駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

青葉の山陰線を往く その12 消えた海岸

あの美しい海岸は、コンクリートの塊に覆い尽くされていた
そこには、時代の流れに翻弄する発電所があった

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2016年4月 山陰本線 三保三隅

山陰線は前回の折井に続いて、西に三保三隅、岡見、鎌手、石見津田、益田と続く。その昔、この三保三隅-岡見間に名撮影ポイントがあった。途中に岩礁のある風情ある海岸を、山陰線が緩やかな弧を描いて走っていた。以前アップした このC57の客レ の画だが、この場所は残念ながら失われてしまっていた。東京ドームの15倍の広さの、中国電力三隅発電所が建設されたためだ。無残に海が埋め立てられ、山陰線は車窓が全く楽しめない内陸部のトンネルに付け替えられた。発電所の敷地内の一角に、かつての岩礁の一部が残っている。

この三隅発電所は、国内最大級の出力100万kWの石炭火力発電所で、海外炭を直接ここに運んでいる。発電所には岡見から引込線があるが、何とこれが山陰線の旧線だ。発電所で生成されたフライアッシュと呼ばれる石灰灰を美祢の宇部興産に運んでいた。これが門司機関区の原色DD51重連の牽引する所謂「岡見貨物」で、凸型DDファンの貴重な被写体だった。その貨物も発電所の度々のトラブルで廃止になり、原子力政策の混迷で、この発電所自体の先行きも見通せない状況だ。

そんな岡見駅で出発を待つ こんなC57 のスナップ的な画も以前アップしたが、今回はこの列車の発車シーンをアップしよう。前方のトンネルを抜けると、前述の美しい海岸に飛び出していたが、今は発電所で行き止まりだ。現代社会では、電力はなくてはならないものだ。発電所が充分に活用されていれば、まだ失われた景観も浮かばれるかもしれないが、現状では釈然としないものがある。中国電力のホームページの施設紹介には、「発電所の景観は,美しい日本海沿岸の風景にマッチしたデザインと色彩で仕上げています。」とあるが、小生としては、到底賛同することはできない。そうだ、そこには紛れもない美しい日本海沿岸の風景があったはずだ。


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花咲く三保三隅駅


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中国電力 三隅発電所  左中央辺りに岩礁の一部が残っている


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岡見駅  駅舎は昔と変わらない佇まいだ


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1973年7月 山陰本線 岡見  前方のトンネルを抜けると日本海が広がっていた


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悪天候の中、岡見から鎌手に向かうキハ187


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石見津田の集落  石州瓦の家並みが続く


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/06/03(金) 01:06:50|
  2. 山陰本線
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  4. | コメント:2
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岡見の駅

かつてこの駅舎の床に寝袋を敷いて寝ました。

連日の夜行・中途乗換で疲労がたまり、
目覚ましをかけながら寝過ごし、目覚めたときには
周囲を魚行商のおばあちゃん・おばちゃんたちが
私の存在をまったく無視してくっちゃべってました。

寝顔を思い切り見られていたことがわかり、その
きまりの悪さ!懐かしい思い出です。
  1. 2016/06/03(金) 23:05:35 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

行商列車

マイオさん、懐かしの岡見です。

当時の山陰線には、博多-米子間に「さんべ3号」というオロハネの付いた夜行列車が走っていました。
下関からの上りでも、米子からの下りでも、益田、浜田辺りは夜中でした。
さらに、「ちどり3号」という、広島―米子間のキハ58の夜行もあり、真夜中の備後落合で戻るということもしました。
何れにしても体力勝負で、何時かは寝不足で、列車を乗り過ごしたり、蒸気の待ち時間に寝てしまったりということに。
そこで、ステーションホテルですが、マイオさんは岡見でしたか。私は、益田が多かったです。
主に夜行停車駅にしていましたが、岡見に泊まれたのなら、その方が良かったです。マイオさんが正解です。
今考えると、初めからポイント傍の駅泊にしていれば、もっといい写真が撮れたかもしれませんね。
そうそう、当時この辺りには、蒸気客レの魚の行商列車が走っていて、岡見は4時台だったと思います。
マイオさんも寝ていないで、この行商のおばさんを撮ればよかったのに。今なら、真っ先に撮りたい情景です。
  1. 2016/06/04(土) 10:23:31 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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