駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

吉松は今

島式ホーム2面4線は要衝の駅の名残だ
機関区廃止とともに鉄道の町の歴史にも幕が降りた

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2017年4月 肥薩線 吉松

隼人発肥薩線上り4222Dが吉松に定刻に進入した。この列車は列車番号を2924Dに変えて、吉都線の都城行になる。進行方向に見える吉松駅の先で線路は二手に分かれる。肥薩線山線は、直進して正面の山中へと分け入る矢岳越えに進み人吉を目指す。一方、吉都線は右にカーブして、霧島連山の裾野を回るように、えびの市、小林市を経由して都城へと向う。この二線は開通当時の鹿児島本線,日豊本線であり、その要衝として吉松は鉄道の町として発展した。駅の山側には吉松機関区が設置され、多くの蒸気機関車が配置されていたが、今は広い跡地が広がっている。


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現在の駅舎は、初代の木造駅舎を取り壊し、1968年に落成した鉄筋コンクリート製だ。JR東海カラーとでもいうような鮮やかな外装と相まって、落成当時は時代の先端を往く、モダンな建物だったはずだ。駅舎の横には、何やら記念碑が並んでいる。左から、「肥薩鐵道開通記念碑」、「吉松駅開業百周年記念碑」、「吉都線全線開通百周年記念碑」の三つだ。この駅の歴史を物語る記念碑だ。吉松駅は1903年(明治36年)に、鹿児島から建設が進められた鹿児島線の終着駅として開業している。人吉からの山線が難工事の末に繋がり、鹿児島本線が開通するのは、その5年後の1908年のことだ。蒸気のスポーク動輪も展示されているが、台座のナンバープレートには「48674」とある。この罐は鹿児島で撮ったことがあるが、C56のテンダーを持つ異色の入換専用機だった。吉松区には在籍したことはないはずだ。こうしてみるとハチロクの動輪も結構な大きさだ。


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さらに進むと、小さな「鉄道資料館(観光SL会館)」があるが、残念ながら開館の10時までいるわけにはいかないので、屋外の石倉とC5552を見せてもらった。C5552は九州のSL最晩年まで残った罐で、K-6型門デフが目印だ。吉松区には2年間程在籍し、吉都線、日豊本線を走っていた。SLブームの盛りの頃だったので、多くの方々のネガに焼き付けられているはずだ。保存当初は、駅近くの線路脇の公民館に野晒しで保存されていたが、20年程前に今の場所に移動されている。吉松機関区OBの方々を中心にして維持・管理されているので、保存状態は頗る良さそうだ。そのうち、JR九州からの復活の呼び出しがあるのを楽しみに待とう。


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さて、一番気になるのは機関区のその後だ。線路、機関庫、転車台などの設備は綺麗になくなり、跡地だけが広がっていたが、機関区本屋だけが残っており、「鹿児島鉄道事業部 吉松運輸センター」の看板が掲げられていた。乗務員の詰所ということだが、保線関係も使っているようだ。この建屋は、70年代始めに撮影したものと同一で、かなりの年代物と思われる。駅で入手した情報では、機関区入口の門柱が残ってるということだったが、見つけ出せないまま時間切れになってしまった。


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1971年7月 吉松進入

面白いもので、46年前と同じ場所で撮っている。今昔物を撮ろうとは思っていないので、その時の気分で場所選びをして撮っているが、偶然にも同じ場所に立っていたりする。この記事の一枚目の列車の正面撮りで、おまけに撮ったものだが、偶々同じアングルの蒸気画があったので並べてみた。過去画はピンボケで、はなからボツ写真のため存在を失念していたが、微かな記憶が蘇り探し出したものだ。半世紀近くが経ち、吉松機関区を訪れた際のことはあまり思い出せないが、この写真は、かつてこの吉松の同じ場所に立ったという確かな記憶だ。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/08/03(木) 00:30:00|
  2. 肥薩線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

南九州

こあらまさま

タッチの差で間に合わなかった南九州のライパシ。
そんなこともあって、吉松の思い出は何にもなく。
それでもこの52号機には一度対面したいものです!
  1. 2017/08/03(木) 20:51:55 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
  4. [ 編集 ]

C5552

狂電関人さん、

無理して出掛ければ、まだ間に合ったといったところですか。残念でしたね。
C5552は吉松の前は若松でしたから、筑豊本線でも撮っています。その頃は、デフの下部が切り取られていませんでした。
青井岳の橋梁でシルエットを撮ったことがありますが、このデフはあまり格好のいいものではありませんでした。
保存状態はかなり良さそうですから、是非復活させてもらいたいものです。キャブにも入れて、見物するだけでも結構楽します。
  1. 2017/08/03(木) 23:28:00 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

吉松今昔

全く同じアングルの46年後の吉松進入・・・いいですねぇ。
実は現役当時は九州に全く縁がなく、諸先輩方の現役画の話題についていけず寂しい思いをしているのですが、定年前の一時期九州の取引先の担当になり、ある時、鹿児島での仕事が金曜夕方に終わったので、自腹ホテル&新幹線を翌朝の肥薩線経由(笑)に乗変して帰ることにしました。
で、訪れた吉松。うっかりして、C5552には気がつきませんでした。残念・・・
  1. 2017/08/06(日) 05:31:19 |
  2. URL |
  3. ぜっきあいず #djaKVQjc
  4. [ 編集 ]

追体験

ぜっきあいずさん、

私的には、夏の九州、冬の北海道が定番でしたから、南北どちらも幾度となく足を運んだ場所です。
北の常紋、南の大畑といわれますが、矢岳越えは如何でしたでしょうか。ちょっと後ろ髪を引かれたのでは。
考えてみれば、後補機の付くところは、どこもよかったですね。矢立峠、龍が森、木曽路、加太越えなどなど。
難所から順に無煙化されましたから、早くになくなってしまい、もう少し走っていて欲しかった路線ばかりです。
吉松はいい機関区でした。地形的なものなのか、何時も煙が充満していて、機関区には「公害防止」という文字もありました。
実際に撮影に行ったことがなくても、当時の情報は十二分にキャッチされていたと思いますので、行ったも同然です。
北帰行に次いで、今度は南国も巡ってみたら如何ですか。北海道とは全く違った大らかさのある場所です。
  1. 2017/08/07(月) 10:40:43 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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