駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

鉄道ファンの「南国の薔薇」

日陰のない夏の田圃のなかで、ひたすら南国の薔薇を待った
そこには、いつか雑誌で見た光景が広がっていた

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1973年8月 日豊本線 田野-門石信号所

「鉄道ファン」という雑誌は、すでに創刊50周年を越えた、鉄道趣味雑誌の草分けの一つだ。小生も現役蒸気を撮影していた頃に、厳しい財政事情のなか、なけなしの金で買っていた。一足早く創刊された「鉄道ピクトリアル」との2強時代だったが、どちらにするか悩んだ末「鉄道ファン」にした。こちらの方が蒸気の情報が多かったような気がしたことと、少し装丁が良かったという理由からだ。

44年程前のことだが、その鉄道ファンの1971年6月号に、「南国の薔薇」という題目で、田沢義郎氏の2枚の写真が掲載された。場所は、日豊本線の田野-門石信号所間だ。一枚目は順光、二枚目は逆光だが、この逆光の方がいたく気に入ってしまった。当時小生は、田沢氏の均整のとれた構図の精緻な作品に魅了されていた。

それから2年後、やっとその場所の撮影の機会が訪れた。田沢氏の作品は冬の12月。小生は夏の8月だ。迷わず逆光側に向かったが、夏の暑さと、睡眠不足で、田沢氏のポイントの段丘の上までは残念ながら足が届かなかった。ローアングルからの頭を垂れだした稲穂と夏雲という、随分単純化され風情のない「南国の薔薇」となってしまった。もう一度、撮ることができたなら、是非ともあの丘の上に登りたいものだ。今回、田沢氏の作品をもう一度眺めてみたが、この冬の逆光の画はやはり素晴らしい。

押入れから引っ張り出してきた半世紀近く前の雑誌をぱらぱら捲っていくと、あの伝説の鉄道写真家集団「けむりプロ」の記事に目が留まった。インドのカングラ渓谷鉄道の記事だ。そうだ、「鐵樂者展」に行かなくては。最終日は9月6日の日曜日だ。


20004648.jpg
鉄道ファン1971年6月号 表紙は北上線の特急「あおば」キハ181
ちなみに、定価は¥350 なり

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田沢義郎氏の「南国の薔薇」 順光の一枚目

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お気に入りの逆光の二枚目

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ページを捲っていくと、あの「けむりプロ」の記事が


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/09/02(水) 00:26:48|
  2. 日豊本線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

南国の薔薇

私もこの作品に魅せられた一人です。
特に逆光の一枚。

あの俯瞰場所は田野から歩くとかなり遠く、
何度も目論みながら結局果たせずでした。
当時は俯瞰場所で一発、よりも田野から
青井岳まで歩きとおすことを重視してました。

撮影者の田澤さんと一度だけご一緒したことも
あります。肥薩川線だったか。
4X5か6X6を大型三脚に据えておられたので、すぐわかりました。
「俯瞰で広々とした風景の中にディーゼル車両がぽつんと見えるのも
いい感じだよ~」とお話されていたのが、今でも記憶に残っています。
  1. 2015/09/02(水) 09:09:38 |
  2. URL |
  3. マイオ #pcU4xDNY
  4. [ 編集 ]

どうしてどうして、夏空に浮かぶ門デフシルエットが素敵な一枚です。

当時この場所へは二度行きましたが、お決まりの線路端写真が残っているのみ。下へ降りなかったのが悔やまれます。
  1. 2015/09/02(水) 22:08:02 |
  2. URL |
  3. 高辻烏丸 #-
  4. [ 編集 ]

「南国の薔薇」モドキ

マイオさん、コメントありがとうございます。

そうです。この鉄道ファンは、マイオさんの「南国の薔薇」の際に、押入れから探し出したものです。これに間違いないですよね。44年もの間、ずっと記憶に残っていたのですから、やはり名画です。そのうち記事にしようと出しっ放しにしてありました。マイオさんが発端です。ありがとうございました。

よかったですね。田沢氏ご本人とご一緒できて。私奴もお会いしたかった。想像するに、職人肌の方ではないかと。「ディーゼル車両がぽつんと」なんてお聞きすると尚更です。

そうそう、マイオさんの記事から、もう一つ仕込みをしてあります。それには、リンクを付けていますので、予めご了承を。山陰本線の記事です。
  1. 2015/09/02(水) 23:43:17 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

遠くて遠い橋梁

高辻烏丸さん、コメントありがとうございます。

この場所のお立ち台は、築堤を正面から望める場所でした。私も何度も撮りました。そこから眺めると、盛土の途中に鉄橋が見えましたが、行ってみないと、こんな立派な橋梁だなんて判りませんよね。私は田沢義郎氏のこの画を見ていましたので、炎天下何とか田んぼに降りましたが、俯瞰するところまでは行けませんでした。残念でした。まあ、門デフといい夏雲に救われはしましたが。今だと、この程度の場所だと、当たり前のように車で乗り付けてしまうのでしょうが、自分の足だけが頼りだったあの時代には、厳しいものがありましたね。
ただ、この画、見てると、けっこう眩しくて暑そうですね。冬にアップした方が良かったかも。(笑)

おや、高辻さんも同じ場所をアップされたんですね。コラボありがとうございます。門デフとおっしゃったのは、4次形だったからですか。ただ、4次形のファンのマイオさんに怒られちゃいますよ。
前日の高辻さんの日中線の記事に触発されて、私も日中線の仕込みをしました。
  1. 2015/09/02(水) 23:46:21 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

懐かしい写真

初めてのメール失礼いたします。写真家の田澤義郎さんは私の母の友人でした。実家に沢山の蒸気機関車の写真があったのを覚えています。幼い私は、当時、田澤さんに写真を撮って頂いたり、遊んで頂いたりで、有名な写真家の方とはつゆ知らずとってもお優しいお兄さんのような存在でした。「南国の薔薇」の写真だと記憶しますが実家に大切に飾られておりました。思いがけない過去との再会に懐かしさがこみ上げ、コメントさせて頂いた次第です。
  1. 2016/05/26(木) 13:16:16 |
  2. URL |
  3. K・K #7PP8Sh1c
  4. [ 編集 ]

素顔の田澤さん

K・Kさま、

田澤義郎さんとご縁のある方から、お話を伺えるとは思っておりませんでした。正直びっくりです。
写真を始めたころに魅せられた写真家と写真は、ずっと記憶に残るもので、忘れることはありません。
好きな写真は数々ありますが、この「南国の薔薇」は特に気に入っております。
ご実家に飾られておられるということで、羨ましい次第です。
田澤さんの写真には、派手さはありませんが、ものの本質に迫る奥深さあり、見飽きることがありますん。
私は残念ながら田澤さんにお会いしたことはありませんが、勝手に想像はしておりました。
ご様子をお聞きして、田澤さんへのファン度数が上がりました。
貴重なお話しありがとうございます。
  1. 2016/05/27(金) 22:24:52 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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