城下町の小駅に単行ヨンマルが行き交う
立ち並ぶ町屋の瓦の照り返しが眩しい

2018年4月 播但線 竹田
竹田城の築城は、1431年に但馬守護山名持豊によるもので、初代城主は大田垣光景と伝承されているが、築城を記述した直接的な史料は見つかっていない。最後の城主の赤松広秀は1600年に自刃、竹田城は徳川家康によって廃城となった。それから400年、標高353.7mの古城山の山頂に佇む虎臥城の石垣群は、地元の手により長年守られてきた。近年、雲海に浮かぶ礎が、天空の城とも日本のマチュピチュとも呼ばれ、人気を博すことになった。
現在残る城下町は赤松氏の時代の場所にあり、太田氏の時代には城山の反対側に在ったそうだ。ただし、現在の町屋は江戸時代以降もので、竹田城が実在していた時代のものではない。竹田は山陽鉄道の駅として1906年に開業したが、僅か8カ月後には国有化されている。播但線は、城下町の町屋と寺院の間を抜けている。蒸気時代は、平野部がC11、生野越えの列車がC57だったが、1972年の無煙化で、こあらまは無念にも一歩及ばなかった。
城下町を見下ろすように城跡が聳えているので、当然のことながら鉄撮りが出来ることになる。作例も多いが、一応駅周辺から石垣が見えるかは、前回の訪問で確認済みだった。天気も上々だったので、迷わず機材を担いでの登城となった。運よく城跡の桜が満開になっていた。朝方には僅かな雲海も見られたが、こちらは残念ながら鉄撮りには活かせなかった。古い町並み、古城の城跡、ヨンマルの単行と好物が同時に三つも楽しめた一日だった。





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- 2018/04/29(日) 00:00:00|
- 播但線
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飫肥杉の山里を往くパシフィック街道
美しいK-7デフの112号機が発進する

1973年8月 日豊本線 日向沓掛
日豊本線の宮崎以南は、現役蒸気末期にライトパシフィックの聖地となったところだ。宮崎-都城間の青井岳越え、都城-国分間の霧島越え、国分以南の錦江湾沿岸と、それぞれに秀逸な見所があったが、終焉期に特に賑わったのが、青井岳越えの田野-青井岳間だ。途中に門石信号場を挟んだ11.3kmを歩き抜くというのが健脚向けコースだったが、門石-青井岳間の続けさまの4本の隧道が思案のしどころだった。
昨春、久しぶりに九州に出掛けたが、日豊本線を訪ねることはなかった。架線が張り巡らされ、今風の電車が走る日豊線には、どうしても食指が動かなかった。はっきり言えば、そんな日豊線を見たくなかった。しかし、記憶に残る日向沓掛や田野の駅を、再訪してみたいという衝動は払拭できそうもない。もし次回があれば、数々の名作を生んだ、田野の清武川橋梁の夕暮れを、もう一度眺めたいと思っている。
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- 2018/04/27(金) 00:00:00|
- 日豊本線
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今年も美作の小駅が桜の花に覆われた
春の嵐にホームに花びらが散った

2018年4月 因美線 三浦
この季節にローカル線の駅を見つけるのは易しいことだ。線路伝いに桜を探せば、駅に辿り着ける。駅と学校には桜は付き物だ。人々が集うところに桜が植えられるのは、日本の習わしのようなものだ。ちょうど、旅立ちと出会いの季節に桜が花をつける。そこが、駅であれ、学校であれ、そんな人々の人生の節目を飾ってきた。今年の開花は例年になく早く、散るのも早まったが、今も桜前線が日本列島を北上している。最も遅い根室に到達するのは5月中旬のことだ。
ここ、因美線の三浦も桜のトンネルが有名な駅だ。美作の津山盆地の北の片隅にその駅はある。周辺住民の請願で設けられた、きつい斜面に張り付くような棒線駅にも、やはり桜が植えられた。花見の名所である津山城址の桜は、桜まつりの期間の始めに早々に終わったが、山間部が迫る三浦では、染井吉野と八重桜が同時に満開を迎えた。折からの春の嵐に、ホームに花びらが散った。儚い桜の散り際に人生を重ねるのも、日本人の遺伝子に刻み込まれた感傷的な一面だ。
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- 2018/04/25(水) 00:00:00|
- 因美線
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雪解けが進み、間もなく農作業が始まる
増水した残雪の破間川を、凸凹気動車が往く

