駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

オホーツク早春賦

オホーツクの流氷もそろそろ海明けの時期を迎えた
早春の陽光を浴びて、混合列車が海辺を駅を往く

0401116.jpg
1973年3月 釧網本線 北浜

釧網本線の流氷とくれば、かつてはこの北浜の海岸段丘が最もポピュラーな撮影場所だった。数多くの映画のロケ地にもなり、「オホーツクに一番近い駅」として、今は中国や韓国からの観光客に人気を博しているようだ。流氷というのは、常に風任せで移動しているもので、東風が吹けは接岸し、西風が吹けば沖に遠ざかるということを繰り返す。当時は、道内を巡業する同業者同士で、接岸状況を情報交換しながら撮影のタイミングを図っていた。例年、網走の流氷は1月下旬から2月上旬に掛けて流氷初日を迎えるが、3月も下旬になると何時終日となってもおかしくない時期となる。まもなく春一番の強い西風が吹き、一気に海明けとなる。

この写真も、悪い眺めではないと思うが、月並みであるということは免れない。定番スポットでのピカピカ状態では大した感動も湧かない。今なら、もう少しマシな時間帯やアングルを考えただろうが、当時は残念ながら定番止まりだった。以前「釧網本線の二つの太陽」という記事で、大木茂さんのとびっきりの名作である朝日の浜小清水をご紹介したことがある。当時も浜小清水の原生花園側の段丘は気になっていたが、さすがに朝日を絡めようなどとは、全く考えが及ばなかった。今でも、未練がましく始発列車の時刻なんぞを調べてみたりもしているが、もう棚引く煙が蘇るわけでもなく、街の様子も変わってしまったので、別のアングルを探せという声も聞こえてくる。

独自色に欠けるお立ち台写真とは言え、当時蒸気を追いかけた方々には、やはり懐かしさが込み上げてくるシーンだろう。この時は「団結号」に散々泣かされたが、テンダーのスローガンは、うまい具合にドレインで隠されている。盛大な黒煙はファンに対する、その埋め合わせのつもりだったのだろうか。オホーツクの早春賦の流氷と、知床連山海別岳と、在りし日のC58の混合列車を、それなりにお楽しみいただければ幸いだ。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/03/18(土) 00:30:00|
  2. 釧網本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

定番と雖も

誰もがこういう機会に恵まれた訳ではなく、また、定番になるにはそれだけの理由があります。知床連山がバッチリ、流氷ビッシリのタイミングはごく限られており、それを捉えられたのはお見事の一言に尽きます。いやいや、羨ましい。
  1. 2017/03/18(土) 08:49:33 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
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北浜の思い出

こあらまさま

その無煙化後の訪問でしたが、やはり良い駅でした!
折角旅行中の貴重な晴れだったのですが、同行者の希望に付き合い一日割いての摩周湖観光でした。団結号も当時の春の風物詩ですね。私も混合列車乗車の良い思い出です。
  1. 2017/03/18(土) 09:40:30 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
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懐かしい♪

「同業者同士で、接岸状況を情報交換しながら撮影のタイミングを図っていた」-まさにそうでしたね。
写真も懐かしさいっぱいですが、こういう想い出のほうが、同じ時代を、同じ世界を生きていたことが強く伝わってきて、懐かしさを感じます。
あのころは、まだ中学・高校生でしたから、流氷シーズンにまにあうか、どうかのぎりきり。
道内で情報を仕入れて現地入りしたものの、まったくない!なんてこともよくありました。
今年は、国鉄が解体されて30年。
北海道はなかなか時間がとれませんが、スケジュールの都合がつけば、山口のシゴナナに会いに行こうかと考えています。
  1. 2017/03/18(土) 13:38:52 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
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お立ち台だったのですか

ぼくも68年から72年まで何度か北浜に行っていたのですがこのアングルは知りませんでした。情報量の多い、よい写真ですね。
まぁ、ご存じ北浜駅の南側の海岸段丘に登れば探せたポイントだとは思いますが、いろいろと試行錯誤、探すことは必要ですね。先人の足跡だけでなく、自分だけのポイントを見つける大切さを改めて感じます。
老婆心ながら、背後の山は「海別岳」ではないでしょうか?
先鋭的な「斜里岳」と並び穏やかな「海別岳」が印象に残っています。
話変わって、2月にこのあたりに行ってきました。
まぁ、とんでもなく変わっていますね。
近々我がサイトで「ちょっとセンチメンタルな旅」の更新をします。宣伝ですみませんどうぞよろしくお願いいたします。
宣伝ついですみません、「北辺の機関車たち」が復刻することになりました。
現在、5月の出版に向けて鋭意制作中です。
これまた、なにとぞ、どうぞよろしくお願いいたします。

  1. 2017/03/18(土) 19:13:33 |
  2. URL |
  3. 大木 茂 #-
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鉄道のある風景

