駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

タンカー桃源郷を往く

今年も山梨に桃の咲く季節が廻って来た
長野からの帰り路の空荷のタンカーが、足取り軽く桃源郷を往く 

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2016年4月 中央東線 新府

現在、桜前線が日本列島を北上中だ。各地からの桜に纏わる話題は尽きることがない。花見といえば桜だが、それも染井吉野の隆盛が続いてきたが、そろそろ樹齢的に代替わりの節目に来たという。古来より、梅や桃も愛でられてきたが、脇役的な存在に甘んじて来た。そんな中、フルーツ王国の山梨では、一面に広がる桃農園に咲き誇る圧倒的なピンクの眺めが、何よりも春を告げる風物詩となっている。県東部の勝沼や一宮辺りが見所だが、鉄道写真屋にとっては、西部の韮崎から新府、穴山にかけても目が離せない場所だ。

ここ新府も例年より早く花見の時期を迎えたが、桃はあくまで農産木のため、摘花という作業があるので、頃合いが難しい。一枚目の画の農園の方は、摘花と受粉の作業の真っ最中だ。花が少ない木があるが、摘花の済んだものは、かなり寂しい花数になってしまう。近くには、武田勝頼が真田安房守昌幸の普請で築城した、桜の名所の新府城跡もあり、一度に桜と桃源郷を楽しめる場所として人気上昇中だ。この日は、半分は撮り鉄、半分は花見と洒落込んで、貨物の時間に合わせて山を下りてきた。一時間も列車待ちをしていれば、十分花見をした気分になれるのが嬉しい。贅沢にも、桃も桜も列車も楽しめる一石三鳥だ。

さて、八ヶ岳をバックに緑のタンカーが登場した。牽引するのは「ECO POWER Blue Thunder」と呼ばれるEH200だ。日本石油輸送色の根岸のタキ1000を連ねた石油専用列車だ。タキの車台枠のない構造は、走行安定性に少々難があるということだが、荷重は45tで換算両数は積車で6.0、軸重は15tと巨大なタンカーだ。過去、山線の中央本線ではEF64の重連で運行されてきたが、その置き換えのため、この稲妻が登場した。JR東日本管轄の東線からはEF64は去ったが、JR東海の西線では何故か生き残っている。上りは長野からの帰りで空荷のため余裕綽々だが、牽引する13両のタキは、大型トレーラータイプのタンクローリー約30台分にも相当する。あの忌まわしい3.11の発生直後から、自らも大きな被害を受けたJR貨物が、被災地への磐越西線を経由した石油製品の輸送作戦を繰り広げたことは記憶に新しい。誰もが、老体に鞭打って奮闘するDD51重連には感動したものだ。鉄道網という輸送手段を確保しておくことが、防災上も重要であることが立証された一幕だった。そして、困難な輸送を成し遂げたのは、弛まない鉄道マンの心意気だった。


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  1. 2016/04/12(火) 01:27:25|
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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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