駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

或る機関助士の記憶  岡見

山陰本線上り528レが岡見に到着した。牽引機の小気味良いコンプレッサーの音が出発までの時間を刻んでゆく。
罐を操る機関士と機関助士の二人の男たち。現役蒸気時代の忘れられない記憶のひとつだ。

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1973年7月 山陰本線 岡見

この列車が次に向かう三保三隅までは、まずは隧道の連続だ。列車交換の間、機関助士は、隧道に備えて蒸気作りに余念がない。
出発準備をするキャブに向かって、撮影の許しを乞うが、コンプレッサーの音にかき消されて聞こえないようだ。何度か叫んでいると、何事かと機関助士がキャブから身を乗り出した。機関士もこちらを見ている。結果的に陽動作戦のようになってしまい心苦しい。
それにしても、ナッパ服、ナッパ帽姿の二人の男たちは、何と蒸気に似合うことだろうか。ピカピカの復活蒸気ではこうはしっくりいかない。さらに、このC57のキャブ周りの容姿。どう表現していいか分からないが、蒸気好きにとっては、たまらない光景だ。
この後、この罐は、たった一人の観客のためにドレインをサービスして、隋道に消えて行った。

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  1. 2014/12/28(日) 23:45:22|
  2. 山陰本線
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夕暮れ時

駅に夜の帳が降りるころ、街から高校生が帰って来た。
今日は土曜なので部活の帰りだろうか。ただ、その姿は年々少なくなっている。

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2014年11月 小海線

この地も、ご多分に漏れず、少子高齢化が進展している。
長野県佐久地域は、全国的にも有名な、在宅医療が進んだところだ。小諸市、佐久市、小海町は「在宅医療連携拠点事業」の指定もあり、佐久総合病院を基幹病院とした在宅医療が広く定着している。しかし、昭和19年にこの病院が設立されるまで、この地域は広く無医村地帯であった。その体制の基礎を築いたのが東京出身の医師若月俊一氏だ。彼は2006年に自らが育てた病院で、その生涯を終えている。
せめて、元気なお年寄りの笑顔が絶えない駅であってほしい。

  1. 2014/12/28(日) 00:57:08|
  2. 小海線
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架線柱への挑戦

電化区間の蒸気の撮影は、架線と架線柱との我慢比べだ。
人間の頭は都合よくできている。限度を超えると、もうどうでもよくなってくる。

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2014年10月 秩父鉄道 浦山口-武州中川

この杉を見て、ふと、現役時代の秋田杉のなかを走る奥羽線や飫肥杉の日豊線を思い出した。朝夕の陰影のついた美しい杉林は、撮影の格好の脇役だった。
この100m程先は武甲山バックの定番のお立ち台だが、そこにはあまり興味はない。架線柱が大いに邪魔で本来なら問題外だが、この杉の誘惑を振り払えず、僅かに抜ける場所を確保し、無理やり撮影してみた。結果はご覧の通りだが、構図自体は結構小生の好みだ。まあ、1枚撮って気が済んだというものだ。こんなものを撮る物好きも少ないと思うので、見慣れないアングルとしてアップしてみた。


  1. 2014/12/26(金) 00:00:00|
  2. 秩父鉄道
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江ノ電からのメリークリスマス

今日はちょっと趣向をかえて、クリスマスを迎える江ノ電から、ゆる~い話題をお届けします。
「江ノ電」こと江ノ島電鉄は、神奈川県の藤沢と鎌倉を結ぶ普通鉄道です。
普通鉄道ですが、日本で唯一特認区間の併用軌道をもち、まるで路面電車のようです。
他にも、ここだけというのが、いっぱいあります。みなさんも探してみてください。

まずは、このタイル画から。おとなりの腰越駅の駅名入りのが元です。
だれが作ったかというと、腰越駅と江ノ島駅の駅員さんたちです。
腰越駅のタイル画の上にある、女性駅員さんの手書きのメッセージもお読みください。
北条鉄道の法華口のおもてなしも感動的ですが、こちらのおもてなしも、じ~んときますよ。
このタイル画、クリスマス飾りを付けてもらって、うれしそうですね。

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2014年12月 タイル画のなかの「えのん」くん 江ノ島

