駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

青葉の山陰線を往く その4 孤高の人の故郷

この土地の風土が生んだのか、加藤文太郎は真摯な登山家だった
「孤高の人」を生んだ新田次郎は、天狗のような人だったと語っている

80003804.jpg
2016年4月 山陰本線 浜坂

「はまさか」というのは美しい響きをもった地名だ。旅行をしていて気になる地名があるが、お隣の「香住」とともに、何となく後ろ髪を引かれる名の町だ。以前、国鉄で旅していた時代には、名前に惹かれて何の情報も持たない小駅に下車することが度々あった。もちろん期待が裏切られる方が多いのだが、自分だけの眺めを探すのも旅の楽しみの一つだった。それ程、地名というのは大事なものだと思うが、昨今の市町村合併によって、多くの由緒ある地名が行政区分から消えてしまい残念だ。浜坂町は新温泉町、香住町は香美町となったが、駅名にその名が残っていてくれて有難い。

浜坂は松葉蟹とホタルイカ、但馬御火浦と浜坂温泉郷、そして湯村温泉の玄関口と、漁業と観光の町だ。大きくも小さくもない人口1万人程の町だ。登山をされる方ならご存じの加藤文太郎の出身地でもある。新田次郎の「孤高の人」の主人公となった登山家だが、その真摯な生き方を敬愛する登山家は後を絶たない。加藤文太郎記念図書館や記念碑、新田次郎文学碑などのゆかりの場所がある。

東部山陰線のなかでも城崎温泉―鳥取間は列車の少ないところだ。京都からの特急は、大方が豊岡や城崎温泉までで、香住や浜坂までやって来るのは3往復の特急「はまかぜ」だけだ。その先の鳥取は智頭急行、米子や出雲市は伯備線経由となってしまう。浜坂の奥座敷の湯村温泉は、平安の時代に開かれた由緒ある温泉で、風情ある温泉場が人気を集めている。アクセスは、阪神、鳥取方面からのバスも運行されており、列車よりも安価で便利だ。構内に残された蔦の絡まる給水塔はいかにも寂しげだ。駅には、鉄道の衰退を嘆いてつくられた、暖簾のかかった鉄道グッツ館「鉄子の部屋」なるものがある。


70007502.jpg


80003803.jpg


浜坂停車中のキハ47の行先票を見ると、見慣れないデザインになっている。今年2月から、JR西日本・米子支社が導入した、外国人や不慣れな方のための「ラインカラー・路線記号」というもので、「A」は山陰線(米子~城崎温泉)の表示で、この色は鳥取二十世紀梨の色ということだ。詳しくはこちらを。効果の程はさておき、先ず隗より始めよというから、その先に期待しよう。それと気になるのが運転席の車載カメラだ。事故分析のためのドライブレコーダーの導入は鉄道各社でも進められているが、JR西日本のは他にも目的があるのではと、つい勘ぐってしまいたくなる。


80003810.jpg


浜坂の隣に諸寄(もろよせ)という駅があるが、瓦屋根の街並みと駅の位置が絶妙だ。海沿いに位置するが、まるで山奥のような眺めだ。色々とアングルを探るが、何としても電線と電柱が邪魔をする。素晴らしく電柱と電線が多い。捨てるには惜しいと撮ってはみたが、肉眼よりも電線が気になる。今回は街並みを狙うことが多かったが、それだけに電線と電柱には大いに苦しめられた。ソフトで消してしまうことも出来るが、それは禁じ手だ。まあ、「電線と電柱のある街並み」というこで、この駅の雰囲気が分っていただければ幸いだ。次の居組駅で兵庫県が終わり、山陰線は鳥取県へと向かう。お口直しに居組の日本海でもご覧あれ。


70007504.jpg


スポンサーサイト

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/05/12(木) 03:06:52|
  2. 山陰本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<青葉の山陰線を往く その5 住みたい田舎 | ホーム | 汽車を待つ 篠目>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://koarama101.blog.fc2.com/tb.php/260-f54e6640
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

リンク

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

小海線 (109)
飯山線 (20)
宗谷本線 (13)
天北線 (1)
興浜北線 (1)
深名線 (1)
石北本線 (7)
渚滑線 (2)
湧網線 (1)
相生線 (3)
釧網本線 (3)
根室本線 (2)
池北線 (1)
広尾線 (2)
留萌本線 (8)
札沼線 (1)
函館本線 (38)
室蘭本線 (8)
千歳線 (1)
日高本線 (3)
江差線 (11)
大湊線 (5)
津軽鉄道 (2)
五能線 (5)
八戸線 (3)
花輪線 (1)
三陸鉄道 (2)
釜石線 (8)
秋田内陸縦貫鉄道 (5)
由利高原鉄道 (2)
米坂線 (4)
磐越西線 (2)
日中線 (3)
只見線 (47)
真岡鐡道 (14)
東北本線 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (3)
東海道本線 (2)
八高線 (11)
秩父鉄道 (7)
西武池袋線 (1)
西武山口線 (1)
江ノ島電鉄 (10)
箱根登山鉄道 (3)
御殿場線 (2)
岳南電車 (6)
中央西線 (1)
関西本線 (2)
宮津線 (1)
山陰本線 (31)
播但線 (1)
姫新線 (3)
津山線 (1)
芸備線 (6)
木次線 (1)
三江線 (3)
山口線 (5)
日豊本線 (14)
筑豊本線 (9)
日田彦山線 (2)
伊田線 (1)
後藤寺線 (1)
田川線 (2)
唐津線 (3)
松浦線 (3)
佐世保線 (1)
大村線 (1)
長崎本線 (2)
島原鉄道 (1)
久大本線 (4)
豊肥本線 (3)
高森線 (2)
肥薩線 (18)
くま川鉄道 (1)
日南線 (3)
宮之城線 (1)
指宿枕崎線 (2)
写真集・書籍 (4)
鉄道模型 (1)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)
陸羽西線 (1)

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR