駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

駅撮りの訳 或る日の塩狩 321列車

まだ春浅き山峡の構内に汽笛が鳴り響いた
北辺のC55が白煙を上げて旅立ってゆく 目指す稚内は遥か彼方だ

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1971年3月 宗谷本線 塩狩 321列車 C5547

塩狩は、旅客扱いの駅だが、その主な役割は信号所だ。長い交換設備は、当時の列車の長さを物語っている。毎日10回ほどの交換がなされ、補機の切り離しなども見られた。
先の330列車から5時間程が過ぎた。日が昇って木々の雪は解けてしまった。途中3本の貨物がDDに推進されて峠を越え、キハ56などの急行「礼文」、「紋別」、「宗谷」、「なよろ」が通過していった。ただ、その姿を全く撮っていない。フィルムが貴重だったとはいえ、今なら考えられないことだ。

そして、正午前に最果て鈍行321列車がやって来た。朝の罐が最果て仕業で戻ってきた。客車の中は、何やら長距離列車の雰囲気が漂っている。スハフ32のサボの稚内という二文字が最果て鈍行の証だ。


04437F16.jpg


321列車も乗客の乗降はなかった。山峡に汽笛がこだまし、最果て鈍行を引くC55から白煙が上がった。ホームには直立で見送る二人の駅員の姿があった。
この列車の最果ての旅は始まったばかりだ。名寄、音威子府、幌延と給水給炭カマ替えを繰り返して、終着の稚内を目指す。稚内到着は18:57。この先7時間の長旅だ。この列車の郵便車と荷物車が、沿線地域の人々の生活を支えていた。そのために、DC化されずC55牽引の客車列車として走り続けることができた。

爆煙よりもこんな情景の方に心が動かされるのは、後追い好きも相まって、過去を振り返る年になったこともあるのだろう。


20004674.jpg
当時のSLダイヤ情報のダイヤグラム C55のスジが赤く塗ってある


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/10/20(火) 00:21:16|
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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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