駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

釧網本線の二つの太陽

慌しかった一日の終りに、静かな時間が流れている
無風の空に一条の煙が上がり、オホーツクの街並が輝いた

0402016.jpg
1973年3月 釧網本線 斜里

もし、この画をご覧になって、大木茂さんの名作、朝日の浜小清水を連想された方がおられたら、望外の喜びだ。小生の作業小部屋には、この二つの釧網線の画が並べて掛けてある。前回は、鉄道ファンの田沢義郎氏の写真に魅せられて、その現場を訪れたが、結局かなり違った画になってしまったという話だったが、今回は期せずして撮った画が、大木さんの写真とかなり相性がいいのでは、という勝手な思い込みの話だ。

朝日の浜小清水は、今まさに夜が明け、躍動の一日が始まろうとする「動」の作品だ。それに対して、小生の夕日の斜里は、一日が静かに終わろうとしている「静」の画だ。仁王の「阿形」と「吽形」といったところだ。こういう対照的なものは相性がいい。見る人間だって、「躁」が優勢の時もあるし、「鬱」が蔓延っている時だってある。2枚並べると、あの頃のオホーツクの町の一日が蘇るような気がする。そこには、それぞれの作を越えた味わいを感じる。一日の始まりに朝日の浜小清水を見て気合いを入れ、一日の終わりに夕日の斜里を眺めて静かにその日を振り返る。それが、小生の毎日の儀式だ。

ただ、大木さんもご自身の写真展で、一番のお気に入りだとおっしゃっていた名作の、向こうを張ろうなんて気は毛頭ない。写真の質や撮影の難易度は比べ物にならない。大胆不敵にも、不見識極まる記事を書いてしまったが、何とかお許しが頂けるのではないかという、淡い期待もある。この夕日の斜里は、小生にとっても一番のお気に入りの中の一枚だ。メイン料理を引き立てるための、前菜か付け合せくらいにはなって欲しいものだ。


20004652.jpg

写真集「汽罐車」に収載されている朝日の浜小清水です。以前、サイトの表紙を飾っていましたが、今は寫眞帳の釧網本線の中で見ることができます。配本の際の特典や今年のカレンダーとして写真データをお持ちの方も多いと思います。ここに並べて張り付けたい気もしますが、そこはぐっと我慢しましょう。ご本人のサイトで、じっくりご覧になってください。大木さんのサイトはこちらから。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/09/04(金) 00:18:40|
  2. 釧網本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

阿吽の二枚

言われなくとも連想しましたよ。

ただ、少し様子が違うなと思ったら夕日だったんですね。
朝日が躍動や期待を感じさせるなら、夕日は仰る通り静かな安らぎを感じさせます。
ほぼ無風のようにも見える煙のたなびき方もそれを助けていますね。
まさに阿吽の二枚です。

豊かな煙の表情こそSL写真の醍醐味です。
私などは逆立ちしても撮れないもの。(復活蒸気はまあ、別モノですから。)
涎を垂らすのみです。
  1. 2015/09/04(金) 22:17:41 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

釧網本線昔話

風太郎さま、

やはり、よき理解者は風太郎さまでしたか。記事に書きましたように、望外の喜びです。
不思議に相性のいい画というのはあるもので、思わず記事にしましたが、しばらく下書きのままでした。
さすがに、公開するのは躊躇われました。風太郎さまのお口添えもいただけましたので、心強いです。

風太郎さまも、もう少し早くお生まれになっていれば、煙もとは思いますが、これはもうどうにもなりません。
現役蒸気の最後の頃は、猫も杓子もって感じでしたから、逃げ出していたかもしれませんよ。
思うに、夫々の時代の「現役」を、大切に撮っていくということに、尽きるんじゃないでしょうか。
私も、復活蒸気は大して追わず、キハばかり撮っているのは、現役へのこだわりにあります。
まあ、ある意味、現役蒸気は年寄りの昔話のようなものですから、今は今です。
  1. 2015/09/05(土) 01:07:11 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

懐広く

こんばんは。

逆光に輝く構内にひときわ高く立ちのぼる煙がとても印象的ですね。
現役蒸気ならではの懐の広いお写真に感服した次第です。
階調豊かなモノクローム写真って、本当に素敵ですね。
私、このようなお写真を「復活蒸気で表現出来たらなぁ」なんて思いました。
  1. 2015/09/05(土) 20:24:33 |
  2. URL |
  3. いぬばしり #-
  4. [ 編集 ]

階調が命

いぬばしりさま、

「階調豊かなモノクローム写真」とは、とても嬉しいことをおっしゃってくださる。ありがとうございます。
そうなんですよ。ご存知のように、モノクロネガの撮影とデジタル化は階調が命でして。
原版はいまさらどうしようもありませんが、研究の成果でしょうか、スキャンにはちょっと自信が。(笑)

私奴も、復活でノスタルジックなやつを撮りたいのですが、なかなか厳しいですね。
先日、パレオ君を撮りましたが、「ガリガリ君」に「ふっかちゃん」ですよ。笑うしかありません。
ただ、いぬばしりさまは、復活でも素晴らしい作品をたくさんものにされていますから、
めげずに頑張らなくちゃいけませんね。
  1. 2015/09/06(日) 00:30:35 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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