駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

人力転車台

北見相生は木造のストラクチャーがいい雰囲気だった
そこには人力の転車台があり、仕事を楽しむ男たちの姿があった

07515F16.jpg
1974年8月 相生線 北見相生

かつて北海道には多くの盲腸線が存在した。その殆どは、隆盛を誇った炭鉱会社か経営する石炭輸送のものか、日本中を網羅する鉄道網を目指した時の政治家の、つわものどもが夢のあとだった。この相生線も当初は美幌―釧路間を結ぶ「釧美線」として計画されたが、その夢は北見相生に至った時点で、道半ばにして潰え、1985年に廃線となった。この相生線が延伸、接続するはずだった雄別鉄道雄別本線も、石炭産業の斜陽化と、炭鉱事故によって、一足早く尺別鉄道線とともに1970年に姿を消している。こうして、北海道の盲腸線の殆どが消え去り、夢のあとはその遺構だけとなってしまった。

そんな北海道の盲腸線の多くでは、キューロクが不定期に通い、貨物輸送を行っていた。バック運転が得意でないキューロクのために、終着駅には転車台が設けられていた。その日は、不定期貨物を北見区のトラ塗りキューロクが引いてきた。早速、転車の作業となるが、どこからともなく4人の男たちが現れた。機関車の停止が確認されると、転車台を固定していたラッチが外される。男たちが二人一組になった力仕事が始まる。左端のお若いのはやる気満々だ。まるで、メリーゴーランドではしゃぐ子供たちのようだ。仕事は楽しいに越したことはない。

この駅の様子は、鉄道模型趣味の方、それもレイアウト作家に見て頂きたいところだ。この駅のストラクチャーは殆どが風情ある木製だ。転車台の向こうに見える機関庫は、如何にも木造りといったいい感じだ。転車台自体は鋼製だが、その周りには、足が踏ん張れるように、枕木が放射線状に埋め込んである。次回は、西部劇にでも出てきそうな木製の給水塔、給炭台でもアップしたい。自分に工作技術と時間があれば、フルスクラッチと行きたいところだが、それは永久に実現しそうにない。一方、画のキューロク「29657」だが、1976年に廃車になり、只見線沿線の当時の新潟県北魚沼郡守門村の村営「守門温泉SLランド」のSLホテルで、オロネとともに利用されているのを見たことがある。当時のSL人気に便乗した商売だったが、そのSLホテルも廃業になり、現在は見るに堪えない姿で、荒れるに任せているようだ。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/06/17(金) 01:37:21|
  2. 相生線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

いやぁ~、長閑で実にいい風景。
当時相生線へは行けませんでしたが、9600の走る盲腸線ではどこでもこんな光景が繰り返されていたのですね。

せめてもと、タイトルだけコラボさせて頂きました。
  1. 2016/06/17(金) 20:46:14 |
  2. URL |
  3. 高辻烏丸 #-
  4. [ 編集 ]

短い夏の一時

高辻烏丸さん、コラボありがとうございます。

大井川の転車台はイギリス製だけあって、黄色いハンドルと相まって、おしゃれです。
昔はこてこてのぽっぽやたちだけでしたが、今や女性も回す時代になりましたか。
蒸気と転車台は切っても切れない仲ですから、色々撮りましたが、やっぱり人力が絵になります。
北見相生は冬には猛烈に冷える所ですから、皆さん短い夏を楽しんでもいたのでしょう。
それにしても、キューロクは何とも無骨で、骨太で、カッコいい罐ですね。
  1. 2016/06/17(金) 23:02:46 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

共通のトーン

かつて鉄道の変貌に愛想を尽かしていた頃、せめて模型で再現、
と宮下洋一ばりの模型を志向していた時期もありましたので、
こういう木造ストラクチャー類にはピピッときますね。
機関車も建物もそして人間すらも共通のトーンにあって鉄道の世界観を感じましたし、
模型にしたって作り甲斐があったものです。
次のUPも楽しみにしております。
  1. 2016/06/19(日) 10:22:31 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

北海道開拓

風太郎さん、

何時かは自作ジオラマなんて考え始めて早半世紀。安易に完成品の車両だけは少しずつ増えてはいるのですが。
たまに、通りかかった際に「さかつうギャラリー」なんかにも寄っていますが、今も眺めるだけです。
手始めに、小さな機関区なんかと思い、意識高揚のために北見相生をアップしてみました。
撮りの方が、出来なくなったり、行き詰ったりすれば、確かにこちらに走るでしょう。

この北見相生の木造ストラクチャーは、宮下洋一氏の作品でも見たことのないような素朴な作りです。
たぶん、当時の開拓者精神ではありませんが、地元の木材をフル活用して造られたのではないでしょうか。
そういうことからすれば、アメリカの西部開拓も、北海道の開拓も同一線上のことなのかもしれません、
機関庫もいいですが、極めつけは西部劇の給水塔です。風太郎さんがお待ちということであれば、なすべく早くに登場させます。
さすがに、こんな情景は完全に消えてしまいましたから、古い写真を眺めて、模型で再現するしかありません。
  1. 2016/06/19(日) 22:17:58 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

29657の現役の姿、感銘を受けました。
まだどうしてもキューロクが好きで先週も真岡にキューロクに会いに行ってきました。
この29657は数年前、新潟に見に行きましたが、それは哀れなものでした。
それにしても見事な機関車を取り巻くストラクチャーの数々、模型ででも見てみたい光景です。9633動態に復活させてくれませんかね。
  1. 2016/07/07(木) 07:31:05 |
  2. URL |
  3. popoman #n4jaW67w
  4. [ 編集 ]

キューロク礼賛

popomanさん、

道東に遠征に出ていたもので、返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
popomanさんもキューロクのファンでしたか。私も含めてキューロク好きは大変多いですね。人気絶大です。
新潟のこの罐をご覧になられましたか。全国のSLホテルは全て廃業になったというから、一時の流行りだったのでしょう。
保存してくれたのは有難いですが、やはり醜い姿を曝すのはファンとしては忍び難いものがあります。
全国の展示保存機の多くが、老朽化で危機に陥っているのも時代の流れでしょうが、寂しい次第です。
梅小路の9633が火を落として随分と経ちましたが、問題はボイラーのようですから復活は厳しいかもしれませんね。
ボイラーを新造できれば復活運転も可能になるのでしょうが、現在のお役所規格では作れないとか。
米坂線に1番違いの9634が居ましたが、いつかまた米坂線を走るキューロクが見たいものです。
北海道や九州の現役時代の舞台は、路線自体がなくなってしまったので、JR東に頑張ってもらいたいものです。
  1. 2016/07/11(月) 14:52:46 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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