駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

淡き春

礼文華にも、水彩画のような新緑の季節がやって来た
優等列車の合間を縫って、単行キハが大カーブを渡って往く

80001973.jpg
2015年5月 室蘭本線 礼文

春の新緑の、それも始めの頃、その緑がとても淡く見える一時期がある。まるで、水彩画を見るような風景に出会うことがある。寒いような、暖かいような、北の大地で戸惑いながら進む春先の空気感がそうさせるのか。ちょっと湿り気を帯びた曇天の気怠さがそうさせるのか。それとも、北海道色のボディーカラーが醸し出した幻なのか。ファインダーの中には春の虚ろな世界があった。

ここ礼文の大カーブを訪れる方のお目当ては、大概は長い特急や貨物の編成美を、見通しよく捉えることだ。札幌と行き来する列車は、急ぎ足で脇目も振らずに通り過ぎて往く。一方、ここを通る普通列車は極めて少ない。礼文華の峠は渡島と胆振の総合振興局の境でもあり、室蘭本線の一番の秘境地帯だ。文化圏も分かれているのか、この峠を越えて行き来する地元住民は多くはない。やって来るのは岩礁海岸で大物を狙う太公望くらいのものだ。

貴重な普通列車の通過を知らせる踏切警報機が鳴りだしたが、一向に列車が現れない。何分経っただろうか。手持ちの長玉の重さがずしりと堪えてきた頃、やっとエンジン音とジョイント音が聞こえてきた。キハ40の単行は、この大カーブには如何にも小さい存在だ。車体を傾けてゆっくりと大カーブを曲がり長万部へと去って行った。まるでレイアウトを走る鉄道模型を見ているかのようだった。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/04/14(木) 01:09:15|
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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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