駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

雨降る江の川

雨に煙る江の川の岸辺を縫うように、一両のキハが河口の街江津を目指す
かつてC56貨物が通ったこの鉄路も、まもなく露と消えるだろう

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2016年4月 三江線 江津本町

三江線の廃止、正確にはバス輸送への転換がJR西日本から提起されてから、ウェブ上でも色々な意見が飛び交っている。まずは「地方切り捨て」という、お決まりの古典的な論評が登場するが、その一方で「とっとと廃線にすべきだ」、「反対するのは地方の我儘だ」、「廃止に反対する人が経営すればいい」などと、これまではあまり表面化しなかったような主張が散見される。三江線については、初めから地域間、地域内の旅客輸送の役目を果たせなかった鉄道だ。赤字の垂れ流しは、結局は誰かの財布に響いてくる。費用対効果が儘ならない路線の存続は、社会的にも批判される時代になった。

さて、そうなるとローカル線が生き延びるには、観光路線化ということになる。ムーミン、トーマス、くまもん、ガリガリ君、なんちゃって新幹線などなど、各地で色々なチャレンジがなされているが、一にも二にも話題作りということになる。従来以上に、ビジネス感覚と情報発信力が求められる。こうなってくると、旅客輸送を主とするユニバーサルサービスのJRの範疇ではなく、やはり第三セクターということになるだろう。いすみ鉄道の鳥塚氏のような優秀な経営者を発掘し、勝負に出るといった気概と算段がなければ、やはり代替えバスを受け入れるしか道はないだろう。

小生が残念に思うのは、日本に「保存鉄道」という概念がないことだ。撮影対象になるかどうかはさておいて、鉄道を残す手法としては最終手段といえるだろう。元祖のイギリスでは、100を超す路線の総延長700km程の鉄道がまるごと動態保存され、500両を越える動態保存車両が活躍している。観光客向けの蒸気列車がメインだが、路線によってはディーゼルで旅客輸送まで行っているというから勇ましい。さらに廃線の復活計画もあり羨ましい次第だ。保線から運行までの全ての作業が、主にボランティアの手に委ねられている。自己責任の精神が貫かれており、免許などは必要ないため、点検や運転までもをボランティアが担い、蒸気機関車の体験運転だってある。税制上も優遇されていることは言うまでもない。日本人なら安全性を気にするところだが、事故は極めて少なく、全く問題にならないという。それはそうだろう。鉄道を心から愛する人たちによって運行されているのだから、手抜きなどないのだろう。免許はあっても魂のないJR北海道とは訳が違う。あの「機関車トーマス」の著者ウィルバート・オードリー牧師も、元祖保存鉄道のタリスリン鉄道に深く関わっている。ここのナローの蒸気もいい感じだ。興味のある方は この鉄道のホームページ を是非覗いてみてほしい。鉄道会社顔負けの内容だ。運転本数やイベント数の多さにも驚かされる。英国人が心底鉄道好きなのが伝わって来る。日本ではイベント列車の撮影が過熱気味だが、「今週末は息子と一緒に留萌保存鉄道で機関士なんだ。」なんていう会話が聞かれるようになってほしいものだ。


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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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