駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

増毛の残照 第4夜 雄冬山

かつてこの海岸を往く国道は、増毛の先で行き止まりだった
雄冬山の尾根が日本海に沈み込むところに、陸の孤島雄冬はあった

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2016年10月 留萌本線 信砂

この写真の中央に信砂(のぶしゃ)の駅があり、キハ54が停車している。後ろに聳えるなだらかな山容が増毛山塊の雄冬山だ。「雄冬」とくれば、やはり故高倉健の「駅 STATION」だろう。国道231号線、通称「オロロンライン」では、当時の石狩の浜益村千代志別と増毛町大別苅の区間において、増毛山塊が沈み込む断崖絶壁が、道路建設を長らく阻んでいた。その只中にある増毛に属する雄冬は陸の孤島であり、増毛港から通う雄冬海運所属の「新おふゆ丸」が唯一の交通手段だった。雄冬に戻る途中、欠航で所在ない高倉が、八代亜紀の「舟唄」が流れる賠償の居酒屋「桐子」に入る。映画の中のワンシーンだ。

雄冬にあった増毛町立雄冬小中学校は「へき地等級3」の学校だった。5段階の真ん中で、道内ではまだまだ序の口ということだろう。日本では喜ばしいことに「教育基本法 第三条」に、教育の機会均等がしっかりと謳われている。さらに僻地の教育については「へき地教育振興法」が存在し、僻地に赴く教員・職員への福利厚生についても考慮されている。その「へき地手当」を支給するための「へき地等級」が学校毎に定められている。等級は都道府県が条例で定めているが、駅(停留所)、病院、高校、郵便局、スーパーマーケット、市の中心地などへの距離から算定されている。ただ、渡船しか移動手段のない雄冬の3等級は、冬の荒波のことを考えれば厳しすぎるようにも思える。

陸の孤島だった雄冬にも、国道231号線の道路建設が始まった。1981年の雄冬岬トンネルの開通で全通したが、何度となく崩落不通を繰り返したため、安定的に開通したのは1982年になってで、その年に航路が廃止されている。しかし、道路ができても住民の減少は止まらず、小学校も2002年に閉校となった。最盛期500人以上が暮らした雄冬の人口は現在70人程で、小学生はおらず集落の存続が危ぶまれている。現在も国道の改修が続けられ、移動の快適さは増している。高倉健演じる英治は、渡船の欠航に妨げられることなく、増毛から路線バスに乗れば20分程で帰郷できるようになったが、増毛には既に駅はなく、雄冬の賑わいももうない。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/01/21(土) 00:30:00|
  2. 留萌本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

雄冬

こあらまさま

電関人も、「北の無人駅から」を読んでその存在と歴史を知りました。
むしろ、この本を読んだ故に増毛に行ってみたくなったのですが、ちょっと遠すぎて・・・。
本を読んでからというもの、鉄道写真を主体とした旅行ではなく、なんともその駅に秘められた歴史をめぐる旅をカメラ片手にしてみたいと思うこの頃です。
  1. 2017/01/22(日) 15:04:00 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
  4. [ 編集 ]

旅は駅から

狂電関人さん、

旅に出る理由は人夫々でしょうが、歴史は常に気になるもので、調べるだけでも旅行気分が味わえ楽しいものです。
留萌、増毛の激動の歴史もなかなか興味深いものがあります。留萌駅も急がないと消えるかもしれませんよ。
私の場合、鉄道旅からのスタートだったので、「旅」と「駅」は切っても切れない仲が続いています。
まずは、その土地の駅に行ってみる。これが変わることのない、旅の行動パターンです。
そうこうしているうちに、車両のない鉄道写真が増えたりするものです。
  1. 2017/01/22(日) 22:58:28 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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