駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

4次形C57199の肖像 霧島神宮 20時30分

夏の一日も暮れ、駅は漆黒の闇に包まれた
ホームの灯りに照らされたC57の息遣いと虫の音だけが辺りに響いていた

05829RF16.jpg
1973年8月 日豊本線 霧島神宮

この日の夜は、ここ霧島神宮で撮影を行っている。当時のSLダイヤ情報には午前6時から午後6時までの12時間分のダイヤグラムしか掲載されていなかった。撮影時刻は20時30分。旅客列車ならともかく、どうやって調べたのか、記録では、都城からまっすぐここに来て、撮影後、まっすぐ塒の都城に帰っている。

この晩は都城、昨晩は宮崎、一昨晩は南宮崎、その前の晩は都城と日豊線での駅泊を続けている。南国宮崎の夏だから、何処にでも寝られたのであろう。浮浪者同然の流れ者だ。厳冬の北海道ならともかく、夜行を塒にするのも決して楽ではない。夏の九州で行きついた旅のスタイルがこの駅泊だ。さらに、数日そんな放浪を続け、8月30日に熊本から1102ㇾ急行「桜島」に乗っている。熊本発18:40、東京着翌16:06とある。帰宅翌日には新学期が始まる。この夏もアルバイトと撮影旅行に全てが費やされた。蒸気撮影に一番熱中していたころの話だ。

この列車はC57重連の牽く貨物だ。鹿島神宮の駅はカーブしており、外周からの撮影では、どうにも重連を上手く収めることはできない。先頭の4次形を後ろから狙ってみた。この角度から見ると、精悍そのものの4次形は、どう見てもC59の趣だ。
国分方面に向かう下り列車は、すでに霧島越えのサミットの北永野田は越えており、後は南霧島信号所を経て国分に駆け下るだけだ。先ほどまでデッキでは火床の手入れがなされていたが、今は人影も動かなくなった。そして、夜空に二声の汽笛を響かせ、盛大なドレインを切ってC57重連は闇へと消えて行った。


05829RFT16.jpg
1枚目のトリミング画

1枚目の画を眺めていて、ブログ用に8ビットのJPEGに圧縮すると、夜空に舞う蒸気が少々雰囲気のないもになってしまった。が、どうにもならない。そこで、光輝くナンバープレートとメーカー銘板を中心にトリミングでくり抜いてみた。4次形がなかなかカッコいいではないか。どちらをアップするか悩んだが、まとめていってしまうことにした。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/10/06(火) 00:30:15|
  2. 日豊本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

夜の駅

終夜開放待合室の駅泊でしょうか。
他の乗客の手前、見栄えは悪いですが手足を伸ばせるのは快適で、
疲れもあってぐっすり眠れた記憶があります。
周囲も大らかでした。今時の窮屈な旅は気の毒に思います。

静かに流れるスチームは、息づく蒸気機関車の静の姿ですね。
スチームの白さはレタッチで何とかなりませんでしょうか。
  1. 2015/10/07(水) 21:27:41 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

貧困旅行の良き思い出

風太郎さま、

当時、夜行が通らない駅でも、夜間待合室を締め切ってしまう駅の方が少なく、大抵は終夜開放でした。当初は追い出されたら困るなと思っていましたが、退去されられた記憶はありません。仮に追われても、夏の九州だと、駅前のベンチでも大丈夫でしたから、気安く駅を宿に出来ました。宮崎や熊本などの大きな駅でも同様でした。やはり、翌日の目的地に近い駅で寝てしまうのが、快適かつ効率的でした。

もちろん、待合室で横になれるのは、終列車近くから始発までですから、宵の口はこうやって夜間撮影に励んでいたわけです。こんな事情が夜間撮影をする理由の一つにもなっていました。(笑)
何れにしてもいい時代でした。泊まる側も、物を壊したり、悪戯しようなんて気はありませんでしたからね。

モノクロの圧縮による階調落ちは、たまに気になことがあります。おっしゃるように、今のソフトを使えば、それなりにカモフラージュすることも出来ると思います。ただ、所蔵フィルムのスキャンすら終わっていない状態では、なかなか手がまわりません。(苦笑)
  1. 2015/10/08(木) 01:37:49 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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