駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

入広瀬 晩秋

日が西に傾き、集落に山影が伸びてきた
魚沼の田圃の中を、夕日を浴びてキハが往く

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2016年10月 只見線 入広瀬

何度となく行き来した場所は、何時しかそこに立つと帰って来たような気持になるものだ。そんな場所の一つが入広瀬だ。広域合併の魚沼市になるまでは、入広瀬村という単独の村だった。日本有数の豪雪地帯にあり、今頃は深い雪に埋もれていることだろう。そんな雪国の春は本当に素晴らしい。白一色だった景色がみるみる緑へと変わっていく。魚沼米の田圃は日に日に緑が深まり、蛍の舞う夏を迎える。赤とんぼが飛び出す頃、田圃は色付き、豊穣の秋を迎える。稲刈りが終われば、また白い季節への備えとなる。そんな四季の移ろいを延々と繰り返すことに由って、この風景が育まれてきた。

美しい北魚沼の山峡の田園風景は相変わらずだが、それでもやはり変化はある。この集落に通い出したころ、田圃の中には米どころ魚沼の原風景とも云える、はんの木のはざ木の並木がそこかしこに見られた。何かの目印なのか、所々に杉の大木も生えていた。そんな風景も農業振興法の圃場整備が入り、今のような整然とした姿に変わった。集落の昔ながらの木造家屋も、一軒また一軒と新建材の住宅に建て替えられ、只見線の初代の木造駅舎もコンクリート製の雪国観光会館に生れ変わった。一方で、役場と小中学校の裏山にあった中峯スキー場は、スキーブームが去るのとともに消えていった。

目まぐるしい時代の流れの中で、何も変わらないなどと云うことはない。街であっても、農村でも漁村であっても、同じ時間軸の上を走り続けている以上、同じ方向に収束していくことは避けられないことだ。ただ、長年積み重ねられてきた雪国の生活の一つ一つには、それぞれ意味があり、そこに暮らす人々の拠り所にもなっている。もっと云えば、それだからこそ存在する価値があるというものだ。「雪に閉ざされた」などという世界は、もう日本では特殊事情だ。それでも雪国は存在する。これからも、この集落に本数は少なくても列車が通い、この村がこの村らしく生き続けていくことを切に願いたい。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/02/18(土) 00:30:00|
  2. 只見線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

米どころの景観

こあらまさま

農業の細かい技術はよくわかりませんが、ひょっとしたら、
今のコシヒカリになっていく過程で天日干しより、屋内機械干しの方が生産効率などが良いのかもしれませんね。
かつて蒲原郡でよく見かけ、撮影対象にしたハザ木も昔の風景となり、残念ではあるのですがそれも今を生きる米どころの知恵の結果なのかもしれません。
今度只見線小出口取材の際には、ぜひ入広瀬産コシヒカリを食したいと思います!
  1. 2017/02/18(土) 08:37:12 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
  4. [ 編集 ]

魚沼産コシヒカリ

狂電関人さん、

そりゃ乾燥倉庫に直送した方が効率はいいですわ。今、天日干ししてるのは自家用くらいじゃないですか。
天日干しした直後に脱穀、精米した米は、一般人の想像を超える半透明の銀シャリになります。
何度か農家から貰いましたが、油断すると直ぐにカビが生えてしまうんですが、それでも美味くて、食べ尽くしました。
魚沼産コシヒカリは生産量の倍以上が流通していると言いますから、本物は少ないということです。
入広瀬産はどこで売っているか知りませんが、かの湯之谷産は小出近くの道の駅ゆのたににあります。
  1. 2017/02/18(土) 23:15:40 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

豊かな故郷

屏風のように聳える大栃山はまさに入広瀬の故郷の山ですね。
それをトンネルでブチ抜くのではなく、麓をゆったりと迂回する只見線もこの土地の風景のひとつとなって幾星霜。
こあらさまさんのソウルフルな土地でしたね。
魚沼産コシヒカリという世界に通用するブランドが育ちつつあるのは心強い。
若い人が帰って来るような豊かな故郷があってこそ鉄道の未来も開けます。
  1. 2017/02/19(日) 12:12:25 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

雪国と鉄道

風太郎さん、

そそり立つ大栃山を前にすると、本当に帰って来たという思いになります。
若者の目線も都会から故郷へと戻りつつありますから、元気を取り戻す村もでてくるのではないでしょうか。
そんな時、故郷が自らの良さを見失っていないことが大切だと思います。
変わらなければならないところ、変わってはいけないところ、難しいですね。

越後の雪国風景と生活を撮りたくて、入広瀬に続いて山古志と松之山にも通いました。
ほくほく線が開業する前でしたから、列車で行けたのは入広瀬だけで、鉄道の有難味を思い知らされました。
雪が何メートルも降り積もった山間地帯に、バスで向かうのは結構心細いものです。二本のレールと駅舎がどんなに心強いか。
沿線住民が強く鉄道に拘るのは、そんなところにもあるのでしょう。大切にしないといけませんね。
  1. 2017/02/19(日) 19:17:53 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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