、夜間に上陸を試みるというのが常套手段のようだ。この地に暮らす人々にとって、日本海は生活と心の拠り所であると同時に、危険を運ぶ海なのだ。

10年程前であろうか「脱北」という文字が新聞紙上に度々見られた。小型の中国船らしき謎のボロ船が日本海沿岸で次々に発見され、地域社会を恐怖に陥れていた。人気の無くなった集落の片隅に、見知らぬ人が棲んでいるようだ、などという情報も飛び交っていた。かつては、神隠しのように沿岸の住民が消え、北朝鮮による「拉致事件」と判るまでにかなりの時間を要した。日本は島国であり、現在は陸上で国境を接する国はない。しかし、狭い日本海の対岸には確かに国情が全く異なる国が存在する。太平洋岸に住む人々にはあまり実感がないようだが、日本海沿岸の方々には、海の向こうに異国があるというのは切実な問題なのだ。

先般、日本海側のゴミの漂着について書いたが、流れてくるのはゴミやPM2.5ばかりでなく、密航者もだということだ。単に体制から逃れるための亡命ならまだしも、スパイや拉致のための密航であったら、それこそ日本としても一大事だ。当時、国も警察も海上保安庁も暢気に構えていた。「裏日本」などという言葉があるように、日本海側ということで、国家を揺るがす異常事態でありながら、軽視されていたのかもしれない。そのような意識が、多くの拉致被害者を出す結果となったのだろう。北朝鮮にとって日本は忍び込むことが容易な国の一つとされているようだ。結局、これまでに帰国を果たせたのは、小泉首相が電撃的に連れ帰った5名だけだ。


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2017年4月 山陰本線 黄波戸

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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/08/25(金) 00:30:00|
  2. 山陰本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

黄波戸

こあらまさま

言わずと知れたD51晩年の名勝、黄波戸~梅ヶ峠。
中学一年の最晩年に、親に反対されて博多を午前3時頃出る急行五島(?)での山陰D51撮影は幻に。
その時の仲間が撮った撮影地がそうでした!
電関人も岡見辺りで2度ほど職質を受けた経験があります。。。
  1. 2017/08/25(金) 08:42:11 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
  4. [ 編集 ]

一枚目

長門三隅の飯井方の三隅川橋梁ですか。ここは行ったことがないですね。長門市の黄波戸方にある深川川橋梁では撮影してます。ちょうど背景が青海島でした。

黄波戸の長門二見方はトンネルの手前から深川湾を入れて撮影できました。確かSLダイヤ情報にも紹介されてたと思います。黄波戸からトンネル入り口まで登り勾配。残念ながら登場したのはD51単機回送でした。
  1. 2017/08/25(金) 21:07:21 |
  2. URL |
  3. マイオ@撮り鉄夏休み中 #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

遠かった山口長門

狂電関人さん、

山口県なら隣県ですし、福岡から夜行日帰り圏ですよね。山陰線の名刹を目の前にして、それは残念なことでしたね。
関東圏からはこの山口長門はそれはそれは遠い処でした。それだけに、旅情を掻き立てられる線区でもありました。
今またその地を旅して、変わることのないノスタルジックな雰囲気には、魅了されるばかりです。
あの頃は、誰しも親の反対を振り切って旅に出たものです。電関人さんの岩美もそうだったんでしょ。
最初に冬の北海道に行った時には、母親は最後まで反対してましたが、親父は諦めてそっと軍資金を差し出してくれました。
  1. 2017/08/26(土) 10:47:24 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

深川湾の眺め

マイオさん、

さすがは山陰通のマイオさん。一枚目は確かに三隅川橋梁です。今は、こんなレールバス風の単車ですよ。
飯井でと思ったのですが、時間が無くなりこの場所となりました。どうせなら深川川の方が面白かったですね。
黄波戸から黄波戸峠のトンネルまでの間に、何か所か海が背景の抜けがあったはずですが、見つけられませんでした。
マイオさんも以前アップされていましたが、今回の狙い目の一つだったのですが、深川湾沿いは次回に持ち越しです。
何せ、列車本数が少なくて、思うようには行きません。益田-幡生間には定期優等列車も走っておらず、閑散としています。
  1. 2017/08/26(土) 10:49:20 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

訂正です。

こあらまさま

黄波戸~梅ヶ峠じゃなくて、黄波戸と梅ヶ峠でしたね。
なんとも記憶違いで・・・訂正させていただきます!
  1. 2017/08/26(土) 14:15:14 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
  4. [ 編集 ]

難読地名

狂電関人さん、

蒸気の時代は勾配が撮影地選びには欠かせませんでしたが、キハ撮りの今は上りでも下りでもあまり関係ないですね。
梅ヶ峠、黄波戸をはじめ、特牛周辺にも25‰があります。どれも、読み方が難しい地名ばかりなので、よく覚えています。
  1. 2017/08/27(日) 00:34:24 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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