電柱がうるさいは今も昔もというところですが、この頃の電柱は木製でどこか風景に溶け込んで見えます。
電柱ならずとも線路周りのあらゆるものがひとつの調和の中にあって、
豊かな自然と共に凛とした「鉄道のある風景」を作っていたように思えるのです。
今はその調和が破壊され無秩序なものが乱立して、大木さんならずとも残念な風景になってしまっています。
良い悪いは別として、これも一種の社会の多様化複雑化の帰結なのでしょうか。
  1. 2017/03/18(土) 23:47:06 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
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天気頼み

マイオさん、

流氷とか、利尻とか、常紋の三角山だとか、自然が相手ですと、どうしても運が付き纏います。
接岸情報や天気予報で機会を狙っていましたが、まずは作戦成功と云ったところでした。
マイオさんが仰るように、お立ち台とはいえ、素晴しい眺めを拝めたことに感謝しないといけませんね。
ただ、団結号には泣かされました。この列車のサイド狙いは、まんまと春闘画になりました。
3月も後半だとチャンスは増えますが、マイオさんの春休みは学校の都合で早かったんでしたね。
  1. 2017/03/19(日) 00:54:42 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
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やっぱり摩周観光

狂電関人さん、

実は私も摩周観光に行ったことがあります。
その時は、ちょっと鉄道写真に疲れ気味だったので、日程の半分くらいを非鉄に割いてしまいました。
今考えれば、何と勿体ないことをしてしまったのかと、後悔するばかりです。痛恨の摩周観光でした。
混合列車の走っていたのは、途中駅での貨物取り扱いが少ない、数少ない特別な路線でした。
肥薩線山線は貨物列車に客車が付いていた感じですが、釧網線は客車列車に貨車がぶら下がっていた感じでした。
客車からは、片方は機関車、片方は貨車と、鉄道好きにはたまらない列車でしたね。
  1. 2017/03/19(日) 01:00:52 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
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北海道中鉄道旅

まこべえさん、

当時の北海道では、情報交換が本当に盛んでしたね。インターネット無き頃は、口コミが重要な情報源でした。
小さな盲腸線は、何所も曜日指定だったり、不定期だったりしましたから、仲間との情報交換が必要でした。
そんな情報を元に、夜の札幌で「利尻」に乗るか、「大雪」か、「からまつ」か、はたまた「すずらん」か、何て具合でしたね。
そうそう、「狩勝」は全車指定で除外でした。山線経由の普通夜行もありました。そんなあの頃が懐かしいです。
今の方が、写真ということでは集中できているような気がしますが、「旅」というところでは、当時の方が格段に楽しかったです。
復活蒸気も同じ蒸気機関車ですから、見れば見たで楽しいですが、そこから先は人夫々でしょう。
山口線は、田園風景がなかなか美しい路線ですから、シゴナナを愛でるにはいい場所です。
  1. 2017/03/19(日) 01:03:43 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
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北辺復刻

大木茂さん、

ご指摘の通り、背景の山はその山容から間違えなく「海別岳」です。不覚にも勘違いしてしまいました。ご指摘ありがとうございます。
北浜辺りは、釧網線、国道、段丘がずっと並行していますから、段丘の何所に登るかということです。
知床の山並みを背景に北浜発車が狙えるこの辺りが人気だったように記憶しています。
次の「ちょっとセンチメンタル」は、釧網線ということでしょうか。浜小清水の段丘には展望台が出来ているみたいですね。
今の写真を見ると、当時の家屋や電柱の木の質感は、もう失われてしまったような感じです。
蒸気機関車が走っていた頃のままというわけにはいきませんが、ちょっとがっかりもしています。
ところで、「北辺の機関車たち」の復刻の件は、もうオープンということでしょうか。
当時、買えなかった方、買いそびれた方も多かったと思いますので、嬉しいニュースになると思います。
話題として取り上げて、皆さんを喜ばせたいと思いますので、よろしくお願いします。
  1. 2017/03/19(日) 01:09:14 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
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景観破壊

風太郎さん、

日本では、景観を守ろうという視点が決定的に欠如し、自然や街並みといった景観に無頓着な面があります。
これも、新たに造ることを第一義としてきた土建屋国家の性根と関係があるんでしょうね。
近頃、「レガシー」という言葉が、新しく建設されるものに対して用いられているのにもビックリです。
日本は木の文化であるため、家並みが時代とともに変化していくのは止むを得ないことかもしれません。
この写真の頃は、冬には家の窓にはビニールシートを張るような時代でしたら、そのままというわけにはいきません。
ただ、景観を守るということと、生活の質を向上させることを両立させるのが、文化的な国のやり方です。
それぞれの地域や街に相応しい景観を、自ら模索し律するのが地方創生の第一歩かもしれません。
  1. 2017/03/19(日) 02:42:37 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

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