駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

春色只見線 その10 宮下ダム貯水池水鏡

この只見川の風景は、ダムの貯水池が作り出す人工のものだ
穏やかな水鏡は美しいが、二度と豹変しないことを祈りたい

70008591.jpg
2016年5月 只見線

この景観は只見川電源開発の10基のダムによって作られた。最上流の奥只見ダムに始まり、田子倉ダム、只見ダムと続いていく。この水面は宮下ダムの貯水池で、カルデラ湖の沼沢湖と沼沢発電所の導水路で繋げられ、揚水式水力発電が行われている。この水が沼沢湖と行ったり来たりしているということだ。傍目からはなかなか分らない大仕掛けだ。ただ、10基のダムのうち、貯水能力があるのは最上流の二つだけで、残念ながら、満水時の豪雨は、放水とともにそのまま只見川を駆け下る結果となった。おまけに発電所の台船までもが只見線の橋梁を撃沈しながら漂流した。

原発事故といい、天災なのか、人災なのか。少なくとも被害を最小限に留めるというメカニズムに欠陥があったことだけは確かだ。もし人災なら、電源開発(Jパワー)と東北電力は、住民被害と只見線の復旧費用を捻出しなければならない。ところが、不思議なことに、この水害は異例の早さで国の激甚災害に指定され、災害の原因追及はなされなかった。JR東日本も東北電力に補償を求めていない。実はこの時点で、大きな力学によって、只見線の川口―只見間の廃止は既に決まっていたのかもしれない。承服できない関係自治体は相次いで訴訟を起こしている。あの忌まわしい東日本大震災の発生は2011年3月11日、新潟・福島豪雨は同年7月30日。震災から僅か4か月半後の水害だった。

さて、画の方だが、曇天の上に視界も悪い。こういう時の俯瞰は本当に憂鬱だ。薄い黒煙ではあるが、それなりに煙が上がったので、蒸気の存在は間接的に分るが、もしスカだったら完全にボツになっていたところだ。こんな条件の時は、白いキハの方がよっぽどましに写っているが、折角の新緑号なのでこちらで行ってみた。梅雨の季節を思わせる鬱陶しい画になってしまったが、こんな日もあるってことだ。それにしても、只見線は集落の後ろをすまなそうに走っているというのに、道路の方は暴力的ともいえる傲慢さで、集落と田を串刺しにしている。やはり、この道路は、近くで見ても、遠くから見ても、風景に溶け込まない。後世に伝えたいものがあるとすれば、道路文化ということなのだろうか。


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  1. 2016/07/13(水) 00:30:00|
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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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