駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

秋色只見線 第10話 平成版「坂下の朝」

お知らせ
この記事をご覧になった大木茂さんから、願ったり叶ったりのご提案を頂きました。「43年前の写真が参考にあった方が、ご覧頂いている方に良いのでは」というご厚意です。大木さんのあの名画と、並べてご覧いただけることになりました。43年の年月を挟んだ、「坂下の朝」の今昔をとくとご覧ください。
大木さんの作は、ご提供頂いた画像をそのままアップしています。大木さんは、片隅に小さくなんておっしゃっていますが、そうはいきません。
大木さん、ありがとうございました。大木さんのサイトはこちらから。


朝8時過ぎ、上り下りの列車がこの駅で交わる
そこには、43年前も今も、同じように列をなして改札口に向かう人々がいた

昭和の「坂下の朝」 1972年9月 大木茂さん撮影
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平成の「坂下の朝」 2015年10月 こあらま撮影
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以前の記事で、会津坂下の朝のC11の旅客列車の交換と、大木茂さんの素晴らしいその乗客群像画のことを書いた。1枚目の画は、かなり貧弱ではあるが、その大木さんの名画の平成版コピーだ。当初、名画と並べて、一人で密かに楽しもうと思っていた。何回かしげしげと眺めているうちに、アップしようという気になった。他ならぬ大木さんのコピーだし、43年もの時間が流れている。何よりも、この画をご覧になって一番感慨深いのは当の大木さんご本人だろうから、失礼してアップさせていただいた。

43年という年月は、目に見える物を大きく変えてしまった。周辺の風景、鉄道の施設や車両、そして人々のいで立ち。昭和の時代を懐かしく思い、過ぎ去った年月を感じざるを得ない。画の右手にあった引込線や給水塔はきれいに更地になってしまった。
しかし、同時に何も変わっていないという思いも募った。あの時代に大木さんが切り取った情景と、今の時代のコピー画には、姿かたちは変わっても、連綿と続く人の営みがあり、それがこの情景の本質であろう。

つべこべと言い訳を書いてしまったが、本音を言えば、現代のコピー画もなかなかいいもんだと思ってのアップだ。コピー画ではあるがテイストはかなり違う画になったと思う。何故か、踏切を渡る生徒たちから、ビートルズの「アビイ・ロード」のジャケット画を連想してしまう。ただ、寂しいことに、昭和と見比べると、群衆は間違えなく小さくなり、生徒ばかりになってしまった。


80002986.jpg


まず、上りの若松行きが入線し、山峡の町からの乗客が降りてくる。次に川口行きが若松から街の生徒を乗せてくる。二つの列車の乗客の雰囲気が微妙に異なるのが面白い。43年前と同じように、ここ坂下には二つの高校がある。県立坂下高等学校と県立会津農林高等学校だ。生徒をよく観察すると、制服が二種類あることがお分かりいただけると思う。ブレザータイプが普通科の制服だ。

風太郎さんも今年9月に「坂下の朝」を撮られている。夏服から冬服への衣替えに、季節の移り変わりを眺めるのもまた楽しい。
また何十年かして、次の時代の「坂下の朝」を、何方かに見せていただきたいものだ。


70006488.jpg


実は、駅構内のある場所から撮りたかったので、試しに申し出てみたが、やはり駅長からはお許しはいただけなかった。昔なら、許可を得ることすら必要のないような場所だったが、やはり駄目だった。特に、蒸気運行日なので、一人でも許してしまえば取り止めがなくなってしまうのは確かだ。まあ、そういう時代になったということだ。


70006494R.jpg



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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/11/21(土) 00:32:31|
  2. 只見線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
<<秋色只見線 第11話 光と影 | ホーム | 秋色只見線 第9話 田子倉残照>>

