駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

砂原線紀行 その1 池田園・流山温泉

鬱蒼とした林の向こうからキハのヘッドライトが近づいてきた
ここにも優等列車が走らない鄙びた函館本線があった

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2016年7月 函館本線 池田園

函館本線の七飯-森間の路線図を見ると、8の字になっていることが分る。元々の函館本線は向かって左側の西寄りの路線で、北海道鉄道により1903年に開業し、1907年に国有化されている。ところが、この区間は駒ケ岳の扇状台地を越えなくてはならない。七飯側は旧渡島大野からの仁山越えが難所となった。仁山越えの中程にある仁山信号所(現仁山駅)には、蒸気時代の加速線が残されている。非力な蒸気では後補機が推しても、加速線なしには発進は難しかった。一方、森側は直ぐに始まるサミット近くの駒ケ岳駅へ続く急登が列車の進行を妨げた。この急坂は地図をご覧いただければ、線路が大きく曲がりくねっていることからも容易に察っすることができる。こちらは距離が長く、時間的なロスも問題とされた。

そこで、まず目がつけられたのが、森-砂原間を繋いでいた民鉄の渡島海岸鉄道で、国有鉄道により買収、延伸が行われ、1945年に砂原経由の通称砂原線の森-軍川(現大沼)間が開業した。これより遅れること21年後の1966年には、仁山越えにもバイパス枝線が建設された。七飯から大野市街(現北斗市)を通らずに、反対側の斜面を七飯から直ぐに登りだすコースで、勾配は半減された。途中駅はないが藤城集落を通過することから通称藤城線と呼ばれる。かくして8の字の路線が完成し、急勾配を回避する運行となったわけだが、その後の動力機関の高出力化、そして北海道新幹線の新函館北斗(旧渡島大野)への乗り入れなどで、状況が大きく変わってしまった。理由は異なるが、迂回路としての役割が薄れてしまった砂原線、藤城線だが、今後の去就が気になるところだ。

さて、今回はあまり露出度が高くない砂原線をご紹介したい。沿線の殆どが起伏の小さい鬱蒼とした樹林帯にあるため、初めから駅撮りに的を絞った。線内には池田園、流山温泉、銚子口、鹿部、渡島沼尻、渡島砂原、掛澗、尾白内、東森の9駅があり、全ての駅をお見せしたい。一日乗降客数は国土交通省国土政策局の2013年のデータを用いた。


[池田園]

この駅名は大沼電鉄の駅名から来ているが、この地を観光地大沼に付随させようとした開拓者の苗字に由来するとのことだ。以前、現大沼公園から鹿部に通ずる狭軌鉄道があったという。砂原線の開通で廃線となったが、砂原線の近くを銚子口まで並行し、そこから鹿部の街中に向かっていたらしい。現在の道道大沼公園線が線路跡を利用しているということで、今の駅の近くに大沼電鉄の池田園があったということだ。大正から昭和初期には多くの鉄道が走っていたことに、今更ながら驚かされる。大沼公園に近く、駒ケ岳廻りの列車の通過音が聞こえてくるが、開拓者の希望に反して、観光客の喧騒からは隔絶された、静かな開拓集落の中の駅だ。一日乗降客数は4人。


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[流山温泉]

この駅は、2002年のJR北海道資本の流山温泉の開湯に合わせて開業した新しい駅だ。大沼に点在する小島を流山というが、この温泉をプロデュースした流政之氏と掛け合わせてこの名となったものと思われる。すでに流山温泉は廃業となったが、大沼流山牧場などが近隣にあり、駅は営業を続けている。地元では2013年の浴室内の意匠用木材の落下事故の責任の擦り付け合いが、廃業の原因と囁かれている。過去、温泉内のレストランで、液体洗剤を沸かして入れた紅茶を振る舞うという、信じられないような事故も起きている。今年3月には、函館行きの普通列車がオーバーランし、ドアも開けずに知らんぷりんでそのまま発車し、乗客の通報で世間が知るところとになるという、極めてJR北海道らしい事件も起こしている。もうこうなると反社会的な企業と云うほかない。一日乗降客数は0人。


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  1. 2016/09/08(木) 00:30:00|
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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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