駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

山線の秋 小沢 トンネル餅は生きていた

小さな山間の駅を2両のキハが倶知安峠へと向かう
同じレールの上を、かつては大型蒸気が猛然とダッシュしていた

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2016年10月 函館本線 小沢

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1973年3月 小沢

現在の小沢は、稲穂峠と倶知安峠に挟まれた、静かな山峡の小駅の風情だが、かつては優等列車が停車する基幹駅で、駅弁も売られていた。この駅の大きな役目は、日本海へと延びる岩内線への接続にあった。岩内、黒松内、寿都は、ニシン漁や近隣の炭鉱、鉱山などで大いに活況を呈した町で、岩内線の黒松内への延伸も認可されていたが、起工式が行われるも着工されることなく、岩内線自体が1985年7月に終焉の時を迎えている。今も岩内は決して小さな町ではなく、主要な路線だけでも、ニセコバスが岩内-倶知安間に高校、役場、病院を経由する路線バスを9往復、中央バスが岩内-札幌間に高速いわない号を何と16往復も運行している。この圧倒的な運行本数と利便性の良さの前に、山線は太刀打ちできるはずもなく、一部の小樽方面への高校生など、この駅を利用する人は僅かになってしまった。昼間のこの列車の乗降客は皆無だった。

現存する跨線橋、ホーム跡、線路配置を見れば分かるように、この駅には多くの側線、待避線などが存在していた。論より証拠だ。当時の構内を窺える写真を探してみた。ちょっと見難いが、43年前に同じレールを走る倶知安の二つ目キューロクを撮っていた。左手には大型蒸気に燻された小沢名物の跨線橋が見える。大きな駅舎横には岩内線用の1番ホームもあった。この写真では見えないが、その先の側線には岩内線のキハ22が待機し、このすぐ前にはD51の荷物列車が倶知安峠へと向かっている。今となっては信じられないが、この立ち位置の後ろには、小学校があり、校庭から行き交う蒸気が眺められた。

この山線でC62重連やヤマのD51を追いかけたことのある方々にとっては、本当に目を疑うばかりの凋落ぶりだ。小樽築港機関区は、大規模なショッピングモールに変貌を遂げ、機関庫や転車台が在った場所すら想像がつかない。倶知安機関区は辛うじて昔が偲ばれるが、大部分が公園になり、その中に転車台がぽつんと残されている。上目名駅が消えたのは岩内線の廃止の前年だっただろうか。来春には蕨岱が廃止になる。すべては、時代の流れというものだろうが、朽ち果てていく山線を見るのは、やはり辛く寂しいものだ。それとも、この状況でよく生き延びていると喜ぶべきことなのだろうか。


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話はガラッと変わるが、この小沢では、1904年から「トンネル餅」という菓子が売られている。現役蒸気の時代には、小生のような金欠放浪者には縁のない食べ物だったが、2012年に乗り鉄で小沢に途中下車した際に、たまたま国道沿いに末次商会の売店を見つけたので、初めて食してみた。昔は駅で売られていたが、今は国道をゆく車相手の商売だ。横川の「峠の釜めし」のようなものだ。この菓子は難工事の稲穂トンネルの開通記念として発売され、西村家2代でこの鉄路と同じ112年の歴史を誇っている。まだ、廃業したという話は聞いていないので、寄ってみると面白いかもしれない。店内にはC62重連の写真パネルなどが飾られている。また、C623のニセコの時代に、ファンの定宿として繁盛していた駅前の武田旅館の看板もあったので、営業を続けているようだ。


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2012年10月 小沢

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  1. 2016/12/09(金) 00:30:00|
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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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