駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

増毛の残照 第3夜 箸別の丘

前夜の暴風で日本海の波はまだ高く、雲の流れも速い
下りの始発列車が、増毛へと生徒たちを迎えにいく

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2016年10月 留萌本線 箸別

この廃止区間には、随分前から既に路線バスが走っていた。まず、その沿岸バスの留萌別苅線を調べてみよう。増毛よりオロロンラインを数キロ南下した「大別苅」が始発で、増毛バスターミナル、増毛駅を経由して、留萌線とぴったりと並ぶオロロンラインを北上し留萌市街に入る。市役所、留萌記念病院、留萌駅、警察署、コープさっぽろ、保健福祉センター、陸上自衛隊駐屯地、留萌高校などを順に経由して、終着の「留萌市民病院」へと至る。市民病院は留萌駅から東に2km程のところにある。停留所は全部で54箇所、8時台から20時台までの一日9往復が走る。運賃は増毛駅―留萌駅間が¥420。対するJRは6.5往復、¥350だった。一方、通学定期券については、バスはJRの約3倍とかなり高額だが、列車の留萌到着が6:41、8:05と留萌高校・留萌千望高校の始業時間には、決して相応しいものではなかった。また、増毛町には通学交通費の半額補助の制度もある。

もし増毛町民のあなたが、凍てつく雪の日に通院のために市民病院へ行かなくてはならない。できれば帰りに買い物もしたい。しかし、もう年なので冬の車の運転は危険だ。さて、JR増毛駅に向かいますか。それとも沿岸バスの増毛バスターミナルに向かいますか。その答えが全ての顛末だ。中には早朝や夜遅くに移動しなければならないケースもあるだろう。そのために、JRからの5千万円の交付金で、路線バス運行時間外に在った列車に合わせて、1往復の相乗りタクシーが設けられたが、初日の利用者は2人だけだった。実際に、2012年からの瀬越(留萌の隣駅)から増毛までの8駅の一日乗降客数は全てがきれいに「ゼロ」だった。数字をそのまま解釈すれば、高校生、お年寄りも含め殆どの町民が増毛バスターミナルを選択していたことになる。それでは、地域間となればどうだろう。留萌からのバス路線は、旭川へ10.5往復、札幌へは内陸経由の「るもい号」が9往復、沿岸経由の「はぼろ号」が1往復と、JRを頼らない高速安価なバス路線網が形成されている。結果的に、殆ど客のいないキハがこの区間を往復していたということだ。そうでなければ、冬季運休などということが許されるわけがない。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/01/19(木) 00:30:00|
  2. 留萌本線
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  4. | コメント:4
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コメント

ローカル線私感

こあらまさま
正直言って、或る年代になるまで生まれ育った福岡の筑豊地区を蜘蛛の巣のように張り巡らされたローカル線が織りなす景観は、ヤマの斜陽感漂うモノトーンで嫌いでした。故に北海道の炭鉱鉄道上がりの路線も同様な感覚を勝手に持ち興味すら持たなかったのでした。
明け透けの性格なものですから、海辺の開かれた景観や、雄大な山岳景観を持つローカル線のみが好きだったのです。
ひょっとしたら無意識に微妙に間に合わなかった蒸機時代へのコンプレックスがそうさせたのかもしれません。そんな退廃的な景観に興味を持ち始めたのは十代も終わりの頃だったように思います。その頃まで福岡に暮らしていましたから、
むしろ遠すぎて北海道のローカル線を旅することは殆どなく、唯一高1の夏に行った北海道では、有珠山爆発や長雨などに祟られてまともな乗り鉄もできませんでした。今ではこうして皆さんのブログを拝見して空想旅行するのも楽しいものです。長々と失礼いたしました。
  1. 2017/01/19(木) 22:15:32 |
  2. URL |
  3. 狂電関人 #vqoLnCUQ
  4. [ 編集 ]

遠くへ行きたい

狂電関人さん、

誰しも、自分の故郷には愛着や懐かしさを感じられるようになるまでには、時間が掛かるのではないでしょうか。
悶々とした若かりし頃は、生まれ育った場所よりも、知らない世界への憧れの方が大きいものです。
自分が蒸気を撮っていた頃は、日本は何処も裕福ではなかったです。話を聞くと、ヤマの方が生活水準が高かった部分もあります。
農村があり、漁村があり、ヤマがある。工場だって、今のようなに悠長に夜景を楽しめるような場所ではありませんでした。
それでも、そこにはちゃんと明るい人の営みがありました。そんな知らない土地の風景を見たくて旅をしていました。
当時は「DISCOVER JAPAN」の時代で、「遠くへ行きたい」何て歌やTV番組もあり、若者に旅は付ものでした。
たまたま、周遊券のエリアが広く、遠い割には冬季割引もあり、塒の夜行列車が多かった北海道がどうしても多くなりました。
電関人さんも、また北海道に行ってみてくださいな。それも、やはり冬が一番のお薦めで、異次元の世界です。
海峡を渡った時のひんやりとした空気感を味わってください。ヨンマルもまだまだ走ってますよ。
ただ、今の日本には、かつてのヤマの斜陽感や廃退感のようなものが、再び蔓延しつつあるのかもしれません。
  1. 2017/01/20(金) 18:12:52 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

こあらまさん

最後のカット、とても懐かしい風景です。
春が遅いこの地域は、4月になっても白一色の世界でした。
あの頃と比べて、若干民家が増えたとはいえ、ほとんどかわっていない世界。
それだけ時間がゆっくりと流れてきたのでしょう。
ただ、海岸線に沿って道路があったこと、この写真を見て、はじめて気がつきました。
当時は、なかった記憶があるので、ここだけは新しいのかもしれません。

それにしても、地域のニーズにあわないダイヤ設定。このあたりは国鉄時代とかわっていませんね。
せっかくの美しい景色をもつ路線なのですから、もう少し使いやすいダイヤを組んでいたら、乗客ゼロ、なんてことにはならなかったでしょう。
「留萌高校前」のような仮設の乗降場を作るだけでも、高校生や自衛隊員の利用は、増えたはずです。
JR北海道のやる気のなさがあらわれているようで、廃線は残念です。

  1. 2017/01/21(土) 23:07:35 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

消えた鉄路

まこべえさん、

全く同じ構図の2枚の写真を見比べてみると、確かに43年の月日が経ったことが、あまり感じられませんね。
線路際に道が出来て、電柱が立って、そのくらいです。建物が少しですが増えているのは意外です。
増毛港の埠頭の配置も変わっていないようで、港の横を往く留萌線の徐行も相変わらずでした。
43年前は団結号でしたか。あの時は一人乗務に反対する闘争がありましたが、廃止の日はあっけなくやってきました。

廃止になった路線にはそれなりの理由があります。その辺りは厳しく現実を見つめる必要があると思います。
住民の生活に寄り添わなかったJR北海道。それをよしとしてバス利用に依存してしまった自治体と住民。
最終運行日に大勢の鉄道ファンと町民が集まっていましたが、どちらも葬式屋だったのでしょうか。
条件が違うとは云え、並走するバス路線まで廃止にして鉄道に注力して、驚くほどの利用者増となった富山港線。
留萌線は留萌市役所、留萌記念病院、留萌高校などのすぐそばを通っています。市民病院は線路際です。
おっしゃる通り、停留所を増やし、小さな車両を多く走らせれば、富山港線のような素晴らしい交通手段になったかもしれません。
  1. 2017/01/22(日) 22:15:51 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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