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駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

勝原の春

たった1本から始まった勝原の桃源郷
集落の人々も思わぬ人気にびっくりだ

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2021年4月 越美北線 勝原

残念ながらハチロク時代の越美北線を訪れたことはないので、昔のことは諸先輩方の記録に頼るしかないが、少なくとも1970年代から80年代に掛けての写真からは、勝原は一瞥して荒廃感の漂う駅と見て取れる。駅も周辺も、荒れた感じの殺風景な景観だったようだ。その反動からだろうか、地元のある女性が、駅に隣接する空き地に花桃を植え始め、今ではその数は150本になったそうな。「勝原花桃の里」とか、「勝原花桃公園」だとかで呼ばれ、花見の人気スポットになっているが、あくまで地元が管理する植栽だ。多くの車が押しかけて、小さな集落はてんてこ舞いのこともあり、越美北線の利用を呼びかけている。

大野側の線路を跨ぐ陸橋から、花桃を絡めて駅を狙うのが、定番の撮影アングルのようだが、花桃はあまり好きではないし、駅周辺の人だかりからも解放されたかったので、近くの第二九頭竜川橋梁で撮ってみた。なかなか高さのある立派な鉄橋で、新緑の美しい眺めだった。ここから先の九頭竜湖までを建設した鉄建公団であれば、無骨なコンクリートPC橋になっていたはずだ。ハチロク時代の塗装は緑だったが今は赤だ。一駅下流の柿ノ木には、第一九頭竜川橋梁が構えるが、そちらは東海道線から移築したプラットトラス橋で、アメリカンブリッジ社製の遺産級だが、このローカル路線には不釣り合いのような気がする。


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勝原に花桃が植えられ始めたのは40年程前になる。こあらまの山梨ベースでも、その頃、地元の女性たちの間で、花桃を植えて桃源郷を作ろうという機運が高まったそうだ。春には、今も各戸に花桃が咲き、確かに天空の桃源郷の趣となる。地域の過疎化をどうにかしたいと願っての、小さな抵抗だったのかもしれない。しかし、その後も少子高齢化は止らず、花桃を植えた方々もご高齢になられた。昔を懐かしむように、そんな話を聞かせてくれた。ちなみに、山梨での切っ掛けは、地名に桜の文字があることからだが、どうして桜が花桃になってしまったのかは判らない。当時の流行だったのかもしれない。私的には、どうも花桃は刺激が強過ぎのようで、淡い桜の方がよかったのだが・・・。


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味気ないブロック駅舎の右側のログ風建物は五箇公民館で、かつて、その場所には転車台があったようだ。駐車している車の殆どは花見客のもので、鉄道利用者が乗り捨てていったものではない。足羽川橋梁が水害の無残な姿を晒していた2005年にもここを訪れているはずなのだが、花桃の季節ではなかったせいか、その時の記憶はあまりない。ハチロクがスチーム駆動の大友式の転車台に載っている姿でもあれば、決して忘れはしなかっただろう。やはり、殺風景な雰囲気に、花桃の華やかさが欲しいと思ったのも自然な成り行きだったのかもしれない。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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