駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

砂原線紀行 その6 尾白内・東森

噴火湾の向こうに夕日が沈もうとしている
残念ながら列車は暫くなく、駅舎を眺めてその日の終わりとした

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2016年7月 函館本線 尾白内

砂原線紀行も最終回となった。車両趣味の方々には、少々つまらない内容で申し訳なかったが、生きていられるかは定かではないが、何十年か経って見直したとき、結局目に留まるのはこういう駅風景だったり、人の営みだったりするものだ。勿論人夫々だが、小生的には過去から学んだ教訓の一つだ。今回は残念ながら夜間撮影は出来なかったが、過去に列車の車窓から暗闇に浮かぶ怪しげな駅舎を何回も目撃しているので、次回は何とかしたい。鬱蒼たる樹海も広葉樹が主体なので、冬場には抜け場所が必ず現れるはずだ。また、なかなか感覚的には納得できないのだが、この東森から砂原にかけての海岸では、夏場には噴火湾の向こうに沈む夕日が眺められる。地図で確認してみれば納得なのだが、ひょっとすると夕日が撮れる場所も潜んでいるのかもしれない。色々と思いを巡らせると、次への期待は尽きることはない。

ご覧の通り、北海道を代表する幹線の一つである函館本線ですら、函館から少し離れてしまえば、地域内輸送は先細り状態だ。既にバイパス線の藤城線と砂原線はJR貨物の専用線化が進んでいる。それでもバイパスの必要性があるらしく、途中駅の無い藤城線にもJR北海道は普通列車を運行させている。もし、北海道新幹線が札幌まで延伸されると、本当に新函館北斗-小樽間の函館本線自体が消えてしまうのだろうか。この普通列車の運行状況を見ていると、そのことが現実味を帯びてくるから恐ろしい。こうやって、敢えてローカル線の窮状をお伝えしているのも、今の日本の最大の懸案である少子化を止めるということと、地方の過疎化を止めるということとは、同義語のような気がしてならないからだ。新幹線の開通で地域が衰退するようなら、何かが間違っている。 一般の普通の道民は、北海道新幹線の開業をさほど喜んではいない。それよりも普通列車の削減に明らかに憤っている。それが新幹線のせいとなると尚更だ。以前、北海道には、立派な道が出来ると、そこの集落が消えるという言い伝えがあった。また、それの繰り返しのような気がするのは、小生だけではないはずだ。


[尾白内]

この駅もかつては相対式2面2線に、鹿部と同種の立派な木造駅舎があったが、JRへの継承に際して有蓋車改造の駅舎となった。貨車改造駅舎は北海道でよく目にする味気ないものだが、廃品利用の上、頑丈な鉄の箱だけあって、倒壊する心配もなく、手入れも殆ど要らない。JRにとっては願ってもない経済的な駅舎だ。道内に貨車駅舎が幾つあるか数えた方がいるが、2012年現在39駅あったそうだ。うち36駅は、初めからドアも窓もある車掌車をそのまま利用しているが、残り3駅は有蓋車に手をいれて駅舎化している。旧江差線・現函館いさりび鉄道の釜谷、函館本線の二股とこの尾白内ということだ。数少ないタイプのようなので、折角だから内部をお見せすることにしたが、ご想像の通り、四角四面の殺風景な箱だが、意外と簡素で清潔な感じだ。夜が近づき、明かりが灯ったが、一日乗降客数は0人。森に行くのであれば3.4kmしかないので、何時来るかわからない列車を待つくらいなら、自転車でとっとと走って行ってしまった方がよっぽど手っ取り早く、経済的、健康的でもある。


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[東森]

いよいよ今シリーズ最後の駅となった。ここまで来るともう森の街中といっていい。貨物取扱時代を偲ばせる長い駅ホームには、1962-10の竣工とあるから国鉄時代のものだ。ちょっと先で駒ヶ岳廻りと合流しており、特急が行き交っている。渡島海岸鉄道が出来た頃、森駅への乗り入れが許されず、ここが始発であったそうだ。今旅をしていて、駅が荒らされているのを見ることはまずない。どんな無人駅でも壊れてなどいないし、掃除がきちんとされており、トイレだってきれいなものだ。ところが、一昔前にひどく荒廃していた時期があった。それは駅に限ったことではなく、落書きや放火、設備や備品の破壊などがひっきりなしに起きていた時代で、時の若者の仕業とされていた。現在は改装されて何事もなかったようだが、この東森も酷い状態だったようだ。今は物わかりのいい若者ばかりになったのか、そんな惨状を見ることは無くなったが、それだけ世知辛い世の中になり、憂鬱が内面化したということだろう。逆に凶悪な事件は増え続けるばかりだ。公共財に八つ当たりしろとは決して言わないが、若者が存分にむしゃくしゃする気持ちを発散できる場が必要だ。森駅まで1.8km。いよいよ駅の利用価値は低くなってしまう。一日乗降客数は0人。


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これで、「砂原線紀行」を終わります。


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  1. 2016/09/18(日) 00:30:00|
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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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