駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

キハ82の夏休み

夏休み、ホームには多くの見送りの人がいた
非電化の地方都市を繋ぐのがキハ82特急だった

05203F16.jpg
1973年7月 山陰本線 東萩

キハ82系の特急「まつかぜ4号」新大阪行きの乗降が完了し発車時刻となった。白制服、赤腕章の専務車掌が安全確認中だ。夏休みを実家で過ごした子供や孫たちを見送っているのか、ホームには列車の窓を名残惜しそうに見上げる大勢の親たちの姿がある。時代が流れても、変わることのない親子の別れのシーンだ。車内には、楽しかった夏休みが終わる、ちょっと気怠いような空気が漂っていることだろう。列車は、美しい山陰海岸の余韻を車窓に映しながら、東へとひた走る。

蒸気が終焉の時期を迎えていた頃、非電化区間の昼行特急の任を一手に担っていたのがこのキハ80系だ。こんな両者のツーショットが各地で見られた。所謂蒸気の敵ではなかったので、蒸気ファンに毛嫌いされることもなく、優美な鉄道車両として、貴重なフィルムを費やされた方も多いはずだ。小生にとっても、鉄道趣味の切っ掛けになった車両の一つで、各地のキハ82特急がフィルムに収まっている。我が家には16番の短編成が鎮座しているが、さすがに「おおぞら」仕様のNゲージ14両編成は普段は箱の中だ。

さて、画の「まつかぜ」だが、1973年当時は、京都発着から大阪-博多間(着は新大阪)の運行に変わってはいたが、勿論全線通しで乗車することを想定した列車ではない。山陰圏内、山陰と京阪神、山陰と北九州の輸送を1本の列車で賄ってしまおうという算段だ。この東萩からの上りは松江、米子、鳥取、京阪神への乗客だろう。現在は、山陽新幹線の全線開業で、中国山地縦断ルートが主流で、山陰線は継ぎ接ぎ路線のようになってしまいった。もし、現在もこんな列車が走っていたら、乗り鉄諸氏の垂涎の的になっているだろう。ウェブのあちこちに「まつかぜ乗車記」なるものが見られたはずだ。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/07/29(金) 00:30:00|
  2. 山陰本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いい風情

丸みを帯びたキハ82、いいですねぇ。後継機の181より数段好きです。
古びた跨線橋と木杭にかたどられた砂利のホーム延伸部が泣かせてくれます。

気になって時刻表(1973.10)を調べたら、東萩で『まつかぜ』は『さんべ1号』と交換、
その後に貨2765レが発車していく、という塩梅だったみたい。
『まつかぜ』は13両編成、2、9号車はグリーン、3号車は食堂車だったようです。
満員の自由席から逃げて、食堂車で粘った記憶が甦ってまいりました。

実際にキハ特急に乗ったのは幼少期の81系はつかりと
北海道周遊券で自由席特急に乗れるようになってからの『北斗』だったのも思い出しました。
D51558は下関のカマだったのですね。

また、こんな画を見せてくださいませ!
  1. 2016/07/29(金) 19:11:48 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

憧れのキハ82特急

くろくまさん、

現役時代の駅風景を眺めていると、なんかしみじみとしてきますよね。
お互い、こんな時代を、暑さ寒さと空腹と眠気に耐えて、撮影旅を続けていたんです。

くろくまさんのダイヤ観察結果から、ふと当日の小生の足取りを調べてみたくなりました。
なんと、ご指摘の801D「さんぺ1号」で益田から移動し、すぐさま交換のこの「まつかぜ4号」を撮っています。
つまり、このキハ82の向こうには、キハ58のさんぺが隠れているはずです。三つ纏めて。惜しかったです。
この後、東萩周辺で蒸気を2本ばかり撮って、後続の普通キハで三見に向かい、本命の蒸気2本を撮っています。
それにしても、今では考えられないような列車本数の多さです。現在の三見とか飯井は秘境駅のようです。

あの時代、特急は小生には殆ど縁のない乗り物でしたから、キハ82も殆ど見るだけでした。
例外的に、「おおぞら」と「北斗」に乗ったことがありますが、それはそれはいい気分でした。

現役蒸気の銀塩画はスキャンを終わらせて安心してしまい、その先の作業が遅れています。
特にここ数年は目の疲れが酷く、長時間のレタッチは出来なくなってしまいました。年ですね。
そんなこんなで、ぼちぼちやっていきますので、たまに覗いてやってください。
  1. 2016/07/29(金) 23:33:30 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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