駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

抜海巡礼 第2話 抜海駅

この駅にも、かつては駅員が配置され、待合室にはストーブの火が絶えなかった。
自然の過酷なこの地で、人の温もりのない建物が、何時までも耐えられるものではない。

70002928.jpg
2013年11月 宗谷本線 抜海 ((以下同じ)

この抜海駅はJR北海道宗谷本線の終点稚内の二つ手前の駅だ。現役蒸気の時代には、抜海-南稚内間の中間辺りにある利尻富士の見える場所でC55を狙うため、多くのファンがやって来ていた。キューロクの貨物列車の交換風景も見られた。その後も、DD51化された「最果て鈍行」を求めてファンが引続き来ていたようだ。鉄道ファンにとっては説明の要らない駅だ。

ただ、この駅の人気は鉄道ファンだけでない。人生に疲れ、悩む方々が、人工物を排除した広漠な風景に身を癒し、物思いに更けるためにやってくるそうだ。彼らにとって、抜海の「何もない」というイメージが重要なのだろう。確かに駅前には数軒の民家があるだけだ。ただ、何もない所に駅が出来る筈がない。少々集落から離れているだけだ。朝には何処からともなく人影が現れる。


70002934.jpg


70002931.jpg

これはローカル線全般に言えることだが、貨物と手荷物の取り扱いが終ってから、駅の無人化と施設の縮小が進んだ。宗谷本線でも、多くの駅で交換設備が剥がされ棒線化し、駅舎は廃車となった貨車を利用した味気ないものに変貌した。そんな中で、抜海駅は昔の面影を色濃く残す珍しい駅となっている。ダイヤを組む上で、どうしてもこの駅での交換が必要らしい。駅舎正面は修理で大分姿を変えたが、1924年の開業時の下見板張りの木造駅舎が残されている。これは、変に人気のあるこの駅へのJR北の配慮なのだろうか。駅の佇まいそのものが集客力をもっているのだから、そう易々とは貨車化できないのかもしれない。気象条件の大変厳しい場所だけに、91歳の駅舎が大きく壊れないことを願うばかりだ。駅舎修復のための募金箱でも置いたらどうだろか。


70002944.jpg
4330D 名寄行 キハ56


スポンサーサイト

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/03/02(月) 23:47:12|
  2. 宗谷本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<抜海巡礼 第3話 抜海村字バッカイ | ホーム | 抜海巡礼 第1話 最果ての鈍行列車>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://koarama101.blog.fc2.com/tb.php/44-f98f80ef
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

リンク

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

小海線 (99)
飯山線 (20)
宗谷本線 (13)
天北線 (1)
興浜北線 (1)
深名線 (1)
石北本線 (7)
渚滑線 (2)
湧網線 (1)
相生線 (2)
釧網本線 (3)
根室本線 (2)
池北線 (1)
広尾線 (2)
留萌本線 (7)
札沼線 (1)
函館本線 (36)
室蘭本線 (6)
千歳線 (1)
日高本線 (3)
江差線 (11)
大湊線 (4)
津軽鉄道 (1)
五能線 (2)
八戸線 (3)
花輪線 (1)
三陸鉄道 (2)
釜石線 (8)
秋田内陸縦貫鉄道 (2)
由利高原鉄道 (1)
米坂線 (2)
磐越西線 (1)
日中線 (3)
只見線 (41)
真岡鐡道 (14)
東北本線 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (3)
東海道本線 (2)
八高線 (8)
秩父鉄道 (7)
西武池袋線 (1)
西武山口線 (1)
江ノ島電鉄 (10)
箱根登山鉄道 (3)
御殿場線 (2)
岳南電車 (6)
中央西線 (1)
関西本線 (2)
宮津線 (1)
山陰本線 (22)
播但線 (1)
姫新線 (3)
津山線 (1)
芸備線 (6)
木次線 (1)
三江線 (3)
山口線 (5)
日豊本線 (14)
筑豊本線 (5)
後藤寺線 (1)
唐津線 (3)
松浦線 (3)
大村線 (1)
長崎本線 (2)
久大本線 (2)
豊肥本線 (2)
高森線 (1)
肥薩線 (12)
日南線 (2)
写真集・書籍 (3)
鉄道模型 (1)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)
指宿枕崎線 (1)

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR