駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

北の湘南

内浦湾を望む温暖な地に、環境と福祉の伊達がある
市街地を抜けて海を横目にコンテナ列車が札幌貨物ターミナルを目指す

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2016年7月 室蘭本線 北舟岡

起源は中国の長沙国湘南県にあるらしいが、日本での「湘南」の定義は極めて曖昧で、何処を指すのかは決まりが無いが、神奈川県の相模湾沿岸一帯と言っておけば文句が出ないだろう。明治期には相模川より西の地域が湘南とされ、藤沢や鎌倉は湘東とされていたが、海と太陽、若者とサザンなどの明るい観光イメージによって「湘南」という名が広く浸透するにつれ、湘南地域も拡大していった。鉄道界にも、「湘南列車」、「湘南電車」、「湘南色」、「湘南新宿ライン」など、湘南を冠する名称が多々あるが、東海道線の東京から小田原・熱海・沼津間の列車が湘南名を頂く対象となってきた。

さて、画の後ろに見えるのは、環境と福祉に取り組む北海道の伊達市の市街だ。同名市の福島県の伊達市が、伊達氏の発祥の地であるが、こちらは、その分家が治めた土地になる。駅名は、旧国鉄が重複を嫌ったため、分家は「伊達紋別」となった。紋別(紋鼈)というのは、この地が伊達になる前の地名ということだ。この北海道の伊達市は、誰が言い出したのかは知らないが「北の湘南」を標榜している。本家筋から来た者としては、どの辺が湘南ですかと言いたくなってしまうが、それは意地悪というもんだ。海辺の温暖な土地のイメージが欲しかったわけで、それだけ湘南が卓越したイメージになったということだろう。

「北の湘南」の目論見は、道内では雪が少なく温暖な土地柄を生かして、札幌などの積雪地帯からリタイア組の移住を受け入れ、その資金力によって地域経済の衰退を防ぐことにある。道産子は北海道への愛着がとても強く、道外には出たがらないので、伊達は老後を過ごすには調度良い場所として脚光を浴びた。当初は人口も増え、地域経済も持ち直すかのように見えたが、移住者が何時までも元気なはずがない。彼らに介護が必要になった時、 色々な問題に突き当たった。やはり、持続可能な社会の理想は、均整のとれた安定した年齢構成だろう。それには、若者にとって魅力のある産業が創出できるかに掛かっている。国は都市部の高齢者の地方移住を促進しているが、伊達の例からもそう上手くいくものではない。現代版楢山節考にならないことを祈りたい。


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  1. 2016/08/18(木) 00:30:00|
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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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