駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

砂原線紀行 その3 渡島沼尻

開拓農家が点在する傍らに、隠れるようにしてその駅はあった
旅人が誰も来ない駅は、地元民のみが知る駅だ

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2016年7月 函館本線 渡島沼尻

先日の台風10号や大雨の被害で、JR北海道の根室、石北、釧網、日高、宗谷の各線の一部不通が続いている。宗谷線の復旧は今週半ばになりそうだが、他の4線は復旧の目処すら立っていない。というのも、道路網も寸断されており、近づけない場所が多数残されているため、未だに被害の全容が判明していないとのことだ。根室、石北は是が非でも復旧されるだろうが、このまま運休が長引けば、運転再開したとしても乗客は完全には戻ってこないだろう。既に、道内の都市間輸送のバス便、航空便は乗客が急増し、増発もされている。今回の被害は、台所事情も人事事情も極めて厳しいJR北海道にとって、存亡の危機があるといっていい。当然、廃止候補にも上がっている釧網、日高の復旧は望み薄だろう。

一方、農業被害も桁違いの大きさになっている。農業に限らず、今回の北海道の被害では、どうしん以外には大きく報道するマスコミはいないが、帯広のジャガイモ、北見のタマネギなどが甚大な被害だ。帯広でのポテトチップスの生産が止まったというニュースがあったが、スナック菓子に留まる問題ではない。食料品価格全体の高騰を招きかねない状況だ。これだけ食の安全性が言われる時代になったが、意外と日本国内の産地には無頓着なところがある。気が付いてみれば、北海道かということがないようにしたいものだ。

ここ函館本線は台風10号の倒木などにより、新函館北斗-長万部間が4日間の運休を余儀なくされたが、現在は平常運転されている。この渡島沼尻の駅舎は、まさか台風で倒壊などしていないだろうか。下請けにせよ、こんなオンボロ小屋で保線を続けなければならない実情を目の当たりのすると、さらに北の鉄路の行く末が案じられる。


[渡島沼尻]

砂原線開通時に設けられた渡島沼尻信号場が前身で、仮乗降場として旅客も扱っていたが、JRへの継承に際して駅に昇格している。駅の周囲にはこれといった集落はなく、畑の中に開拓農家が点在しているだけで、駅への道路標識も小さく分かりずらく、仮乗降場だったことが頷ける。駅に着いてみると、やはり駅というよりは信号場の様相だ。信号場時代の年代物の建屋の一部が今も使われており、倒壊の恐れがあるのか、つっかえ棒がしてある。線路側の正面から中に入ると、様子がおかしい。事務机に石油ストーブ、灰皿がある畳敷きまであり、吸い殻もちらほら。壁には動力の配電盤もある。側線に留置されているマルチプルタイタンパーから考えても、どうも旅客の待合室ではなく、保線の詰所らしい。一旦外に出て建物を回ると、2畳程の取って付けたような待合室を見つけた。入り口に何の表示もないのは、事情を知らない旅人は来ないということだ。思わず入ってしまった詰所の内部の方が面白かったが、こちらをアップするわけにはいかない。場内の警報機が鳴りだし、DF貨物の通過を知らせる。長大編成の列車のための、とにかく長い交換設備を持つ構内に、隅田川行きのコンテナ列車が進入してきた。上り線の1両分のホームが何ともみすぼらしく見える。それでも、一日乗降客数は鹿部、渡島砂原、掛澗に次いで4番目の8人。


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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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