駅前に出ると、おやまあ、車止めの柵に小鳥のサンタさんがとまっています。
これを見つけた女の子たちの歓声がきこえてきます。

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同 小鳥のサンタさん 江ノ島

藤沢と鎌倉の車止めには、こんなものが。
頭の固いお役人さん、黙っていてくださいね。

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同 車止めからメリークリスマス 鎌倉

江ノ電ではクリスマスツリーもこんな感じです。
派手な飾りはありませんが、「えのん」くんがかわいいですね。

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同 江ノ電流クリスマスツリー 鎌倉

最後におまけです。こんなのもあります。
笑っちゃいますね。

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同 変わった「ガーデン」 江ノ島

こんな素朴な手作りのおもてなしがいっぱいの江ノ電。
職員は皆さん、江ノ電が大好きなんですね。
豪華さはありませんが、心温まる江ノ電からのメリークリスマスです。
こんな「駅舎の灯」も、すばらしいですね。

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同 真冬のサーファー 鎌倉高校前

  1. 2014/12/24(水) 23:05:41|
  2. 江ノ島電鉄
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C57 4次形 参上

日豊線に集結したC57の4次形、貴婦人の愛称とは似つかわしくない精悍な面構えだ。
単機回送というのに、何かに怒っているような闘牛のような気迫だ。

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1971年7月 日豊本線 青井岳-門石信号場

人だかりの喧騒を避けてか、風景写真の一ジャンルになったのか、線路端から疎開する諸兄が多くなり、汽車は小さくなるばかりだ。そう言う小生も、大写しの正面撮りなど稀になった。
しかしながら、やはり蒸気好き。たまにはその勇士を間近に見て、細部まで鑑賞したいものだ。そこで今日は、「日の丸写真」だの、「正面ドカーン」などと言われようとも、ドカーンといってみよう。
罐の色艶やボイラーの熱気を感じることが出来るのは、やはり蒸気好きには幸せなことだ。

マイオさんが、日豊本線の記事を連載されているので、遅ればせながら援護射撃だ。小生は残念ながら「日南3号」は撮影することが出来なかった。そのため牽引することが多かったC57の4次形でご勘弁頂きたい。ただし、C57191は撮影後に鹿児島に転属となり、そのまま休車を経て廃車となっているので、「日南3号」を牽引したかは定かでない。

  1. 2014/12/22(月) 02:07:44|
  2. 日豊本線
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筑豊 二題 ②土門拳と大木茂さん

筑豊という言葉を聞くと、どうしても土門拳の「筑豊のこどもたち」が思い浮かぶ。

小生は二十歳頃に土門拳の「筑豊のこどもたち」で写真の力を知ることになった。この本は、言わずと知れた、土門拳のリアリズムの金字塔だ。この写真集が小生の書架に並んでから既に40年近くが経った。時々新装版を眺めているが、何回見ても新鮮な感動や発見があり、何よりやる気が湧いてくる。小生にとっては、落ち込んだ時のカンフル剤のようなものだ。

この初版本はザラ紙印刷で¥100という大衆向けのものだった。どうしても原本で見たいとおっしゃる方は、今でも古本屋を探せば、手の出せる範囲で見つかると思う。とは言え、さすがは土門拳、ザラ紙の古本であっても、大木茂さんの「汽罐車」より値が張る。

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左:土門拳「筑豊のこどもたち」(新装版、築地書館)       右:大木茂「汽罐車」(新宿書房)

何故ここで「汽罐車」かというと、もちろんここが鉄道画のブログであるからだが、小生にはどうもこの2作にはダブって見える部分があるのだ。並べてみても、小生には何ら違和感はない。皆さんはどうだろうか。大木さんにしてみれば、隣に土門拳では、些か座り心地が悪いだろうが、ここは両作品をこよなく愛する者の戯言とお聞き流し頂きたい。

これらの内容を評する勇気は毛頭ない。ただ共通点として安いということが挙げられる。両氏とも、その先の思いは異なるが、多くの人にみてもらいたいため、と語っている。「筑豊のこどもたちの」の¥100も凄いが、「汽罐車」のこの装丁にしてこの値段も驚きだ。両書には、商業主義を排した、「気骨」というか「魂」を感じることができる。こういった清廉な志をもってして、初めて金字塔が打ち立てられるという訳だ。

土門拳は取り巻きから止められるまで、一か月以上もカメラを持たずに子供たちの遊び相手を続けたそうだ。あの強面からは想像できないような所業だ。そして、この作品に自らの命まで懸けている。雑念ばかりの小生には為し得ない業だ。

面白い両氏の繋がりもある。大木さんは早稲田大学卒とあるが、土門拳は、初期の仕事として早大の卒業アルバムの撮影を手掛けている。こういった気骨は、早稲田と聞けば頷ける。

ここでまた改めて「筑豊のこどもたち」の表紙を見ていると、この作品が今も、決してその光を失っていないことに気がつく。哀しいかな、現代の巷には、子供たちをも巻き込む凄惨なニュースが毎日のように飛び交っている。写真の中のるみえちゃんは、今を生きる我々に何を語りかけているのだろうか。不朽の名作とは、頑なな普遍性を持っているものだ。

