駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

抜海巡礼 第4話 モノクロームの回想

この時代、夏の北海道は、若者達の放浪の地だった。
暇はあるが金がないカニ族たちも、同じような貧乏旅行をしていた。

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1974年8月 抜海-勇知 最果て鈍行322レ C5787

夏の抜海をご紹介しよう。夏は夏で一面の野原だ。原野と牧草地が延々と続いている。原野には良く見ると色々な花が咲いている。後ろの丘陵の斜面には、クトネベツの酪農農家が見える。
この頃になると、C55は検査切れの罐から順に廃車になっていった。代わって検査期限が残っているC57が無煙化路線から召集された。この87号機は遥々福知山からやって来た。何となく、抜海にC57は違和感がある。画にも落胆のためか勢いがない。

本当はここにはキューロクの画を入れたかったが、残念ながら抜海のキューロクの在庫がない。数少ないキューロクの貨物は抜海で交換する。そのため、交換を狙って一発勝負するか、別の場所で2回戦とするか。小生はずっと後者を選んでしまっていた。敢えてリンクは付けないが、諸氏の名作を拝見するにつけ、後悔が募るばかりだ。
兜沼、徳満、豊富、下沼辺りの画で話を続けることも考えたが、やはり風景が抜海とは違う。宗谷本線のキューロクは別の機会ということで、勘弁して頂きたい。


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1974年8月 バッカイの丘で

40年前にも利尻山バックのバッカイ集落を、海岸沿いの丘陵に登って撮っている。現在よりかなり集落の家の数が多いように感じる。オロロンラインの道幅が狭く、その先の海岸線までは、乳牛の放牧地になっていたようだ。何頭かの乳牛を見ることが出来る。ただ、原野の広がりは今も昔も変わらない。第3話の画を撮った時にはこの画のことは失念していた。ポイントを探して歩き回ると、同じところに行き着くようだ。


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1973年3月 南稚内-抜海

このシリーズ第一弾の最後の画は、抜海に到着する322レの後追いとしたい。結構好きな画だ。ハエタタキが壊れているのが侘びしい。
空と雪のコントラスト。凛とした朝の空気の中で見た、眩しいような雪原の輝き。その中を静かに去って行ったC55の最果ての鈍行列車。北辺の地を旅した僕らの心の中に深く刻み込まれた心象風景だ。


これで「抜海巡礼」は一旦おわりです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

スキャンが順調に進めば、来年の今頃、70年代後半の
「第5話 キハ22がいた頃」以降をお送りする予定です。


宗谷本線の蒸気を追いかけていたあの頃から、すでに40年余りの歳月が過ぎました。こんな最北の地に、それも冬期にも足を運び、貴重な旅の経験ができたのは、まさに蒸気のお陰です。そして現在、経験を共有する諸兄や、次の世代の同好の士に、その姿をご紹介できるのは、大変喜ばしいことです。

ご同輩には、今また人生の節目を迎えられようとしている方々もおられると思いますが、小生は、少しずつ、気ままな旅を再開しようと思っています。あの頃、蒸気も旅も好きでした。やっと少しばかり金回りも良くなり、時間の制約だって今後は少なくしていこうと思います。昔巡った場所をトレースするもよし。新天地を求めるもよし。人生楽しまない手はないと思っています。新たな巡礼の旅の始まりです。

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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/03/06(金) 17:01:12|
  2. 宗谷本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<小海線にあのキハが蘇る? | ホーム | 抜海巡礼 第3話 抜海村字バッカイ>>

コメント

バッカイの丘

バッカイの丘、私も昔登りましたよ。
暮れなずむ時間帯に利尻のシルエットと抜海の町の灯りが見えました。
その頃変節するローカル線の現実に辟易しつつあり、一度線路を離れて見たかったのだろうと思います。
それがまた最近改めて通いつつあるのですから自分の事も良く分かりません。

茫漠とした牧草地は今も変わりませんが、確かに集落は随分小さくなった気がしますね。
せめて酷寒の地に建つ駅の香りを残す抜海駅はいつまでも残って欲しいです。
  1. 2015/03/07(土) 09:41:02 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

悩める丘

そうですか。風太郎さまもこの丘に登られましたか。この地の丘に同じように登られるとは、面白いですね。

バッカイの丘に初めて登った頃は、SLブームが凄くて、ちょっとひけていました。この頃から、風景画へ転向していきました。やはり、悩ましいときに来る場所なのでしょうか。今も、鉄道ブームが過熱気味ですので、なるべく鉄の来ない過疎地で、静かに撮るようにしています。

先日風太郎さまがおっしゃっていたように、私も、昔は自然風景がメインでしたが、今では人の作ったものや、人の気配があるものの方に、目が行きがちです。利尻山もバッカイの村を引き立てる脇役ですね。
  1. 2015/03/09(月) 01:45:42 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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