駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

幸福な時間

幸福駅はあの日と同じように、ジャガイモ畑の落葉松防風林の脇にあった
静かに眠り続けるキハ22の車内には、僕らの幸せの時間も眠り続けている

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早いもので広尾線の無煙化から41年、廃線からも29年が経った。あの幸福駅は一体どうなったのだろうか。幸福駅が脚光を浴びる切っ掛けになったのは、1973年3月に放送された「新日本紀行」の『幸福への旅~帯広~』とされている。愛国から幸福行きの切符は、随分な売れ行きだったようだが広尾線を救うまでにはいかなかった。廃線後も観光駅として整備されていることは知っていたが、わざわざ行くにはさすがに遠過ぎる。2016年7月、たまたま別用でこの辺りを通り掛かったので立ち寄ってみることにした。ミーハーな観光地と言ってしまえばそれまでだが、行けば行ったで懐かしさが込み上げてくる。ちょっとだけあの日が蘇るのではという思いからご紹介したい。


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この鉄道公園には、線路、ホーム、駅舎、そして車番221と238の2両のキハ22と除雪用のモーターカーが保存されている。現役蒸気世代としては首都圏色が少々残念だが、嬉しいことに車内は見学自由で、あの寒冷地仕様の板張りの床とご対面することができる。駅舎は老朽化のため再建されており、少々風情の無いものになってしまっている。駅が現役だった頃は、名刺や学生証などもたくさん貼ってあったが、さすがに今は時代が時代だけに個人情報のある貼り物は見当たらない。


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以前、幸福駅を往くキューロクの「落葉松並木の道」という記事をアップしたが、その記事に頂いたくろくまさんのコメントを是非読んでもらいたい。現役蒸気を追った世代が共有する、朝の広尾線へのアプローチが生き生きと綴られている。そして、続く世代の多くの方もキハ22のお世話になっていることだろう。旧客列車は撮ることが多く、移動はもっぱらキハに頼っていたので、車内の懐かしさという点では、こちらの方が上だろう。この車内で、わくわく感一杯で目的の駅を目指し、疲れ切った体を癒し、暖を取った。今考えれば、この車内で過ごした年月は、本当に幸福な時間だった。


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先日、英国の保存鉄道のことを書いたが、この広尾線の帯広-中札内間などは保存には恰好の路線だろう。十勝帯広空港までの枝線を増設し、愛国のキューロクでも復活させれば、一躍人気路線になっていたはずだ。レールが剥がされてしまった現状からの復帰は難しいだろうが、何時かまた幸福駅が本物の鉄道駅に戻れる日が来ることを期待したい。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/08/20(土) 00:30:00|
  2. 広尾線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

キハ22

先日はご来場有難うございました。お会い出来て良かったです。

キハ22、それが現役時は車両そのものに対する関心が薄く、キハ20の亜流程度の認識でしたが、
その後模型をかじる様になってから、床の板張りは保温と積雪期の滑り止め、
板厚の分だけ運転台が高く、キハ20とは微妙に顔が違うというような知識も得て、
この当時の車両の細やかな地域仕様に感銘を受けたものです。
最果ての厳しい自然と対峙してきた当時の鉄道故でありましょう。

幸福駅は私も19歳の夏に下車しました。
調子に乗って個人情報ダダ漏れの使用済み定期券を貼った思い出があります。
もちろん個人情報などと言う概念すら無い時代ですが。
単なる博物館になってしまえば当時を知らぬ人が何処まで愛着を持ってくれるのか心配です。仰る通り観光施設で良いから生きたものにして欲しいですね。
美幸線跡のトロッコ王国なんか好例だと思いますが。
  1. 2016/08/21(日) 14:01:40 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

線路の先に

風太郎さん、

素晴らしい写真展で、オリンピックじゃありませんが、勇気と感動をもらいました。ありがとうございます。
やはり、写真展や写真集で紙焼きされたものは、ウェブとは一線を画しています。いいものを見せて頂きました。
それに何といっても、生の風太郎さん、そしていぬばしりさんともお会いでき、本当に嬉しい次第です。

このキハ22は徹底的に北海道に順応させた車両と言われています。評判も上々で、後継の開発が遅れる原因になったとか。
雪や滑り止め金具にある雪靴のための板張り床ですが、車内の仕切り扉を開けた時のオイルの匂いがいいんですよ。
キハ10/20系の中で、こいつに一番多く乗っていると思います。車内では色々な人に出会いました。思い出が詰まった車内です。

幸福駅に最初に降りたとき、先頭の1ドア分しかホームがなく、雪の中に飛び降りる羽目になりました。
それ以来、知らない駅では必ず先頭から降りるようにしていました。時刻表にない駅も多く、駅名の確認も大切でした。
そうですか、風太郎さんは定期券でしたか、個人情報を心配する必要がない時代でしたから、なんてことなかったですよね。
列車を待つ間、よく貼物を眺めていました。私は学割を貼ろうとしましたが、足りなくなったら困るので思い留まりました。

鉄も幅広いですが、私は線路そのものも好きでして、車両だけというのは何とも物足りない感じです。
かたちはともかく、レールが繋がっていてほしいというのが切なる願いです。
  1. 2016/08/21(日) 23:49:55 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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