コメント

鉄道は人々の営みと一緒に走り続けている。そんな思いをいだかせる素晴らしい一枚だと思います。
大木さんの絵が素晴らしいのはもちろんですが、平成版「坂下の朝」もまた味わいがあっていいなあ。
ただ、こあらまさんも指摘されているように、乗客が高校生ばかりになってしまったところに、この鉄道、そして各地のローカル線が直面している厳しい現実があらわれてますね。
その意味からしても、「平成版」ですね。
この鉄道が廃止になったら、この子達はどうなるんだろう、バス通学だと車内でみんなでおしゃべりも、試験勉強もやりにくいだろうな、そんなことを想像させてしまう一枚です。
その点、大木さんの写真には、列車に乗ろうとしている人々、とくにホームから飛び降りようとしているおじいさん、階段を降りようとしているお母さんがいて、それがあの写真にいきいきとした活力を与えていると思います。
たまたまとはいえ、乗る人がいない列車は、寂しいものですね。
そこが43年という年月の差なのでしょう。

ラストの踏切を渡る自転車も、生活感があっていい写真ですね。
人と鉄道がいる風景、こういう写真は一番好きです。
  1. 2015/11/21(土) 03:31:52 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

人のいる鉄道

まこべえさん、

少しは落ち着かれましたか。何だかんだと、やらなくちゃいけないことも色々とできますから。

平成版「坂下の朝」をお褒め頂きありがとうございます。
こういう画は、偶然に出会うか、前情報をもとに張っていなければ、撮れないものだと思います。
そういった意味で、やはり最初に撮られた大木さんには脱帽です。
人絡みの画は、狙わないと話になりませんが、狙ったからといって撮れるものではないのが、難しいところです。
ただ、人のいる画は好きですから、今後も懲りずにトライしていくつもりです。まこべえさんも、人撮りが増えたのでは。

今回只見線を見て回って、何時無くなってもおかしくない路線だと感じました。
線路を見ていると、JRが只見線に力が全く入っていないのがよく解ります。小海線よりかなり荒廃しています。
沿線に存続のための協議会などが出来ていますが、乗客が増えないことには何にもなりません。
悲しいことですが、地方ではもう鉄道の時代ではないようです。
  1. 2015/11/22(日) 01:50:04 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

後の世の誰かが

大木さんのご厚意のお蔭で我々の云わんとするところがやっと見えた方も多いのでは。
しかし若松からの列車に乗る高校生の数はさすがですね。
老若男女何でもござれだった1972年に比べれば大分限定されてしまいましたが、
いずれにしても地域交通として機能している鉄道を見るのは嬉しいものです。
ずっと後の世の誰かがこれとの比較写真を撮ってくれるようなら良いのですが。

「自転車」に味がありますね。最後まで見切った事の勝利かと。
  1. 2015/11/22(日) 23:12:34 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

たまたま

喜多方で食堂を営んでおられる方と最近
懇意にしており、その方から会津本郷から
若松まで高校時代に通うのに、只見線を
使ったが、とにかく混雑していて、立ちんぼは
当たり前、デッキから人が溢れんばかりだった、
という話を聞いたばかり。
坂下ではありませんが、会津地方も人口が
減ったということをひしひしと感じました。
通過後の自転車は世田谷線では私も狙いますが、
只見線ではなかなか出ない発想です。
  1. 2015/11/22(日) 23:47:08 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

いいですね!

まさに写真の「力」を感じる組み写真、素晴らしいです。
大木茂さんの名作「坂下の朝」、
賑やかだった朝の客レの交換風景、降客はほとんど線路を渡った後、
ひしめくように前傾姿勢の方々と時代を感じさせる衣装が懐かしい。

今年のこあらま作品、
交換はキハ同士となってしまいましたが、今でも大切な足である証左。
学生だらけと言われる方もおられましょうが、若者が多いのはいいこと。
でもね、皆ゆったりとしているのが気になります。
遅刻しても走る生徒も減ってる時代なのでしょうね。

年配の方の映り込んだ3枚目、
あれっ、寄居かな、なんて思っちゃった。
今でも秩父鉄道ですてきなスナップが写せるのかもしれませんね。
重厚な写真掲示、ありがとうございました。

そういえば、豆ちゃんも参加してるような(笑)
  1. 2015/11/23(月) 10:05:25 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

