駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

春を待つ

遠く離れた道東にも春の気配が伝わってきた
雪解けが始まった端正な冬木立の向うに煙が流れる

1063116.jpg
1973年3月 石北本線 緋牛内

ここ緋牛内に駅が出来たのは1912年のことだ。当時の札幌から北見、網走へのルートは、旭川から現富良野線、根室本線、池田から網走本線(旧池北線と現石北本線)を経由するものだった。次に開通したのが、名寄、興部、遠軽を経由する湧別線のルートだった。そして、1932年に北見峠を石北トンネル(4329m) で越える最短の石北ルートが最後に開通し、現在の石北本線が形作られた。遠軽の駅がスイッチバックになっているのは湧別線ルートが先だったからに他ならない。SLファンであれば常紋が最大の難所と思われがちだが、その生い立ちからは、いかに北見峠が難攻不落の峠であったが窺い知れる。石北本線の中でも最も人口が希薄な地帯であり、現在は普通列車が1往復のみという閑散とした場所だ。この三ルートのうち、旧網走本線ルート、旧湧別線ルートは早々と廃止となった。残る石北ルートも風前の灯となった。釧網本線とともに消えてしまえば、北見と網走は100年前の鉄道の通わない町に戻ることになる。

その北見峠には、常紋トンネルと同じように血塗られた歴史がある。この峠に中央道路と呼ばれた開拓道路が開削されたのは1891年のことだ。そのために、時の明治政府は空知集治監と釧路集治監の別館として網走監獄を設置した。過酷な労働により、囚人のおよそ五分の一の200人以上の犠牲者をだしている。このことを題材にした小説が、阿部譲二の「囚人道路」だ。こうして、屯田兵による北見開拓が進められることになり、「たまねぎ列車」へと繋がっていくことになる。現在この北見峠には、旭川紋別自動車道という例の高速モドキの高規格国道が通り、何と遠軽まで4車線で完成している。さすがにその先は2車線に計画変更のようだが、「たまねぎ列車」を差し置いて、造ることには変わりはない。お役人が、人の命も血税も、何とも思わないのは昔も今も変わらない。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/02/24(金) 00:30:00|
  2. 石北本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

歴史の味わい

こあらまさま

石北本線ができるまでの鉄路の歴史を感じる、
あの遠軽の線形、急行大雪の上りで体験いたしました。。。
旧池北線、未乗だったのが残念です。
  1. 2017/02/24(金) 22:29:03 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
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北辺への誘い

狂電関人さん、

「オホーツク」印の白いコンテナを見かけると、自ずと北見や網走が思い浮かぶのですが、長らくご無沙汰しています。
貨物路線はそう簡単には廃止には出来ないだろうと踏んでいますが、この時代、何が起こるか分かりません。
池北線も湧網線も名寄本線も無くなり、石北一本ですが、贅沢は言ってられません。今年こそはと思ってます。
どうです、関電人さんも北辺への旅は如何ですが。羽田をテイクオフすれば、稚内も女満別も釧路も直ぐですよ。
さて、あのお方はどの空港でしょうかね。
  1. 2017/02/25(土) 01:04:14 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

北海道横断鉄道構想

こあらま様
池北線に網走行き急行が走ったとは聞いておりましたが、湧別線も第二のルートとは初耳で、とても驚きました。
鉄道的なロマンを感じるところですね。
人口が少ないですから、旅客輸送だけで成り立つのは難しいことが明白の上、
北海道の特性を考えると、都市間貨物鉄道輸送に有利であるのに、
国鉄時代の貨物輸送廃止や民営化の際、それがつながる具体的なビジョンを出せなかったのも大きいかと。
道路建設は、地元雇用の側面が大きいと感じます。
  1. 2017/02/25(土) 11:59:01 |
  2. URL |
  3. hmd #MjfzkNmc
  4. [ 編集 ]

歴史は繰り返される

hmdさん、

先人たちが、何とか鉄路を道東の北見・網走に伸ばそうとした歴史は、とても興味深いものがあります。
石北本線よりも先に、網走本線や名寄本線・湧別線のルートが繋がったというのは、不思議な感じがします。
特定地方交通線の中でも、池北線と名寄本線が100kmを越える長大路線だった理由は、そんな歴史にありました。
今また、国が整備している「北海道横断道」の網走線は、かつての網走本線ルートで北見・網走を目指しています。
多分、この高規格道路の完成が、石北本線の運命を左右することになりそうです。
今先進国の中で、新幹線だの高規格道路だのと言って、巨大コンクリート建造物を量産しているのは日本くらいのものです。
欧米では、既存の鉄道や道路を改修してスピードアップを図っています。それに、こんな建造物は欧州では景観上許されません。
  1. 2017/02/25(土) 23:07:14 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

国境地域

冬の道東は大木さんの釧網本線をはじめ、安定した晴れの日が続く事を利した光線の美しい写真が多いですね。
これもピンと張った大気感が伝わります。

稚内、根室、網走に向う鉄道は「国境周辺・北方領土隣接地域の路線」という事で重要性が認められ、
残す方向で検討が進められているとの報道もあります。
ミサイルの時代に国境云々も違和感がありますが、北方領土問題に加え国家的インフラという視点が入ったなら喜ばしいですが。

「国境地域」から戻ってまだ体の節々が痛いです。
  1. 2017/02/28(火) 21:24:51 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
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北辺の鉄道

風太郎さん、

北辺の巡業からお戻りになりましたか。ご無事で何よりです。
雪中行軍では普段使わない筋肉を酷使するようで、筋肉痛にもなりますよね。
成果が上がり、心地よい疲労感となれば、これもまた嬉しい悲鳴でもありますが。
さてさて、どんな作品になっているか、興味津々で楽しみです。

そうですね。道東の乾いた冬は、美しい輝きと透明感のある雪景色を醸し出しています。
大木さんのオホーツクにも、そういった素晴らしい輝きのある作品が数多くありますよね。

国境周辺の鉄道というのも、何となく取って付けたような理由ですが、それが理由になるのであれば何でも構いませんが。
北辺の町が廃れてしまえば、北方四島との市民レベルの交流もへったくれもありませんからね。
確かに、それらの町が北方領土のために存在している訳はなく、日本の大切な町という視点も欲しいところです。
  1. 2017/02/28(火) 23:50:39 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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