駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

アラーキーな「青春18きっぷ」

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今から20年前、仕事に疲れ、浮かない気分での帰り道、人混みの新宿駅のコンコースで一枚のポスターの前で立ち止まった。そこには、よれよれの毎日を忘れさせてくれるような、眩しいほどの旅の明るさがあった。使われていた二枚の写真がどうしても頭から離れない。JRにそのポスターを分けてもらえないかと、お願いに行ったほどだ。その画を撮ったのは、荒木経惟氏、世界のアラーキーだ。アラーキーが1992年から3年間、「青春18きっぷ」のポスターの写真を撮影し、その纏めを「旅少女」として発表したことは、あまりにも有名な話だ。

昨年、このポスターを担当するアートディレクターの込山富秀氏の著作で、「「青春18きっぷ」ポスター紀行」が出版された。アラーキーのシリーズのあとは、真島満秀写真事務所/マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズの作が続く。真島氏一門の作品群は、この世界では最もポピュラーであるが故に、やはりアラーキーの作が異彩を放っている。かつて新宿駅のコンコースで出会ったあのポスターのために、この本を入手したようなものだ。

アラーキーといえば、怪しい雰囲気のエロスが持ち味だが、こういうとびっきり明るい画も多数発表している。作風の多様性も非凡さの表れだろう。「この春は一度だけ。」のコピーが付いた、このモノクロ画のどこが好いのかを言い出したら限がないが、そんな無粋なことは止めておこう。小生は、若いころに戻りたいとはあまり思わないが、この作をみていると、ちょっとだけ戻ってみたい気がしてくる。また、びびっとくるような、センチメンタルでエロトスなアラーキーの青春18きっぷを見たいものだ。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/03/11(金) 00:31:29|
  2. 写真集・書籍
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

青春18

「18きっぷ」は大昔の学生時代からありました。
当時は年齢制限があるのかとか、まことしやかに言われていましたね。
実際のところ長旅には周遊券の方がはるかに使い勝手が良かったですし、
その後長旅が到底不可能になってからは「青春18」が妙に眩し過ぎる気がして、
結局一度もこの切符を買った事はありません。
昔のポスターはそれこそ目に入れる余裕も無かったのか、
アラーキーが撮っていたとは今更ながら驚きです。

アラーキーといえばその昔、新宿の街中で白昼堂々OL風のモデルが上半身丸出しでニッコリという、
「特攻ロケ」をなさっているのも目撃(眼福)しているだけに、健康的な写真が新鮮であります。

ご紹介の本も是非手に取ってみたいですね。
あの「ディスカバージャパン」のスピリットを引き継ぐのは「青春18」かと思っていますので。
  1. 2016/03/12(土) 12:46:00 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

写真&キャッチコピー

風太郎さん、

「青春18きっぷ」というネーミングは、なかなか面白いと思うのですが、この「18」が何とも曲者でした。
18歳以下限定って連想してしまうは当然のことですよね。今や、オジサン達の青春リバイバルきっぷですけど。
そうですね。同じく、周遊券の束を今も保存していますが、この切符は使ったことはありません。
ここ何年か、この切符を使った旅を編み出そうかと、いくつかの利用法を考えましたが、期間限定がネックで、未だ実現していません。
年々、新幹線に在来線が侵食されてきていますから、このきっぷの有効利用も難しくなるばかりです。

昔は、駅で時間がありましたから「DISCOVER JAPAN」のポスターは飽きるほど見ていました。
「青春18きっぷ」は、勤め人になってからですから、もっぱら駅のコンコースで歩きながらです。
実は、ポスターの写真もですが、コピーにも興味があるもので、ついつい、しげしげということになってしまいます。
ですから、こういう出版物が出るのは有難いです。気になった写真とコピーを何度も見返せるものですから。

以前は、天才過ぎるアラーキーは凄すぎて、ちょっと引き気味でしたが、近頃は総じていいなって感じです。エッセイもなかなかです。
一番撮ってみたい人物が岡本太郎だと何処かにお書きになっていましたが、何となく示唆的ですよね。
とにかく多くの写真集を出されているので、あちこちに、おやっていう感じの作品があるのもアラーキーの魅力でしょう。
  1. 2016/03/12(土) 23:35:43 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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