駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

落葉松並木の道

その朝、落葉松の防風林は霧氷に被われた
その並木の中を、まるで幻のようにキューロクが現れた

10122F08.jpg
1975年3月 広尾線 幸福

この帯広の広大な畑は、北海道の各地にみられるような官製の屯田兵によるものではない。この地の本格的な開拓は、1883年に依田勉三によって現静岡県松崎町に結成された「晩成社」27人の入植に始まる。入植当時から春先の強風から作物を守るために耕地防風林として落葉松が植えられた。

小生が、帯広の落葉松の防風林の映像を見たのは、某放送協会の「新日本紀行」というテレビ番組でのことだ。樹木好きの小生は、それ以来、何時かこの防風林の中を走るキューロクを見たいと思った。国土地理院の地図を眺めては、訪れることのできない撮影場所を、暫くは想像するだけだった。帯広は畑も防風林も規模が大きく、容易に地図から落葉松並木の場所を察することが出来た。帯広から北に伸びる士幌線、太平洋岸へと続く広尾線。しかし、防風林に限れば広尾線だ。それも、愛国、大正、幸福という開拓地らしい駅名の辺りだ。

当時の幸福駅は、まだブームになる前で、ドア一つ分のほんの数mのホームと極小さな木造駅舎があるだけで、周りに民家も無かった。もちろん無人駅だ。駅舎の中には、北海道を旅する若者のメッセージや定期券が所狭しに張ってあったが、この駅で旅行者やキューロクの撮影者に会うことは最後までなかった。
何回か訪れた後のこの朝、やっと思い描いていた光景に巡り会えた。放射冷却によって作り出された霧氷に被われた落葉松並木。小雪が舞い、薄らと霧に包まれた乳白色の世界。まるで幻を見るかのように、キューロクはその姿を現した。何年も待ち望んできた情景に、一瞬寒さを忘れた。


この落葉松防風林は、士幌線の名士でもある くろくまさん も紹介されています。くろくまさんの、きめの細かい美しい帯広の雪景色と併せてご覧いただければ幸いです。

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  1. 2015/01/26(月) 01:43:38|
  2. 広尾線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<珍編成の慣れない絶気合図 | ホーム | 千曲川橋梁の四季「雪景色」>>

コメント

待ってましたぁ!

小樽発の「からまつ」が帯広に到着するのが朝まだき5:35、辺りはまだ暗い。
広尾線の始発821Dはすでに待機していて車内の暖房が心地よい。
発車は5:45。途中駅の依田は通過して幸福駅に6:16に滑り込む。
お目当ての1891レが前駅、大正を通過するのが6:45。急がねばならない。
1月であれば、ちょうど日の出の時刻になるが、すでに辺りは明るくなってきた。
順光側に陣取る。蒸機は防雪林に隠されてしまうが、これが狙いだ。
やがてキューロクがやってきた。盛大な煙が存在感を示している。
幾年も望んでいた光景に出会うことができ、半ば放心状態で彼の地をあとにした……

そんな塩梅だったことが想起されます。
無理なリクエストにお応えいただきありがとうございました。
  1. 2015/01/27(火) 22:04:38 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

くろくまさんへ

さすがは、くろくまさん。全てお見通し。恐ろしいことにみんな合っています。始発が暖まっていたことも。

さて、この日のこの後の行動をご紹介します。
興奮冷めやらぬ間に、慌ただしく機材を撤収し、幸福7:17発の822Dで直ぐに帯広に戻る。
帯広で腹を満たしているうちに、413D「ちほく」がやって来る。帯広発8:38。
池田を経由して池北線に入った「ちほく」を本別で9:38に降り、霧氷をアクセントに1992レを迎える。
この時間になると霧も晴れて、ぴかぴかの霧氷が撮れる。
本別でも直ちに撤収。10:54発の932Dで、2駅戻って高島に移動。
ここでは、たっぷり時間がある。先程の1992レと1995レを、腰を据えてじっくり撮影する。
この高島には、大きく開けた雪原がある。雪山をバックにした長大編成のキューロクを愛でる。
高島を14:53の4926Dで発つ。後は池田、浦幌と進み、406D/4606D「狩勝2号」で旭川着20:51。
風呂と腹ごしらえをして、次の日に運行される興浜北線を狙うべく、0:20発の317レ「利尻」を待つ。

よくもまあこんなことを、10日も2週間も続けられたものです。今やったら一日でダウンですね。
この画、ひとつ気に食わないところがあります。キューロクのデフと落葉松の幹とがつら一になってしまったことです。それも、2台のカメラとも。思わず同時に切ってしまいました。

図星のコメントありがとうございました。あの頃を回想するのも楽しいものです。
くろくまさん。何か先を急いでいるような。ちょっと心配です。取り越し苦労ならよいのですが。
  1. 2015/01/28(水) 00:10:28 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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