駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

人生の楽園

雨上がりの清々しい秋の朝が訪れた
駅でのんびり列車を待つご夫婦に人生の楽園を見た

70010657.jpg
2016年10月 秋田内陸縦貫鉄道 松葉

確かこの松葉駅は国鉄時代には角館線の終着駅だったはずだ。阿仁合線とその終点の比立内との間の建設線をも含めて、秋田内陸縦貫鉄道に引き継がれた。1986年の開業当初は旧角館線の南線、旧阿仁合線の北線で分断していたが、1989年に全線開通し、角館から鷹ノ巣に至る94.2km、29駅の路線が誕生した。ただ、決して経営は容易ではなく、事あるごとに廃線が囁かれるが、低空飛行で凌いできた。何としても生き抜いてほしい第三セクターの長大ローカル線だ。

前日からの雨が上がり、すっきりとした青空が広がった。秋の朝の清々しい空気感が漂う駅を上機嫌で撮っていると、何処から来られたのか熟年のご夫婦が徒歩で現れた。聞けば、東京にお住まいで、お二人で旅をするのを楽しまれているという。こちらの最終目的地が北海道の増毛であることを話すと、夏に乗って来たというから、なかなかの抒情派の旅人のようだ。写真の邪魔になりますかと聞かれるので、勝手にしているところを撮らせてくださいとお願する。

お二人は列車に乗って森吉山の紅葉を観に行くというが、次の列車は反対方面の角館行きで、鷹ノ巣行きまでには更に30分程の時間がある。そのぐらいの気持ちと時間の余裕があったっていいじゃないかとおっしゃる。全くその通りだ。気持ちのいい朝に、見知らぬ土地の駅でのんびり過ごす贅沢な時間を、彼らは知っているようだ。こちらといえば、列車の時間をチェックしながら追われるように行動している。何か羨ましいような、人生の楽園を見たような気がした。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/11/09(水) 00:30:00|
  2. 秋田内陸縦貫鉄道
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

旅に値するのは

旅の楽しみ方というより人生の楽しみ方を知っている人達ですね。
こんな何も無いとこと地元の人でさえ言いますが、そこにはその土地の静謐な日常だけがあるという事、
媚びたつまらぬ仕掛けの観光地が増える中、旅に値するのはそういう場所ではないかと。
それに気付いた人だけが得をします。
気付いてはいますが時間と気持ちの余裕が、というジレンマはさておいて。
  1. 2016/11/10(木) 22:01:31 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

旅の楽しみ

風太郎さん、

観光バスに揺られて観光地巡りというのが主流の中、こういう方にお会いすると何故かホッとします。
この秋田杉に囲まれた秋田内陸と呼ぶのに相応しい風景を楽しまずに、何が旅なのでしょうか。
何が楽しいかは人それぞれですが、多くの方の秋田への旅の切っ掛けになったのは、こういう眺めだった筈です。
ただ、このご夫婦のように、ローカル線を個人で旅するのは、結構ハードルが高いのでしょう。
このお二人が言われるように、旅の楽しみは気持ちと時間のゆとりにあるのかもしれません。
鉄道周遊券で旅していた頃の、気の遠くなるような、駅での待ち時間が懐かしいですね。
偶にはこの画のご夫婦のような側になりたいのですが、それはずっと先のことかもしれません。
  1. 2016/11/10(木) 23:56:07 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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