駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

春色只見線 その17 最終回 只見線再び

夕刻、地域の高校生を乗せた列車が、田植えが終わった田圃の中を往く
何時までも、この光景が眺められることを祈って、只見線を後にした

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2016年5月 只見線

今回の只見線詣のラストショットは越後側の薮神となった。2426D小出発17時10分の只見行き最終列車は、この地域の帰りの通学列車だ。上越線沿線の小出、六日町、長岡などの高校に通う生徒が、この列車で帰って来る。小出を出たばかりの2両編成の新潟色のキハ40の車内はほぼ満席だ。賑やかな雰囲気でホッとするような光景だが、列車本数が極めて少ないので、越後側で最も多いこの二駅間の通過人員でも500人に満たない。そこそこ民家が連なる地域なので、経営努力が求められるところだが、やはりJRでは地域に根差したローカルなサービスは無理のようだ。首都圏の収益で地方路線を維持するという構図は、地方をお荷物にするシステムでしかないのかもしれない。

春色只見線の時に、以前入広瀬村横根と守門村二分の2集落の一年を追ったと書いたが、当時の横根の集落には六日町の高校へ通う女子生徒がいた。入広瀬駅まで片道徒歩1時間の毎日だ。まだ夜が明けきらない冬の朝、雪の壁に挟まれた径を駅へと向かう彼女を見送ったことがある。今の時代には、親の送り迎えがあるのが当たり前だが、車も除雪も行き届かなかった当時は、徒歩で駅に向かい列車に乗るのが唯一現実的な通学手段だった。ふと、そんな昔のことを思い出したが、車社会になり、道も除雪体制が整い、バスが通年定時運行できるようになってからは、生徒の多くが本数の多いバスへと移り、駅からは人が去って行った。通勤が一足早くマイカーに移行したことは言うまでもない。

只見線沿線自治体向けのJRの資料には、増収への取り組みという項があるが、その中にイベント列車というのがある。今となっては、蒸気列車の運行も被災区間の廃線に向けての足固めの一つなのだろう。先月JRが「上下分離方式」案を示したが、JRの財政出動は廃線に近い内容だ。どの程度の分担を考えているのかは知らないが、一部とはいえ復旧経費を沿線自治体が負担できるはずもなく、不通区間のJRの鉄道経営撤退も決定的なものとなった。先行きはより厳しくなったといえるが、今後の動向に注目したい。只見線の他にも日高本線や山田線で手付かずの災害不通が続いているが、こちらも前途は暗い。一方、政治パフォーマンスなのか、政府は南阿蘇鉄道を財政支援すると発表した。三陸鉄道には100億円もの復興税が当てられた。かつて災害で消えた第三セクターもある中、まさに災害からの復旧も運次第といったところだ。


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早いもので季節は夏へと移り、西からの猛暑のニュースが絶えない。
ただ、関東地方は、ちょっと例年と雲行きが違っているようだ。
只見線の高校生たちも夏休みに入ったことだろう。
草いきれの夏の青空の下、田圃も一面の緑になっているはずだ。
炎天下の線路には陽炎がたち、遠くの踏切や林が揺らいでいることだろう。
そんな思いが廻るのが、美しい日本をゆくローカル線の旅だ。

これで「春色只見線」を終わります。


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1972年7月 只見線

現役時代のC11牽引会津若松行き客レの車内風景。
おねえさんが気になったのか、ビビッて画が引けている。
旧客の車内アイテムがいちいち懐かしい。
遠く過ぎ去った夏の日の一コマだ。


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  1. 2016/07/27(水) 00:30:00|
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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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