一方、「汽罐車」だが、こちらは蒸気好きなら、兎に角見るべし。鉄画を上達したければ、繰り返し何度も眺めるべし。モノクロ好きなら舐めるように研究すべし。そのための安価だ。大木さんのご厚意に甘んじて、大いに学ばせてもらおう。こちらは今日の主役ではないが、今後、折に触れて、話題にしたい。

小生も反省しなければならないが、下手糞な写真を撮り貯めるばかりでなく、時として、こういった大先輩方の偉業を鑑み、糧とするのは、とても大事なことだと痛感する次第である。

  1. 2014/12/18(木) 01:00:12|
  2. 写真集・書籍
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筑豊 二題 ①夏の全開

ひっきりなしに蒸気が行き交う筑豊の大動脈。
その線路際の小さな路地にも、ささやかだが穏やかな庶民生活の一コマがあった。

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1971年7月  筑豊本線  折尾-中間

エアコンのない時代、夏に涼を求めて窓や戸を明け放つのは当たり前だった。まるで約束事でもあるかのように綺麗に全戸のドアが開いている。この頃は全国に木造長屋が多く残っていたが、さすがは早くから開けた地域だけあって、当時としては洒落た集合住宅だ。
この中には留守のお宅もあっただろう。今では不用心というほかないが、盗る人も無く、盗られるほどのモノも無かったのだろう。夕立でも来たら、そこのおじさんが全部閉めてくれるはずだ。夕餉の時間ともなれば賑やかな団欒が戸口から聞こえてきそうだ。ゴミバケツや木の庭柵が妙に懐かしい。
今日のように、モノが豊かになるのは決して悪いことではない。とても有り難いことだ。ただ、所詮モノはモノでしかない。
何故か、こんなアングルには古老のハチロクが良く似合う。

  1. 2014/12/14(日) 23:56:53|
  2. 筑豊本線
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リンゴの季節

冬を待つこの時期がリンゴの季節だ。
冬の寒さの前の安息日のような小春日和の一日だった。

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2014年11月  小海線

「冬来る。二題」と称して、南アルプスと八ヶ岳をアップしましたが、一つ忘れていませんか、と言われる前に、小海線沿線のもう一つの名峰である浅間山をお送りします。八千穂辺りから北の車窓を飾る山は浅間です。その穏やかな山稜と噴煙は、佐久のランドマークです。佐久地方の皆様、大変失礼を致しました。
この冬の浅間の雪景色はまだ撮っていませんので、先月の画から。僅か数週間前ですが、リンゴも映えて暖かそうですね。この時はリンゴを求めて小諸に行きました。好物の紅玉はこの時期限定です。

  1. 2014/12/11(木) 22:10:33|
  2. 小海線
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冬来る。二題 ②八ヶ岳

穏やかだった八ヶ岳の山容が真冬の装いとなり、山里の畑にも霜柱が立った。
古来より信玄の棒道を守ってきた天空の集落を、現代のハイテク車が駆け下りる。

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2014年12月  小海線

さて、手前の畑の作物は何でしょう? 雑草ではありませんよ。
正解は冬小麦です。つまり秋蒔きの小麦で、この姿で冬を過ごします。
この時期に「麦踏み」という作業がありますが、何とも風情のある言葉ですね。
省力化のためでしょうか、この地域では麦も蕎麦も、条蒔きはせず、ばらまきです。
来年、八ヶ岳の雪が消える頃、この畑も金色に輝き、収穫の時期を迎えます。
麦の穂で、ビールを真っ先に思い浮かべるのは、小生だけでしょうか。


  1. 2014/12/10(水) 22:18:44|
  2. 小海線
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冬来る。二題 ①南アルプス

先週末からの強い冬型の出現で、突然、真冬の寒さがやってきた。
色彩を失った寒々しい風景をバックに、キハ110の2連が登って来た。

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2014年12月  小海線

ご存知、小海線小淵沢の大カーブだ。新鮮味のない定番のアングルだが、季節のご挨拶ということで。
後ろの山々は南アルプス。中央が信仰の山の甲斐駒ケ岳、右のギザギザが鋸岳でロッククライマーのフィールドだ。写真には写っていないが、左に鳳凰三山の優美な山並が続く。もう少し登れば、富士山に次ぐ本邦第二の標高を誇る南アルプスの主峰北岳を見ることが出来る。
この区間の定期列車は2両編成が基本だが、冬期の閑散期には列車によっては1両に減車される。ローカル線には単車がお似合いで、撮影にはお誂え向きだ。


  1. 2014/12/09(火) 22:41:20|
  2. 小海線
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プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

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