駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

汽車を待つ 篠目

蒸気の気配がする鄙びた駅に、朝の汽車を待つ人の姿があった
気動車は峠を目指してゆっくりと走り去り、また山間の小集落に静けさが戻った

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写真 2016年4月 山口線 篠目

昔、伊勢正三の作ったフォークソングに「なごり雪」というのがあった。その歌詞は「♪汽車を待つ君の横で・・・」と始まる。やって来るのが、電車であっても、気動車であっても、どんな機関車であっても、この歌詞は「汽車」でなければならない。「汽車」という言葉は、物の実態ではなく、いつしか列車の総称となった。現役の蒸気の客レなどとうに消えてしまった。もう決して現れることはない。それでも、ローカル線の長閑なホームで待つのは、いつの日も「汽車」で在り続ける。

篠目は、現役蒸気の時代に峠越えの休息場所だったため、今でも蒸気の気配を感じられる駅だ。青春18きっぷのポスターにも登場している。色灯式の出発信号機の傍には腕木式の信号機も残されているが、面白いことにどちらも出発を指示している。ご多聞に漏れず、この地も過疎化が進み、乗車人員は一桁台まで減っている。やまぐち号が連れてくる蒸気ファンや観光客の方がはるかに多いだろう。

長閑な篠目のホームに、上りの山口方面行きの広島色のキハ47が静かに滑り込んだ。何人かの汽車待ちの方がホームにおられる。何時の日も、駅のホームには人の出会いや別れがある。時として、旅立つ方の人生の節目の一幕となったりもする。この方々のこの日がいい一日になることを、そしていい旅立ちになることを、レンズ越しに細やかながら祈ろう。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/05/10(火) 01:35:24|
  2. 山口線
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  4. | コメント:4
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コメント

タイトルから

「なごり雪」の歌詞を連想していたら、
やはりきましたね。
伊勢正三というより、ほとんどイルカの曲だと
思っている方も多いのでは。
元歌の舞台は大分だったか津久見だったか。
私は最初聞いたとき北海道の歌だとばかり・・・。
  1. 2016/05/11(水) 21:59:06 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

「なごり雪」はぼくもイルカさんの曲だと思っていました。
今ちょうど朝日新聞夕刊で「我が半生」というようなタイトルの連載でイルカさんが登場していて「なごり雪」が取り上げられています。その中で伊勢正三氏の曲と知った次第です。
もちろんぼくも大好きな曲、最初に聞いて思い浮かべたのは、なぜか常磐線の広野駅でした。
いろいろと想像を膨らませてくれる素敵な歌ですから、人それぞれ思い入れがあるのでしょうね。
  1. 2016/05/11(水) 22:48:39 |
  2. URL |
  3. 大木 茂 #-
  4. [ 編集 ]

大分のなごり雪

マイオさん、コメントありがとうございます。

そうですね。「なごり雪」はイルカのカバーが最大のヒットでしたから、
伊勢正三氏の作詞・作曲であると直ぐにでてくるのは、それなりの音楽好きでしょう。
伊勢氏ご本人が、東京ではなく大分の津久見駅が舞台だと発言されているそうで、
その津久見駅には「なごり雪」の碑があるそうですよ。
私は素直にその通り東京だと思っていましたが、単純過ぎました。
やはり、人混みと喧騒の中からは、こういう歌詞は生まれてこないのでしょう。
長閑な篠目のホームの方がお似合いです。
今回の記事は「汽車を待つ」にしていますが、本命の「なごり雪」という題名はまだまだ先になりそうです。
小海線で、井上陽水の「少年時代」も狙っているのですが、こちらも時期未定です。(笑)
マイオさんも、結構音楽好きのご様子ですね。
  1. 2016/05/12(木) 02:54:37 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

人夫々のなごり雪

大木さん、コメントありがとうございます。

我が家には、「なごり雪」が収録された、かぐや姫とイルカの両方のレコードがありますが、
この曲に限らず、実際に作られた方のオリジナルには、それなりの機微があり、甲乙つけがたいものがあります。
かなり音楽が好きなので、写真整理やレタッチ、ブログの記事作成の時などは、何かしらの音楽を流していることが多いです。
好きな曲のイメージが頭の何処かにあって、それをカメラで探しているような気もします。
その曲が聞こえてくるような画を撮りたいのですが、そうは問屋が卸さないといったところです。
先日、新日本紀行のテーマ曲を作られた冨田勲氏がお亡くなりになりましたが、楽曲と映像の相乗効果は大したものです。
今もって、あの番組の語り口とテーマ曲は頭から離れません。
大木さんの「なごり雪」は広野ですか。こちらは童謡の「汽車」の舞台ともいわれている駅ですね。
常磐線の完全復旧は2020年を目指しているようですが、どんな姿になるんでしょうか。
私の「なごり雪」は、只見線の入広瀬と、八高線の毛呂でしょうか。
確かに、思い入れは人それぞれだと思います。
  1. 2016/05/12(木) 02:56:42 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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