駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

確かにそこに駅は在った 日中線 上三宮

この画は決して廃線跡を撮影したものではない。現役で営業中の1972年7月の日中線の上三宮駅だ。
「日中走らぬ日中線」というフレーズは有名だが、時刻表には確かに日中の列車の記載はない。キハが最後まで入線せず、C11やDE10の客レの撮影には、多くのファンが訪れた。日中線の駅といえば、終点の洒落た三角屋根の熱塩駅が圧倒的に露出度が高く、廃線後は日中線記念館になっているということだ。ただ、どちらも今回のお題ではない。

日中線は喜多方から延びた11.6kmの延伸計画が挫折した盲腸線だが、途中に何れも木造駅舎の会津村松、上三宮、会津加納の3駅が存在した。とりわけ、鄙びていたのが、この上三宮だ。一部の戸や窓は無くなっており、廃屋と見紛うほどだ。駅舎の中には、ポツンと手書きの時刻表が吊り下げられていた。時刻表のチョークの落書きは、男子生徒の仕業と思われる。線路には夏草が生い茂り、列車が来るとは思えない。第一級のローカル線の眺めだが、何故にこんな閑散とした鉄道が存在できたのか。けっして国鉄に余裕があった訳ではない。そうこうしているうちに、国鉄は分割民営化され、ローカル線は消えていった。

当時の撮影旅行では、追加出費を要する周遊券にない交通手段は、極力使わないことにしていた。しかしながら、さすがにこの本数では、走行写真を撮ろうとすれば、どうにもならない。並行して走る県道のバスも利用せざるをえなかった。
ちなみに、この駅の近くには、こんな撮影地があった。高辻烏丸さんの「煙を求めて幾千里」の この記事 の押切川橋梁だ。

日中線が廃線になったのは、この10余年先の1984年4月1日のことだった。


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テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2015/09/12(土) 00:35:35|
  2. 日中線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

ブラボー

当時のあらくまさんの慧眼にひれ伏すばかりです。
くだらぬ連射に用いたネガ、もっとスナップしときゃあ良かった。
  1. 2015/09/12(土) 13:43:52 |
  2. URL |
  3. くろくま #uRLT.2RM
  4. [ 編集 ]

とても営業線とは思えない光景、これが日中線の現実だったですね。
そんな当時の様子を見事に表現した上三宮駅の組写真です。

以前拙ブログでこの押切川橋梁をアップした際、風太郎さんに上三宮だということは教わりましたが、一番列車を撮影するために喜多方からどのようにしてここへ辿りついたのかはわかりませんでした。
喜多方から歩いてくるには少し距離があります。
並行している県道にバスがあったということですので、おそらくはバス利用だったのでしょうね。

リンク頂きましてありがとうございました。
  1. 2015/09/12(土) 16:40:50 |
  2. URL |
  3. 高辻烏丸 #-
  4. [ 編集 ]

後悔先に立たず

くろくまさん、

それは小生とても同じです。今の感覚からすると、降りる駅、降りる駅でこんなのを撮っておけばよかった。
ただ、今だからそう思うのであって、当時はとにかく罐そのものを撮るのに夢中でしたからね。
たまたま、撮ってあった画がとても大切です。ここまで、鄙びた駅舎になると、さすがに撮りましたけど。
例の下渚滑の記事に載せた、去っていくキハ22の画も、自分としてはとても気に入っている画です。
ですから、いま撮影旅に出ると忙しいですよ。車両以外にも被写体が多いですからね。
この「確かにそこに駅は在った」はシリーズ化したいのですが、ネタに乏しいので思案中です。
  1. 2015/09/12(土) 22:37:08 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

不思議な魅力の日中線

高辻烏丸さん、

そうなんですよ。小生も高辻さんが、どうやって始発列車を撮ったのか、気になっていました。
日中線を撮るために、わざわざ宿泊したとも思えませんし。今なら車で、何の不思議もありませんが。
そこで、自分の記録を調べてみると、バスに乗っていたって訳です。
日豊線でもバスを使っていた記録があるのですが、どちらも、まったく記憶がございません。
確かにそこに駅は在ったようですが、記憶はもうきれいに無くなってしまっている。ちょっと焦りが・・・。

小生も風太郎さまのコメントを覚えています。確かバックの画だったですよね。
それで、小生も、上三宮=押切川橋梁 ってことを覚えていたのかもしれません。(笑)

しかし、こんな辺鄙な路線に、どうして多くの方が行かれたんでしょうね。
只見線や会津線に集中した方がいい画が撮れたはずですが、路線稼ぎの気持ちがあったのかもしれません。
ただ、3往復ぽっきりですが、全列車がC11の混合列車というのは、何か引き付けるものがあったんでしょう。
こういう路線が今あったら、やっぱり行ってみますよね。
  1. 2015/09/12(土) 22:39:55 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

上三宮

上三宮ですか、懐かしい。
初めての日中線詣での時、確か熱塩からここまで歩いたような。
記憶が正しければ近くに造り酒屋があって、戦前の開通時、これで販路が拡がると喜んだとか。
物流の全てが鉄道に委ねられていた時代ですね。

実はつい先日、日中線跡を訪ねました。
(本当に好きな路線だったのでオヤジのセンチメンタルジャーニーです)
押切川橋梁は廃線後、道路橋に変わったとか。
どうもそれらしいカーブを車で通過しつつ、もはや跡形無い日中線の記憶は遠い過去となった事を実感しました。

  1. 2015/09/15(火) 21:43:02 |
  2. URL |
  3. 風太郎 #ORZvdv76
  4. [ 編集 ]

笹正宗

風太郎さま、

ここにもお一方、日中線のファンが居られました。
やはり、混合列車3往復のみの盲腸線というのは、ノスタルジックな世界なのでしょう。
確かに、上三宮には笹正宗酒造という200年近く続く、純米酒に力を入れている酒蔵があります。
ただ、私も呑兵衛になってからの調べで分かったことで、当時は不勉強で知りませんでした。

それにしても、再訪されるとは、かなりのものですね。
廃線探訪のサイトが結構ありますので、日中線も見てみましたが、跡形なく消えていました。
風太郎さまのことですから、ちょっとした痕跡さえあれば、それらしい画が出て来たことでしょう。
残っているのは記念館の熱塩くらいでは、どうにもなりません。
このくらいの長さの線であれば、保存鉄道にでもして欲しかったですね。
  1. 2015/09/16(水) 01:18:47 |
  2. URL |
  3. こあらま #bhV1oT4A
  4. [ 編集 ]

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Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

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