坂下の変わらぬ営み

風太郎さま、

事前に伺っていた通り、アングル探しには大変苦慮しました。駅にもアタックしてみましたが敗退です。
それに、大木さんの作の重力場は大したもので、結局コピーを決め込む羽目になってしまいました。
幾つかの対抗策を考えましたので機会があればまたということで。風太郎さまも新たな発想をお持ちのご様子なので楽しみです。

ただ、大木さんのご厚意で、こうして今昔を並べられたことは幸いでした。何を撮ったらいいのかがはっきりします。
大木さんには、時代に流されない普遍性を写し込むことが、究極的な目標の一つだということを、再認識させてもらいました。

最後の自転車は狙っていました。列車交換前から、学校に向けてぽつぽつ横断しているのを見ていました。
もう一枚あるのですが、そちらは無骨な男子だったので、まずは女子生徒の方からいってみました。
オリジナルめいた一枚が撮れて、一安心といったところです。
  1. 2015/11/23(月) 10:52:29 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

43年後のリベンジ

マイオさん、

どうしてあの時、こちら側から撮らなかったのかという後悔を、ずっと持ち続けていました。
今回、蒸気の試運転に合わせて行くことにしたのは、実はこのリベンジが一番の理由かもしれません。
43年前は、こちらも生徒だったので、通学風景は撮れませんでした。やっと訪れた平日の朝です。
駅のガードが厳しくて、思うような場所からは撮れませんでしたが、ちょっと気が済んだって感じです。

大木さんの写真ではよく見えませんが、43年前のこの蒸気の客レはどちらも4両編成でした。
今も下りのキハは3両ですから、昔は大変な混雑だったんでしょね。
坂下の街も、ちょっと離れた国道沿いに、全国共通の見てくれの新しい店舗街が出来て、賑わっています。
会津若松-坂下間くらいは、どうにかなりそうに思えますが、一体経営のJRでは厳しそうです。
  1. 2015/11/23(月) 12:17:33 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

確かに寄居だ

くろくまさん、

組み写真というのは、一枚一枚がきっちり役割を果たしていないと駄目なものです。
物足りない写真を、数でカバーするようなやり方じゃいけませんね。近頃反省です。
今回は、蒸気もキハも灯も駅撮りもと、欲張り撮影しましたので、さすがに忙しかったです。
蒸気撮りの方は、蒸気一筋の方が多いので、小生のような異端児は浮いた存在かもしれません。
小生としては、情景画としての鉄道写真はやめられないです。わざとらしい、ゆる何とかには興味はありませんが。

小生も、このお年寄りの画の駅舎の雰囲気を、何処かで見たような気がしていましたが、確かに寄居です。
大昔、寄居で大雨に合ってしまい、渋々駅舎前のホームから発車する八高線のD51を撮ったことがあります。
これと同じような木の柱と庇が写真に写っています。今でもあるんですか。それは行かなくちゃいけません。
そのうち、カメラ片手に秩父鉄道や八高線の駅を、乗り鉄で歩き回るなんていうのもいいかもしれませんね。

お~。豆さんが同じアングルを思いっきりアップされていますね。
  1. 2015/11/23(月) 14:19:28 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

こあらまさん

勝手にコラボ、失礼しました。
日本一有名?な鉄道通学風景ですので、一度は撮っておきたいと思って、磐西に行った時に撮ったものです。
その帰りには元会津線の線路沿いの道を辿ってきました。
  1. 2015/11/23(月) 21:31:54 |
  2. URL |
  3. AE86 #OfPflhKg
  4. [ 編集 ]

予期せぬコラボにビックリ

AE86さん、

いやいや、なんの。コラボ頂き、大変有り難いことです。
豆さんも大木さんのファンのご様子で。このシーンが気になっておられたのですね。
やはり磐西の時でしたか。よく考えたら、ばんものと平素の只見線を組み合わせるというのもいいですね。今度やってみましょう。
旧会津線は只見線どころじゃない一級ローカル線でしたが、会津鉄道になって随分と垢抜けました。
名所が幾つか無くなっていますが、そのうちこちらもじっくりと辿ってみたい路線の一つです。
ただ、拙ブログは現役蒸気メインのつもりで始めましたので、もう少し煙分を増やさないといけないですね。(笑)
  1. 2015/11/24(火) 00:34:55 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

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