1977年4月 只見線 入広瀬
豪雪地帯の魚沼の中山間地域から雪が消えるのは、春の大型連休頃です。雪に閉ざされた季節から解放されて、一気に緑溢れる伸びやかな季節へと移っていきます。その変化の素晴らしさは、長い雪の中での暮らしを通してしか分からないものです。残雪が残る中での、新緑は本当に輝かしいものです。また、雪深い魚沼は山菜の宝庫でもあります。狭い棚田からは十分な収穫は得られず、山菜によって得られる収入が、村人の生活を助けてきました。ここ入広瀬は「山菜王国」としての顔ももっています。
破間川の河岸には多くの残雪が残り、雪代が入り年間で最も流れが強くなっています。その破間川に沿って只見線が走っています。小出に向かう国鉄時代特有の凸凹の5両編成の普通列車がやって来ました。先頭のキハ58・28の3両に続いて、キハ23とキハ16が連なっています。当時の只見線では、キハ10系、20系、45系、58系などの気動車を見ることが出来ました。ここ小出口は全通する前は客車でしたが、無煙化直後にはSG付きのDDが配属されず、C11が冬季限定で復活したこともありました。
集落の周辺には棚田が広がっていますが、一帯は雪解けで湿地帯の様相です。冷たい雪解け水を温めるために早くから田んぼには水が貯められます。雪解けの際の田んぼには、尾瀬の風物詩でもある「赤シボ」と呼ばれる現象が起きます。鉄分とも藻類の仕業とも言われていますが、詳しくは解っていません。棚田から完全に雪が消えるころに、いよいよ田での農作業が始まります。この時代には、まだまだ出稼ぎにでる家庭が多かったようです。雪解けとともに、大黒柱のお父さんが都会から帰ってきます。






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- 2018/04/23(月) 00:00:00|
- 只見線・小出口
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耳を傾けるとC58のブラストが聞こえてきそうだ
深い山懐の小鳥原川に季節外れの雪が降り続く

2018年4月 芸備線 道後山
現在、芸備線の東城-備後落合間は、1日3往復のキハ120の単行が走るのみの超過疎線区になり果てている。平均通過人員はどうやら一桁になっているようだ。先日、三江線が終焉を迎えたが、次は備後落合界隈との憶測が尤もらしく噂されている。現役蒸気ファンの方々なら、この第一小鳥原川橋梁を備後落合から道後山に向けて驀進するC58の雄姿を、雑誌などで見掛けたことがおありだろう。1970年10月改正のSLダイヤ情報を見ると、日中12時間だけでも、客貨23本もの列車が道後山を発着、通過している。しかも、そのうち3本は急行列車だ。往時を知るものにしてみれば、信じられないような凋落ぶりだが、それが陰陽連絡線としての役目を終えて、中国山地の山懐に取り残されたローカル鉄道の厳しい現実だ。
さて、今回の写真だが、もう春だというのに雪景色はないだろうと言わないでほしい。この写真は、ほんの2週間前に撮ったものだ。雪を被ってしまっているが、三分咲きの桜が数多く写っていることになっている。気動車の前面は、春の淡雪と言うには、少々厳し過ぎる顔付になっていた。着雪しやすい湿った雪で、思いがけない銀世界となった。このところ、暖かいを通り越して各地で夏日が続いているが、春の麗らかな日和は、いったい何処に行ってしまったのだろうか。冬かと思えば夏がやって来る。降れば大雨。吹けば暴風。気象の激化は留まることを知らない。半世紀ほどの時の流れで、芸備線の備後落合は目を疑いたくなるような凋落ぶりだが、気象の方も大きく様変わりしてしまった。何事も変化の速さには危ういものを感じる。
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- 2018/04/21(土) 00:00:00|
- 芸備線
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高原の落葉松が芽吹き始めた
旧ホームに咲く桜が鮮やかだ

2015年4月 小海線
交換駅だった頃の名残の使われなくなった古い石積みのホームにその桜はある。
★只今、予約更新で「春・花の季節」をお送りしています。
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- 2018/04/19(木) 00:00:00|
- 小海線
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菜の花の道を菜の花列車が往く
傍らで農作業の合間の一休み

2017年4月 久大本線 豊後森
如何にも温暖で穏やかそうな九州の春だが、久大線の被災区間は未だに復旧していない。
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- 2018/04/17(火) 00:00:00|
- 久大本線
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線路端のコブシの花が満開になった
田園シンフォニーの里に春を告げる

2017年4月 くま川鉄道 一武
コブシは日本原産の花木で、学名も Magnolia kobus だ。農作業の開始を告げる花とされている。
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- 2018/04/15(日) 00:00:00|
- くま川鉄道
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甲斐山梨はフルーツ大国だ
武田菱が新府の桃源郷を往く

2016年4月 中央東線 新府
甲斐では親方様の武田信玄が今も健在だ。この地を往くのはやはり武田菱のE257系がお似合いだ。
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- 2018/04/13(金) 00:00:00|
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今では珍しくなったツメクサが田圃に咲く
「ゆふいんの森」のボディーが夕日に映える

2017年4月 久大本線 北山田
田圃に緑肥として植えられるこのムラサキツメクサ。アカツメクサとも赤クローバーとも呼ばれる。
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- 2018/04/11(水) 00:00:00|
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